「LTV(ライフタイムバリュー)」とは

「ライフタイムバリュー(LTV:Life Time Value)」とは、顧客が取引を通じて企業に与えた価値の合計を意味します。具体的には、一人の顧客が取引を開始してから取引を終わるまでに、その企業にもたらした利益の総計のこと。日本語では、「顧客生涯価値」などと訳されています。

例えば、ある顧客が月額1,000円のサブスクリプションサービスを1年間利用した場合、一般的にライフタイムバリューは1万2,000円。また、顧客の維持などで一人当たり毎月100円の経費が掛かった場合では、経費を差し引き、ライフタイムバリューは1万800円となります。

ライフタイムバリューは、各顧客に最適な対応を取り良好な関係を築こうとするCRM(顧客関係管理)の重要な指標で、近年Webマーケティングの領域で非常に注目されています。もちろん、企業(商品やサービスなど)に対する顧客の愛着が高ければ高い程、ライフタイムバリューは高まる傾向がみられます。

LTV(ライフタイムバリュー)の算出方法

一般的にライフタイムバリューは、以下の計算式で算出することが可能です。

  • 「LTV=(平均購入単価)×(購入頻度)×(継続購入期間)」(売上高を見る場合)
  • 「LTV=(平均購入単価)×(購入頻度)×(収益率)×(継続購入期間)」(粗利を見る場合)
  • 「LTV=(平均購入単価)×(購入頻度)×(取引期間)×(収益率)-(顧客の獲得コスト+維持コスト)」

この他にも、さまざまな計算方法が存在します。さまざまな計算方法があるのは、一人当たりに掛かる企業コストや、購入期間の算出が難しいため。本来、顧客一人一人の数値を算出するのが望ましいですが、企業によっては、セグメントの単位でライフタイムバリューを算出します。

月刊誌を販売する企業の算出例

ここでは、以下のケースを例にしてライフタイムバリューを算出。右の、「(一回当たりの平均購入単価)×(単位期間中における購入頻度)×(取引期間)-(顧客の獲得や維持コスト)」を使い、実際に計算していきましょう。

商品:月刊誌(月額2,000円で、初月は1,500円)
購入期間:2019年11/1~2020年10/31
一人当たりの顧客維持コスト:毎月のDMなどに毎月300円

初月の売上が2,000円、残り11ヵ月分の売上が1万6,500円となるため、(一回当たりの平均購入単価)は約1540円です。月刊誌のため(単位期間中における購入頻度)は1回、また(取引期間)は1年間(12ヶ月)。(顧客の獲得や維持コスト)については、300円×1年間(12ヶ月)で3,600円となることが分かります。

これを計算式に当てはめると、「LTV=(1,540円)×(1回)×(12ヶ月)-(3,600円)」となり、ライフタイムバリュー1万4,880円が求められました。

LTV(ライフタイムバリュー)を最大化するために

ここからは、ライフタイムバリューを最大化する目的や、必要な考え方などについてそれぞれ解説していきます。

LTVを最大化する目的とは

ライフタイムバリューを最大化する目的の一つは、”既存顧客からの利益を最大化すること”です。ネットプロモーターシステム(スコア)の考案者として知られるフレデリック F. ライクヘルド氏によると、新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍。新規顧客の獲得はコスト高く、利益率が低いため、既存顧客の維持がより大切になると説明しています。

また、顧客の継続率を5%改善すると利益が最低25%も改善されるともいう同氏の「5:25の法則」も、既存顧客を重要視する理由の一つ。つまり、ライフタイムバリューを分析したり最大化したりする目的は、ビジネス構造の最適化であるとも言えるのです。

データの収集

そもそもライフタイムバリューを最大化するには、ライフタイムバリューを求めるための細かなデータを集めなければなりません。基本的にライフタイムバリューは一人一人の顧客に焦点を当てて算出・分析するため、各顧客の売上額や取引期間、企業コストなどのデータが重要です。

一昔前と比べ、昨今は販売チャネルが多様化しているため、オンラインやオフラインを横断した購買データの紐付けが必要です。また、各顧客に対するマーケティング施策の詳細についても、データを収集しなければなりません。従って企業は、顧客との関係を管理するCRMツールなどを導入し、まずは顧客管理に努めて下さい。

LTVを高めるための考え方

ライフタイムバリューを最大化するには、平均購入単価と購入頻度、継続購入期間を上げる施策が重要です。例えば、普段顧客が購入している商品よりもクオリティーが高い商品をDMで紹介したり、顧客にとって価値のある情報をメールマガジンとして配信したりするなど、さまざまな手法が挙げられます。

一方、最大化のためには、各顧客に対するコスト削減も考えなければなりません。具体的には、これまで投入していた運用型広告費の見直しや、人手で行っていたメルマガの配信作業などを機械に取って代えるなど、多様な方法が想像できるのではないでしょうか。

LTV(ライフタイムバリュー)の最大化については弊社FMIに相談を

ライフタイムバリューに関する理解は深まりましたでしょうか。これまでのマーケティングでは、企業利益の最大化を考える際、「顧客単価×顧客数」といったシンプルな図式で語られるケースがほとんどでした。

しかし、CRMの考えやデジタルマーケティングの技術などが浸透し、顧客一人一人に焦点を当てたビジネスが可能になったことで、企業はより細かな単位でビジネス指標を分析しなければならなくなっています。

フロンティア・マネジメント株式会社(FMI)では、ライフタイムバリューの最大化を実現するために必要となるビジネスノウハウやプロセスに関して、経営のスペシャリスト集団がきめ細かに顧客をサポート。また、以下のメールマガジンでは、ジャンルを問わずさまざまなビジネス事情について配信しております。

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