アクションプランとは?経営目標を達成する実施のポイントを解説

組織の目標達成には「アクションプラン」という行動計画の作成が有効です。アクションプランは形式的な計画書ではなく、プロジェクトに携わるメンバーを導く道しるべの役割を果たします。本記事ではアクションプランの概要や、作成手順とポイント、経営におけるアクションプランの具体例などを紹介します。

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アクションプランとは

アクションプランとは

「アクションプラン」とは、目標達成までのタスクをリストアップした行動計画です。タスクをひたすら羅列するだけではなく、「いつ・誰が・何をするのか」という具体的なプロセスを示しており、チーム全体でタスクに取り組む際に有効です。

アクションプランの必要性

アクションプランの必要性

アクションプランはプロジェクトを円滑に進め、予定通りゴールに到達するために有効なツールです。

例えば、それぞれのタスクについて「いつ・誰が・何をするのか」という進行プロセスを可視化するため、プロジェクト全体の俯瞰を可能にし、事前準備や連携、発生した問題の究明に役立てられます。プロジェクトでボトルネックになりそうなポイントを事前に把握し、対処することも可能です。

また、やるべきアクションだけでなく、目標達成に直結しない「やらなくても良いアクション」を明らかにしておくことで、プロジェクト遂行における手戻り削減やスコープコントロールにもつながります。

アクションプランの実施手順

アクションプランの実施手順

アクションプランを作成し、実施するまでの手順を紹介します。

1.プロジェクト責任者がゴールを設定する

まずはプロジェクト責任者がゴールを設定します。その際には、中長期ゴールをセットし、そこからバックキャスティングで短期ゴールをいくつか設定していきます。短期ゴールを達成していくことで、プロジェクトのモメンタム(勢い)を維持することができます。

わかりやすい例でいえば、「難関資格に合格する」という長期ゴールを立てた場合、「科目Aの模試で何位以内」を短期ゴールにする、といった形です。

2.タスクをリストアップし、状態目標を定義する

設定したゴールを実現するためのタスクをリストアップします。リストアップしたタスクについては、前後関係を意識しながら、スケジュール化していきます。ガントチャートといったツールを使って見える化することも有効です。

スケジュール化する際に、PDCAサイクルに応じた「状態目標」を定義することが望ましいです。例えば、週次で進捗管理する場合には、週次単位の状態目標を定義します。状態目標とは、その時点での「姿」です。

先ほどの資格試験の例でいえば「問題集をやる」という動詞で定義するのではなく、1週間後に「問題集を2回やった状態」という目標セットします。前者だと、問題集をほんの少しやっただけの場合に〇か×か曖昧ですが、後者ではクリアに判断できるわけです。

この状態目標は中長期ゴール・短期ゴールとも整合させ、ゴール達成の難易度に応じて各PDCA単位の状態目標の高低は決まります。

3.タスクごとの責任者を決め、報告体制を整える

タスクを分解した後には、責任者を決めます。複数人のタスクでも、必ず責任者を設けます。責任者不在のため、意思決定が行われず、タスクが前進しないということは多く起こります。

また、各タスクの進捗状況は定期的にプロジェクト責任者に進捗報告し、判断を仰くことや、関係者調整を行う必要があります。この定期タイミングを事前に設定しておきます。

大型プロジェクトで関係者が多い場合には、プロジェクト差配を取り仕切る「ステアリングコミッティ(運営委員会)」を設け、プロジェクト責任者からの報告を受け、討議するケースもあります。

当社(フロンティア・マネジメント)が多様なステークホルダーを巻き込んだプロジェクト運営を行う際には、ステアリングコミッティを設けるケースが多いです。

4.アクションプランを実行する

プロジェクト全体のスケジュールを組み次第、アクションプランの実行に移ります。アクションプランを実行する際には、定期報告のタイミングで、その時点までの進捗状況・状態目標とのGAP、抱えている課題、挽回策といった点を各タスク責任者からプロジェクト責任者に報告し、適宜軌道修正を図ります。ステアリングコミッティがある場合には、会議体の場ですり合わせしながら進めます。

こうした会議体で使われるレポーティングパッケージはプロジェクト共通のフォーマットを使うことが望ましく、アクションプラン設計段階で構想しておくことがベターです。

アクションプラン実施のポイント

アクションプラン実施のポイント

アクションプランを成果に結びつけるために、気を付けるべきポイントを紹介します。

現実的な目標設定をする

プラン通りに実行できない目標を設定しても、実現できなければアクションプランを作成する意味がありません。非現実的な目標・タスクの設定は、計画の遅延や、メンバーのモチベーション低下に繋がる恐れがあります。

アクションプランの核である目標や、リソースを割り当てる上で検討するタスクごとの作業量が、現実的で行動に移しやすいかどうか、実行前に確認が必要です。

リスクを想定する

タスクをリストアップする段階でプロジェクトにおけるリスクを想定し、対策となるタスクを前もって想定しておくこともおすすめです。あらかじめリスクヘッジしておくことで、問題発生時に、対策となるタスクを新たにアクションプランに加える労力を最小限に抑えられます。

大きなリスクが想定されていたら、対策となるタスクの追加にとどまらず、別プランの作成をしておくとよいでしょう。

臨機応変に対応する

内外の状況変化により、アクションプランの変更を迫られる場合があります。PDCAサイクルにおけるC(評価)の部分の精度を高め、タスクの停滞や問題点を早期発見しましょう。

また軌道修正する場合は、変更を加えるべき範囲を十分に検討する必要があります。一部分だけ変更すればよいケースもあれば、計画当初のアクションプランを丸ごと変更しなければならないケースもあります。

経営におけるアクションプランとは

経営におけるアクションプランとは

組織経営において、アクションプランが重要な役割を果たすケースの具体例を紹介します。

M&Aを行い、PMIを実施する場合

「PMI(Post Merger Integration)」とはM&A後に買収側が実施する統合プロセスです。経営統合、業務統合、意識統合を進めることが目的であり、組織再編や業務システムの統合、人事評価制度や給与形態の変更などがPMIに相当します。

M&A後、期待通りのシナジーを発揮するためには、PMIに速やかに着手することが重要です。そこで、M&Aクロージング直後から約3ヶ月で行う「100日プラン」というアクションプランが作成・実施されます。

PMIのアクションプランの作成には、経済産業省が提供する「PMIアクションプラン」というツールもあります。同様に提供されている「PMI分析ワークシート」は課題の抽出や対応方針の整理を実施するツールです。PMIアクションプランは前述で説明したスケジュール・担当者・タスクを一覧化し、現状の課題把握やリカバリープランを含めたプロセス全体の進捗を管理するツールとして参考になります。

参照:中小企業のPMIを促進する、実践ツール・活用ガイドブック・事例集を公表します!
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329007/20240329007.html

重要性や緊急性の高いプロジェクトは外部専門家の活用も

ここまでアクションプランについて説明してきましたが、目標設定やタスク細分化、スケジューリングを適切に実施するには組織内調整とタスクを設計するノウハウが必要です。

多様なステークホルダーが関与するケースではそもそもアクションプランを設計する段階から、関係各部署との調整が難航するケースも多くあります。

重要性や緊急性の高いプロジェクトでは、外部専門家の起用を考えることも有効です。当社フロンティア・マネジメントでは、アクションプラン策定から実行までハンズオンで関与するプロジェクトを数多く執行しています。当社のプロフェッショナルがお客様のプロジェクトに調整力・タスク推進力として関与することで、プロジェクトのスピードと成功につながる確率は高まります。

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