ビジネスで注目される「シナジー効果」とは?種類や手法を分かりやすく解説

さまざまなシーンで、「シナジー効果(相乗効果)」という言葉が注目されています。1+1が2ではなく、3や4にもなるといった意味を持つこの言葉は、特にビジネス領域で欠かせない考えとなっています。そこでこの記事では、シナジー効果の意味やその種類などに関して具体的に解説。また、効果を産み出す手法について説明していきます。

シェアする
ポストする

「シナジー効果(相乗効果)」とは

「シナジー効果」とは、複数の要素が組み合わさることで、一つの効果以上に結果をもたらすことができるという理論を意味します。日本語で相乗効果と呼ばれ、現在、多様なシーンで取り入れられている考え方の一つです。

ビジネスの場面に至っては、M&A(合併・買収)やアライアンス(業務提携)によって事業を有利に展開できたり、企業内の各部署が連携することによって画期的な商品やサービスを産み出したりできるなど、さまざまなシナジー効果がみられます。

元々シナジーは、筋肉や神経などが協働的に作用して相乗効果を生むという生理学の用語として扱われていました。しかし、米国の経営学者で、経営戦略の父と呼ばれるイゴール・アンゾフ氏が、シナジー効果の考えをビジネスの世界に取り入れたことで、ビジネスシーンでもその理論が注目されるようになりました。

反対の意味を持つ「アナジー効果」

「アナジー効果」とは、シナジー効果とは反対に、複数の要素が組み合わさることによってマイナスの効果が発生する意味を表します。例えば、M&Aを進めて新規事情を展開したは良いものの、経営者同士の思想の違いから意思決定などが上手くいかず、負の結果がもたらされるといった例がこれに当たります。

シナジー効果の種類

それでは、期待されるビジネスカテゴリーごとのシナジー効果について、それぞれ着目していきましょう。主なシナジー効果の種類には、「投資シナジー」や「販売シナジー」、「マネジメントシナジー」などが挙げられます。その他、「事業シナジー」や「財務シナジー」、「組織シナジー」などがあるように、ビジネスカテゴリーの分だけシナジー効果が存在します。ここでは、前者三つのシナジーについて解説していきます。

投資シナジー

研究開発を共同で実施したり、そこから得たノウハウなどを共有したりすることで生まれる相乗効果を意味します。複数の企業が研究開発費を投資することによって、独自開発の場合にかかる費用よりもコストを抑えられること。また、各企業が持つノウハウや技術力を結集し、より優れたものを産み出すことができると期待されています。

販売シナジー

流通経路や販売組織などを企業間で共有・活用し、効率化することで得られる相乗効果を表します。流通チャネル(顧客に製品を提供するまでの経路)の共有によって企業は、自社の商品やサービスの販路拡大に加え、アップセリングやクロスセリングなどにもつながる可能性を期待することができます。また、相手のブランド力を活用することで、ブランド構築に費やす時間や工数、コストを抑え、一早く販売効果を発揮することができるでしょう。

マネジメントシナジー

企業間で経営ノウハウなどを共有することで生まれるシナジー効果で、経営シナジーとも呼ばれています。培った経営手法や、失敗・成功体験などの共有・融合によって、互いのメソッドを企業戦略の一環に取り入れることが可能になります。

シナジー効果を産み出す手法とメリットについて

シナジー効果を創出する手法には、主に「M&A」や「アライアンス」、「ジョイント・ベンチャー」、「グループ一体経営」が挙げられます。ここでは、上記4つの方法と、各メリットついて分かりやすく解説していきます。

M&A

M&Aは、シナジー効果を産み出すための基本的な手法です。企業を買収・合併することで、市場の支配力や効率性を高めたり、節税効果を発揮したりできることが主なメリットです。具体的には、仕入れコストの削減や、生産性の向上による価値の創出、また事業譲渡に関する繰越欠損金の特例などが挙げられます。その手法には、バリュー・チェーンの上流から下流まで、ワンストップの価値提供を目指す「垂直型M&A」、また既存事業の拡大を狙い関連度の低い業種同士で買収・合併を行う「コングロマリット型M&A」が挙げられます。

アライアンス

2つ目の手法は、業務提携や戦略的同盟などと呼称されるアライアンス。資本や資産を共有しないアライアンスでは、それぞれの企業が持つノウハウやブランド力の共有・活用だけでも、高いシナジー効果を期待することが可能です。近年顕著な例としては、食品のコラボレーション商品が挙げられます。共同で商品を開発することによる品質の向上、また相手の企業や商品のブランドを活用できるため販売力のアップなどが見込めます。

ジョイント・ベンチャー

ジョイント・ベンチャー(合弁企業または合弁会社)とは、複数の企業が共同で出資して会社を設立し、新たな事業を始めること。また、既存企業の株式の一部を買収し、その企業の株主や経営者と共に会社経営することを意味します。M&Aとアライアンスの中間に位置するジョイント・ベンチャー最大のメリットは、コストやリスクを抑えられること。例えば、1社では1億円の出資が必要になるところを、他社と手を組めば5,000万円の出資で会社を設立できることが可能に。また、経営困難に伴って失う出資金のリスクも軽減することができます。

関連記事:ジョイント・ベンチャー(合弁企業)とは?その意味や仕組み、メリットについて

多角的戦略やグループ一体経営

多角化戦略とは、売り上げや収益の向上を狙い、主力事業とは異なる分野に進出してシェアの拡大・獲得を目指すことです。主に、「水平型多角化戦略」「垂直型多角化戦略」「集中型多角化戦略」「集成型多角化戦略」の4つに分類されています。一方、グループ一体経営とは、顧客を共有する複数のグループ企業が事業を統合すること。金融業界で多くみられる手法で、顧客へのアプローチ強化や、共通業務の一本化によるコスト削減を図れることが主なメリットです。

シナジー効果の創出については当社FMIに相談を

市場のニーズやチャネルが多様化する昨今、1社独自で開発から生産、販売、マーケティングなどまでを実施することは、非常に困難です。このため、M&Aや業務提携などを行い市場の優位性を高めることが、今後一層企業に求められるでしょう。

フロンティア・マネジメント株式会社(FMI)では、シナジー効果の創出を実現するに至って必要となるM&Aなどのプロセスやノウハウについて、経営のスペシャリスト集団がきめ細かにアドバイスしています。是非これを機会に、現在お客様が抱える悩みや課題がございましたらご相談ください。

コメントを送る

頂いたコメントは管理者のみ確認できます。表示はされませんのでご注意ください。

※メールアドレスをご記入の上送信いただいた方は、当社の利用規約およびプライバシーポリシーに同意したものとみなします。

コメントが送信されました。

関連記事