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産業変化とフロンティア・マネジメントの産業知見
フロンティア・マネジメントは、顧客と同じ言葉で語れる企業になるべく、新たに上場事業会社で経営経験のある二氏を顧問として迎えた。産業別の変化とともに紹介させていただきます。
産業別営業利益と構造変化
図表は23年度の東証プライム上場企業の営業利益の実績の概算推定値である。プライム上場企業合計で40兆円強と推定されている(ただし、2月および3月決算期企業対象、また、営業利益に金融産業は含まれていない。この利益水準に対して、東証プライム市場全体の時価総額は950-1000兆円となっている)。
産業 | 営業利益 | 大きな変化 |
---|---|---|
プライム合計 | 40.5兆円 | ―― |
自動車 | 9.7兆円 | 自動運転、電動化、通信機能 | 情報通信 | 5.3兆円 | 無線通信の高度化、通信の光化、膨大データ処理・通信・保存 |
電機 | 4.2兆円 | AI、半導体、自動化、環境保全 |
不動産・建設 | 2.7兆円 | 新しい働き方への対応、人不足への対応 |
化学 | 2.6兆円 | 半導体、環境保全 |
交通・物流 | 2.6兆円 | 人不足への対応 |
エネルギー | 1.9兆円 | 環境保全、新エネルギー |
小売り | 1.9兆円 | 人不足への対応 |
機械 | 1.8兆円 | 社会の自動化への貢献 |
卸売り | 1.1兆円 | 卸機能の再定義 |
産業別営業利益(どのように分類するかの定義にもよるため、こちらも概算である)を改めてみると面白い。あの産業はトップ10に入らないんだ(例えば医薬品は1兆円弱)といった再認識がある。
圧倒的な一位は自動車産業の10兆円弱、一産業で全体の25%に貢献している。自動車産業は円安の効果がもっとも大きな産業と言えるが(現在の為替水準は、国内産業・国民から輸出産業への利益移転と言える。行き過ぎた水準には早急な対応が求められる)、それを考慮しても日本を代表する産業であることを改めて認識する。電気自動車への移行が業界構造、企業占有率に劇的な変化をもたらす可能性があるが(足元で内燃機関への回帰が報道されているように、電池を運んでいるともいえる電気自動車の環境負荷も相当なものであるし、10年後に予想される膨大な量の二次電池の回収・再生・破棄は大きな社会問題となるであろう)、日本の自動車産業が競争力を維持することは日本国家にとっても重要であることがよくわかる。
自動車に続くのが、情報通信5兆円超、電機4兆円超であり、これら上位3つで全体の半分に貢献している。
情報通信は、処理・保存・伝達するデータ量は今後も増加を続けることが容易に予想され、そのため、無線通信はさらに高速・高度化するであろうし、NTTのIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)に象徴されるように通信の光化も楽しみである。
電機ではやはりAIである。NVIDIA――直近期業績は、売上高609億ドル(前年比2.2倍)、粗利益率73%、営業利益330億ドル――が驚異的な成長と利益率を記録している。同社は先月にも新製品を公開、現在では他社の追随を許さないが、AI半導体産業がどうなるのかは興味深い。日本は半導体チップでは大きく占有率を失ってしまったが、装置および材料では圧倒的な世界1位であり、今後の発展が期待される。
これら3つの産業に続くのが、不動産・建設、化学、交通・物流であり、それぞれ2.5~3.0兆円の営業利益となっている。上位10産業で全体の90%近くを稼いでいる。
産業知見の強化
当社フロンティア・マネジメントは、顧客と同じ言葉で会話ができるよう、産業知見を特長の一つとしている。これまで、流通産業、ハイテク産業、自動車産業、不動産・建設産業において長期にわたる産業調査経験者による情報発信に努めてきた。さらに強化すべく、4月に事業法人の経営経験者二名を迎えた。
機械産業:百谷淳一氏
核燃料メーカーである日本ニュークリア・フユエル㈱でのエンジニアを経て、大和証券(株)、住友ライフインベストメント(現三井住友DSアセットマネジメント)等で主に機械、自動車産業の調査を担当。
2022年㈱ツガミCFO・代表取締役
2024年フロンティア・マネジメント㈱顧問就任
化学産業:西岡務氏
日東電工㈱時代には、取締役技術部門長としてコーポレートベンチャーファンド会社設立、イノベーション活動の仕組みの構築、技術開発拠点新設などを実現。ハリマ化成グループ㈱では常務執行役員として研究開発を統括。
2024年フロンティア・マネジメント㈱顧問就任
また、以下は既存の産業担当者および最新記事である。
自動車・部品担当:秋田昌洋
最新記事:2024年、自動車市場展望 転機を迎える年に
自動車・部品担当:池田勝敏
最新記事:ついに来た日産・ホンダ協業 文化の違いを乗り越えられるか
小売り担当:山手 剛人
最新記事:エンゲル係数上昇の光と影~食品流通業界への示唆
不動産・建設:沖野 登史彦
最新記事:リスクから展望する2024年予想図 日米経済と不動産市場はどうなる
ハイテク担当:村田朋博
最新記事:「村上春樹さんから学ぶ経営」シリーズ
「人類の英知」シリーズ
フロンティア・マネジメントは百谷氏、西岡氏とともに顧客のさらなる発展に資する貢献をしていきたいと考えている。さらに、情報通信、エネルギーなど大きな変化が予想される分野も強化していく方針である。
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