API化とは?

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あなたは飲食店を検索した際に、サイト上に表示されたGoogleマップでお店の詳細な場所を調べたことがあるのではないだろうか?Google社は世界中の地図情報を扱うGoogleマップのAPIを公開し、様々なサービスでの利用を可能にしている。

「API化」とは、GoogleマップのようなソフトウェアにAPIという外部との窓口を作ることで、外部のソフトウェアやサービスでその機能を利用可能にすることである。

Google社はGoogleマップの機能を「地図画像の表示」や「ルート探索」等に細分化し、利用機能毎の従量課金制により機能使用分に対してのみ料金を徴収している。

利用者は地図システムを自社で開発することなく、サイトやアプリに必要なだけの機能を組み込むことが可能になる。

API化の成功事例「air Closet」と「minikura API」

API化の成功事例「air Closet」と「minikura API」

先に述べたGoogleマップの他にも、API化によるビジネスの成功事例は多くある。

ファッションレンタルサービスの「air Closet」もAPIに支えられたサービスの一つだ。

スマホでカルテを入力すれば、30万着の中からスタイリストが選んだ服が送られてくる。着終わったらクリーニング不要で返送するだけ。会員数45万人超(2020年10月時点)の画期的なサービスを支えているのは、老舗の倉庫会社である寺田倉庫が公開する「minikura API」である。

寺田倉庫は2012年に個人向けの宅配型トランクルームサービス「minikura」をスタート。しかしBtoB事業を主とする寺田倉庫のサービスは一般消費者への認知に限界があった。それを打破するため、minikura以外の看板でも売り出す戦略にシフトした。

一般消費者との接点を持つパートナー企業が前面に立ちつつ、保管や配送業務を寺田倉庫が受け持つ。パートナー企業毎の最適な保管サービスを開発する中で生まれたのが、APIの活用であった。

minikura APIは「入庫・登録」、「アイテム画像・取得」などの倉庫内業務ごとに約300種類用意されており、パートナー企業は自社のサービスに必要な機能を組み合わせることで独自の倉庫オペレーションを構築することができる。air Closetは自社サービスと倉庫内情報とをAPIで緊密に連携させることで、上述の画期的なサービスを実現している。

API化のメリット

API化のメリット

API提供者側のメリット

API化により、提供者は自社のサービス・機能を、より多くの企業・個人に利用してもらうことが可能になる。結果として、収益機会の獲得、自社サービスの認知度向上(ブランディング)が期待できる点が提供者側の効用である。

API利用者側のメリット

一方、利用者側はAPIを活用することにより「早い」「安い」「うまい」という効用が得られる。新規システムを開発するうえで、一部機能をAPI活用により実現する場合、当該機能を自社でスクラッチ開発する必要がなくなる。結果として、以下のメリットが期待できる。

・開発期間の短縮(早い)
・従量課金モデルであれば初期的な開発コストの抑制(安い)
・機械学習やビックデータへのアクセス等の自社では開発が難しい機能の付加(うまい)

上記に加え、提供者、利用者の共通の効用として、

・多彩な企業との効率的なコラボレーションの促進がある。

API化で加速するオープンイノベーション

革新、刷新を意味する「イノベーション」という概念を提唱した経済学者ジョセフ・シュンペーターによれば、イノベーションの原点は「新しい知の創造」であり、新しい知は、「既知と、異なる既知の組み合わせ」によって生まれるとされる。近年では、社内だけでなく社外の知を取り入れる「オープンイノベーション」の重要性も説かれている。

APIとは、言わばオープンイノベーションを加速させるビジネスツールである。APIを活用することにより、社内の知と社外の知を効率的に組み合わせることが可能になる。

変化の激しい時代の中で生き残るために、以前にも増してイノベーションの創出が求められている。API化がその活路となるかもしれない。

以上

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