プロダクトアウト・マーケットインの意味

プロダクトアウト・マーケットインのそれぞれの意味について解説してきます。プロダクトアウトは企業中心の開発プロセス、マーケットインは顧客中心の開発プロセスとなっているため、その点に注視すると理解が深まります。

プロダクトアウトの意味

プロダクトアウトは企業の持つ技術などのシーズを起点に、開発から製造、マーケティングへと進む直線的な製品開発のプロセスです。(注1)より簡素化すると、会社の指針や作りたいビジョンに沿って商品開発を行うことを意味します。

国内では、1960年代から70年代など経済成長が激しい時代に多くの企業がプロダクトアウトを採用していました。その理由として、プロダクトアウトによって作られた製品は、企業の製品という意味合いが強く、大量生産によって市場に製品供給する時代とマッチしていたからだと言われています。

マーケットインの意味

マーケットインは、ユーザーニーズを起点にコンセプト設計や製品開発を行うプロセスです。(注1)プロダクトアウトによる製品開発に比べ、開発すべき方向性が明確になるのが特徴で、開発サイクルが短縮しやすくなります。

ネットワーク環境が整い競合他社との差異が見出しにくい現代では、マーケットインの概念をいかに製品開発に取り入れ、顧客満足度を高められるかが重要です。

プロダクトアウト・マーケットインのメリット・デメリット

プロダクトアウト・マーケットインが持つメリット・デメリットを見ていきます。メリット・デメリットを理解しておくことで、自社で取り組む事業がプロダクトアウトに適しているのか、マーケットインに適しているのかを見極めやすくなります。

プロダクトアウトのメリット・デメリット

プロダクトアウトは、製品に個性が生まれやすい点がメリットと言われています。自社を中心に製品設計を考えるため、企業の強みを最大限に活かすことができるためです。

また、競合のいない市場で大きなリターンを得られるメリットもあります。特に、顧客ニーズがはっきりとしない市場導入期では、プロダクトアウトによる製品開発は独自の顧客ニーズを構築し、新市場を創出できる可能性があるでしょう。

一方、デメリットは、新しい事柄や市場、ニーズに着目して開発を行うため、成功確率が低くなりやすい点です。未開拓市場ではメディアや消費者の注目度が低く、製品のプレファレンス(好意度)を獲得することが難しいという課題も生まれやすい傾向にあります。

マーケットインのメリット・デメリット

マーケットインは、市場調査などを基に消費者の需要を調査するため、事業展開した際にリスクを下げられることがメリットです。需要調査の結果として販売予測が立てやすくなり、過剰在庫のリスクが低減できるでしょう。事業規模に関係なくマーケティングを実施できるのも魅力の1つです。

一方、デメリットは、商品開発において市場や消費者の価値観を優先するため、開発した製品、サービスが自社の理念や製品イメージから乖離してしまうリスクがあることです。大衆の平均値に合わせて商品を作るため、共通の市場に出回る商品が似通ってしまい、差別化を図りづらい傾向にあります。

プロダクトアウト・マーケットインの事例

プロダクトアウトとマーケットインはメリットがある反面、デメリットも存在し、開発プロセスに取り入れたからと言って事業が必ず成功するとは言えません。

しかしながら、プロダクトアウト、マーケットインを取り入れて事業を成功させた例も多くあります。ここでは、プロダクトアウトとマーケットインの事例を取り上げていますので、参考にしてみてください。

プロダクトアウトの事例

プロダクトアウトの筆頭事例として知られているのが、SONYのウォークマンです。SONYはカセットテープレコーダーを小型軽量化し、「外出時も音楽を聴きたい」という潜在ニーズを発掘するウォークマンを生み出しました。

他にも、Apple社のiPhoneがあります。iPhoneが登場する以前はガラケーが主流でした。しかし、2007年の発売後、瞬く間に市場を席巻しスマートフォンという新たな市場を興しています。

マーケットインの事例

プロダクトアウトは自社の資本力や技術力を必要とするため、成功事例が多いわけではありません。しかし、消費者発の情報を基に開発戦略を練るマーケットインは数多くの事例があります。

商品カテゴリーの事例としては、コンビニの少量弁当があります。コンビニ弁当はもともとボリューム感や揚げ物など高カロリーを訴求していた商品でした。しかし、OLや健康志向の男性のニーズに合わせて低カロリー素材を取り入れたり、分量を少量にしたりして販売されるようになりました。

現在では、セブンイレブンやファミリーマート、ローソンなど、さまざまなコンビニで見かける商品となっています。

個別のブランドの例を挙げると、大阪のテーマパーク、ユニバーサルスタジオジャパンがあります。ユニバーサルスタジオジャパンは一時深刻な経営不振に陥っていましたが、統計分析を使って顧客ニーズを解析し、従来の「映画好き」以外のニーズ開拓に注力。

ハローキティやセサミストリートといった大衆人気のあるアトラクションを導入した結果、経営をV字回復させています。

プロダクトアウトとマーケットインの融合

プロダクトアウトとマーケットインはそれぞれで強みがあり、事業を成功に導いてきたことがわかりました。

しかし、昨今はマーケティング理論も進化し、プロダクトアウトとマーケットインの二元論で商品開発を考えるのはナンセンスという考えが広まってきています。その背景には、プロダクトアウト、マーケットインそれぞれに対する批判があります。

それぞれの概念に対する批判

プロダクトアウトへの批判は、時代の変化を伴うものです。社会の情報化に踏まえ、市場の主導権が供給サイドから需要サイドに移ったことや、文化、教養、時間、健康、自然などの感性的な価値が重要になったことで、価値が消失しつつあると指摘されています。(注2)

一方、マーケットインに寄せられる批判は、プロダクトアウトとは対照的で、他社に対して差別化が難しいという内容です。(注2)マーケットインにより、顧客のあらゆる要望を吸い上げて製品開発すると商品そのものの独自性が失われ、企業が業績不振に陥りやすいという批判も出ています。

顧客ニーズの汲み取りが必要

企業がプロダクトアウトであれ、マーケットインであれ、商品開発にマーケティングを導入する場合、顧客ニーズを踏まえることが前提です。

顧客ニーズを無視してプロダクトアウトを展開すれば、完成した商品やサービスは自ずと独りよがりのものになりやすいでしょう。しかし、マーケットインを徹底したとしても、商品やサービスを世に出す段階で、顧客の願望を落とし込めなければ意味がありません。

あくまでもマーケティング手法は手段であり、顧客に選ばれることが重要です。最近の企業にもあるように、プロダクトアウトとマーケットインを融合して商品やサービスの充実化を図ることが求められます。

マーケットインからカスタマーインへ

近年、インターネットの普及に加え、市場が成熟してきたことから消費者のセグメントが多様化、細分化しています。

そのため、プロダクトアウトとマーケットインを融合させるだけでなく、既存のマーケティング手法を改善することも欠かせません。代表的な例として、消費者のニーズに応えるマーケットインの製品開発をさらに発展させたカスタマーインがあります。

カスタマーインは、顧客ニーズをさらに細分化し、そのニーズに対応した選択肢を消費者に提示する商品を開発することです。例えばオーダーメードスーツの場合、消費者ごとの体型や好みに応じて、色や素材、形を変えられることが、カスタマーインに該当します。

経営トレンドを取り入れよう

消費者のニーズが多様化している昨今、1つのマーケティング手法の一辺倒では、顧客獲得という点で競争力のある製品を生み出すことが難しいことがわかりました。

今後も、プロダクトアウトとマーケットインの融合、カスタマーインのような新たなマーケティングの考え方が登場し、主流となる可能性があります。

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引用(参考)
注1:独立行政法人中小企業基盤整備機構:支援機関指導員のためのDESIGN支援ハンドブック
注2:横浜市立大学:製品ライフサイクルとものづくり企業の事業戦略ープロダクトアウトとマーケットインー

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