コンソーシアムとは?メリットや具体例も解説

「コンソーシアム」という言葉は、もともと「共通の目的を持ち協力し合う仲間」という意味です。法律用語として使われる場合は「配偶者権」の意味を持つこともあります。 ビジネス用語としての「コンソーシアム」は、共通の目標のために企業や組織が作る共同体を指します。近年、国内外の様々な企業・団体がコンソーシアムを構築し、ビジネスに取り組むケースも多くなっています。 今回は、コンソーシアムの定義やメリットについて、「JV」など、コンソーシアムと混同しやすい用語との違いやビジネスでの成功例も交えて解説します。

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コンソーシアムとは?ビジネス用語としての意味

コンソーシアムとは、「共通の目的を持つ複数の組織が協力するために結成する共同体」です。
事業の遂行や資金蓄積など様々な目的で構築されるため、企業同士はもちろん、大学などの研究機関や政府、自治体などが結成する場合もあります。

特に欧米では推進されており、国内でもコンソーシアムを構築する組織が増えてきています。

ジョイントベンチャー(JV)との違いは?

コンソーシアムと混合しやすい用語の1つに「ジョイントベンチャー」があります。
ジョイントベンチャーとは、複数の企業が共同出資を行って設立した新しい会社。合弁会社とも呼ばれています。

コンソーシアムとジョイントベンチャーの違いは、「利益を目的として会社を合弁するかどうか」という点です。

ジョイントベンチャーは利益の獲得を目的として会社を合弁し、共同経営を行います。
一方、コンソーシアムは、同じ目的のために協力する仲間という意味合いが強く、会社を合弁しない協力体制も含む言葉です。

また、利益以外が目的となるコンソーシアムでは、非営利組織が立ち上がる場合もあります。

関連記事:ジョイント・ベンチャー(合弁企業)とは?その意味や仕組み、メリットについて

アライアンスとの違いは?

「アライアンス(alliance)」も、コンソーシアムと似た意味合いを持つ言葉です。
アライアンスは、利害が一致する企業が独立性を保ったまま業務提携をする体制になります。

コンソーシアムはライバルとなる企業と連携する場合もありますが、アライアンスは利害が合う企業同士で協力する点が異なります。

関連記事:アライアンスとは?ジョイントベンチャー・M&Aとの違いや事例も解説

コンソーシアムの契約方法

事業共同体ともいえるコンソーシアムは、基本的に契約によって立ち上がります。
ここでは、コンソーシアム設立のための手順を解説します。

目的を明確化する

コンソーシアムは共通の目的のために設立されるものです。
まずは自社が成し遂げたい目的を明確化しましょう。

候補組織の選定・交渉

次に、目的達成のために協力体制を構築する組織をリストアップします。

自社にないノウハウや実績、知名度を持っている組織を選定し、交渉ができると理想的です。
より良い体制を築ける組織を選定するため、自社の分析も事前に行うとスムーズでしょう。

契約締結

コンソーシアムの参加組織が決定したら、契約締結に入ります。

コンソーシアム設立のためにはコンソーシアム協定書の提出が求められる場合があります。
ひな形などを入念に確認しておきましょう。

また、コンソーシアム協定書が不要であっても、業務・リスクの分担や事業計画の詳細を記載した書類は必要です。
各組織の意見を取り入れながら作成するとよいでしょう。

コンソーシアムのメリット・デメリットは?

共通した目的のために複数組織が協力するコンソーシアムでは、一つの組織で目的に向かって活動するだけでは得られないメリットが生まれます。

コンソーシアムのメリット

コンソーシアム結成の主なメリットとしては、技術やノウハウの共有、品質の向上、コスト削減の3つが挙げられます。

企業がコンソーシアムの構築により、各企業が持つ技術やノウハウを共有し、ビジネスに活用できます。
共有されたものを自社に取り入れると、さらなる成長が見込めるでしょう。

また、各企業の強みを組み合わせると、より品質の高いアウトプットを出しやすくなります。
技術や人材の共有による工数やコストの削減も、コンソーシアムのメリットです。

コンソーシアムのデメリット

コンソーシアムの主なデメリットは2つです。

意思決定までに時間がかかる

コンソーシアムを組むと、意思決定のために複数の企業の意見を取り入れる必要があります。
そのため、意思決定に時間がかかりスピーディな対応がしづらくなる点は大きなデメリットといえるでしょう。

リスクや利益の配分が難しい

コンソーシアムの参加企業の立場は対等です。
また、多くの企業が参加している場合、各企業の特性の考慮が困難になります。
効率の良い業務の分担や、利益配分の調整は簡単ではないでしょう。

コンソーシアムの具体例

様々なメリットがあるコンソーシアムは、近年国内外で注目されている事例も多いです。
以下では、コンソーシアムの具体的な事例を解説していきます。

イノベーションテック・コンソーシアム

企業のイノベーション力向上やDX促進を目的に2019年に始動したコンソーシアムです。
課題発見及び解決策考案力の定量評価を可能にするツール「デザイン思考テスト」を提供しているVISITS Technologies株式会社が運営しています。内閣府、文部科学省、経済産業省がパートナーとなり、トヨタ自動車、パナソニック、電通、伊藤忠商事をはじめとする多くの大手企業が参加しています。
専門サイトを通じた会員間のビジネスマッチングや、勉強会などのイベント開催を中心に活動を続けています。

デジタル通貨フォーラム

2020年11月19日にデジタル通貨勉強会から改組した、30社超が参加するコンソーシアムです。
メガバンク、JR東日本、JCBなど大手企業が多く参加し、流通しているお札や硬貨同様に使用できる電子的なお金である「デジタル通貨」の実用性や課題の検討などを行っています。

2021年11月24日には「デジタル通貨」の民間の実証実験を2022年3月末までに開始することを発表し、注目が集まっているコンソーシアムです。

WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業

コンソーシアムは企業だけではなく、自治体や政府などの組織でも構築されています。
こちらは2019年度から文部科学省が開始した高校生のための事業です。

Society5.0時代に備えたイノベーティブなグローバル人材の育成を目的としています。
高校、大学、企業、国際機関が協力して、高校生に高度な教育を提供する体制整備を進めています。

2021年度のWWL拠点校は北海道の北海学園札幌高校、新潟県の三条高校、愛知県の千種高校と名古屋大学教育学部附属高校、京都府の京と先端科学大学附属高校、奈良県の国際高校の6校。各学校で様々な取り組みが行われています。

参考:InnovationTech Consortium|イノベーションテック・コンソーシアム
参考:デジタル通貨フォーラム – ディーカレットコーポレートサイト
参考:WWLとは|WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業

コンソーシアムでビジネスの可能性が広がる

技術の急速な発展により変化が激しい現代での成功には、自社にはない強みを持つ組織との協力は非常に有効です。
コンソーシアムの構築による目的を共にする仲間との協力で、個人や一企業の活動では成し遂げられない仕事も可能になるかもしれません。

ビジネスで行き詰ったら、新たな視点を取り入れるためにコンソーシアムの結成も視野に入れてみると成功に近づくでしょう。

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