厳しさ続く、国内化粧品マーケット

図表1
▲出所:各社決算開示資料

化粧品各社の7-9月期の業績は、緊急事態宣言が発令された4-6月期と比較すると改善傾向が見られるものの、依然として厳しい売上状況が利益水準を押し下げている。

しかし、中国における化粧品消費の急回復を受けて、中国売上及び免税店売上比率の高い資生堂とコーセーは、7-9月には他社と比較して収益の改善傾向が顕著になった。また、代理店販売や自社ECを主要販路とするポーラ・オルビス、国内売上の8割が直販であるファンケルは、顧客のEC誘導や機動的な販売経費削減よりそもそもの減益幅が比較的抑えられている。

図表2
▲出所:各社決算開示資料

注:コーセーのアジア事業は、12月決算の現地連結子会社に関しては1-3月及び4-6月の実績が計上されている
ポーラ・オルビスHDの海外売上高は非公表だが、豪州及び北米子会社の売上高と開示されている一部ブランドの海外売上高比率からFMIでは海外全体でおおよそ15%前後と推定している

COVID-19(新型コロナウイルス)感染の第3派による現在の社会活動自粛を前提にする限り、2021年も少なくとも気温が上昇するまでは本格的な国内化粧品販売の回復は予想しがたい。この状況下で、各社は「中国市場」「EC(デジタル化)」へ注力を強めている。

リバウンド消費に沸く中国化粧品市場 

図表3
▲出所:中国国家統計局

中国の消費品小売額は8月には前年同月比プラスに転じ、11月には同5%成長と堅調な回復を示している。

中でも化粧品小売額は年初の1~3月の前年同期比13%超の減少から4月には前年同月比3.5%増加に転じ、5月には年初からの累計でも前年水準を超えた。

W11(双11、ダブルイレブン)が行われた11月度の化粧品小売額は前年同月比32.3%増加、年初から11月までの累計額は9.5%増加し、既に2019年年間実績を超える3,076億元(約4兆8,600億円)に達した。

レッドオーシャンとなった中国市場

資生堂はグループ連結売上高の1/4超を中国売上が占め、加えて海外旅行制限の中で急拡大している韓国、中国の免税店売上の寄与も大きい。コーセーも2020年には免税店売上が大きく伸長、ポーラ・オルビスHDは2021年1月にグループの免税店事業子会社を設立する予定である。

しかし、現在グローバルで唯一の成長市場といえる中国には、欧米のグローバル化粧品メーカーを筆頭に多くの企業が殺到しており、市場の競争環境は激化の一途をたどっている。

特に化粧品市場の成長をけん引するオンラインチャネルでは欧米企業のみならず韓国や中国メーカーの躍進が著しく、従来型のライブコマースからSNS等を用いたインタラクティブマーケティングまで、消費者とのコミュニケーションが日々進化している。

W11「SHISEIDO」7位が最高

資生堂本社ビルイメージ

2020年11月11日のW11は、日本メーカーの中国売上高にも大きく貢献したが、アリババが公表した美容関連売上TOP10は7ブランドを欧米3強(ロレアル、エスティローダー、P&G)が占め、更に韓国勢が2ブランドランクインし、日本ブランドはSHISEIDO(7位)のみであった。

日本の高価格化粧品はインバウンド客が日本で「店頭カウンセリング」を経験した際の高評価が、中国国内の売上拡大にもつながった経緯がある。インバウンドの早期回復が見込まれない中で更に顧客基盤を開拓するためには、中国市場、中でもオンラインチャネルにおけるマーケティング強化が必須である。

中国でのオンライン販売強化が必須

ロレアルなどのグローバル企業は、強力なKOL(中国のインフルエンサー)とタッグを組み、多額の予算と先端的なデジタル技術を駆使してマーケティングを展開している。揃って「デジタル化」を掲げる日本メーカーがどのように差別化を進めるのか、現状ではまだ視界不良といわざるを得ない。

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