OODAループとは 決断の精度とスピードを高める意思決定の思考法

OODAループとは、「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(決定)」「Act(動く)」の4つのプロセスを繰り返す意思決定の思考法です。

アメリカの航空戦術家のジョン・ボイド氏によって提唱され、もともとは軍事行動において素早い決断や判断を行うための思考モデルとして活用されていましたが、ハーバード大学経営大学院のハーバード・ビジネス・レビューで度々紹介されるようになり、近年はビジネスシーンにおいても取り入れられています。

同時にIoT、AI、ブロックチェーン、フィンテックなど新たな技術や考え方が次々と登場するようになったことで、ビジネス環境は激しく変化しています。

正しい決断を素早く行うスキルがビジネスで求められるようになり、特にシリコンバレーでは、OODAループを前提としたビジネスモデルが多く構築されています。

それでは、OODAループの4つの要素を確認しましょう。

OODAループの図

Observe(観察):客観的なデータを集め、整理する

「Observe(観察)」とは、客観的なデータを集め、整理するプロセスです。

このフェーズでは、まだ事業の計画を立てたり、あれこれプランを考えたりはしません。

自分の精神状態や置かれている状況、利害関係者(ステークホルダー)の行動、市場や競合他社の動向や、事業を取り巻くビジネス環境といった様々な要素について幅広く関心を持ち、情報収集を行うのが「Observe」のフェーズです。

一般的なマーケティングを例に挙げてみましょう。たとえば、ある商品の売れ行きがよくなかった場合、売上データを地域や年齢層、販売シーズンなどに整理し、情報を収集します。

20代の男性がターゲットの商品なのに、実は30代の男性への売上が好調だというデータが見つかるかもしれません。この情報は、次の「Orient(状況判断)」のフェーズで活かされます。

Orient(状況判断):状況を整理して仮説を立てる

「Orient(状況判断)」のフェーズでは、「Observe」のフェーズで集めた様々なデータをもとにして、今起こっていることの理解に努め、状況をうまく説明するための「仮説」を立てます。

ここで構築した仮説が、後々の「Decide」や「Act」のフェーズの前提となるため、OODAループの中でももっとも重要なフェーズです。

「Orient」のフェーズを成功させるポイントは、以前に立てた仮説や他人が構築した仮説と比較し、現在の仮説に誤りがないかを比較検証することです。

そのため、「Orient」のフェーズは、一度仮説を立てたら終わりではありません。

他のフェーズからのフィードバックを受け、何度も仮説構築を繰り返すことになります。

先ほどの例でいえば、「20代の男性の売上は低調だが、30代の男性の売上は好調だった」というデータから、「若年層と比べると、30代男性には経済的に余裕がある人が多く、商品の価格設定がマッチしていたのではないか」という仮説を立てるのが「Orient」のフェーズです。

次の「Decide」のフェーズでは、この仮説をもとに問題解決までの道のりを設定します。

Decide(意思決定):仮説をもとに問題解決への道のりを決める

「Decide(意思決定)」のフェーズでは、前の「Orient」のフェーズで構築した仮説をもとにして、問題をうまく解決するための方針を決定します。

多くの場合、ゴールにたどりつくための道筋は1つではありません。

そのため、「どのような選択肢が存在するか」「もっとも効果的な選択肢はどれか」などの思考プロセスを通じ、問題解決までの最適な道のりを選びます。

先ほどのマーケティングの例では、「若年層と比べると、30代男性は経済的に余裕がある人が多く、商品の価格設定がマッチしていたのではないか」という仮説を立てていました。

この仮説をもとにして、「商品の価格設定を動かすことが困難であるため、ターゲットを20代の男性から30代の女性へと変更する」という意思決定をします。

次の「Act(実行)」のフェーズでは、この決断を実際に行動へ移します。

Act(実行):ゴールに向けて計画を実行する

最後の「Act(実行)」のフェーズでは、「Decide」のフェーズで決定したプランを実行します。

先ほどの例でいえば、「商品のターゲットを20代の男性ではなく、30代の男性へと変更する」という決断を具体化するため、「広告のキャッチコピーや媒体を変更し、30代の男性にリターゲティングする」という行動をとるのが「Act」のフェーズです。

ここで注意すべき点が、OODAループは文字通り、意思決定のために4つのフェーズを「ループ」させる思考法だという点です。

実際にプランを実行してみても思うような結果にならないかもしれませんが、最初のOODAループで課題を解決できない場合、OODAループの結果からフィードバックを受けとり、再度「Observe」のフェーズに戻ってやり直しましょう。

OODA とPDCAの違いは「意思決定」と「改善」

OODAループと並んで、ビジネスシーンでよく使われるビジネスメソッドが、「PDCAサイクル」です。

PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのプロセスからなります。

まず「Plan(計画)」を立て、実行結果のフィードバックをもとに計画を細かく修正していくのが最大の特長で、既存の問題を「改善」していく際に役立ちます。

一方、OODAループは「Observe」のフェーズからスタートし、客観的なデータをもとに取るべき選択肢を絞り込んでいきます。

想定外の事態に強く、迅速で正確な意思決定が可能になるのがOODAループです。

シリコンバレーの成長企業やリーンスタートアップ、新たな商品やサービスを生み出したい企業は、既存のPDCAサイクルだけでなく、OODAループを積極的に取り入れています。

OODAループを活用すればビジネス上の判断がスピードアップ

「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の4つのプロセスを繰り返すOODAループは、客観的なデータに基づく仮説をベースにして、迅速で正確な意思決定が可能です。

ビジネスシーンに合わせ、OODAループとPDCAサイクルを使い分けることが大切です。

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