ナレッジマネジメントとは何か 成功のポイントと具体事例から考える

現代の企業活動に重要な要素の一つであるナレッジマネジメントについて、注目されている理由と具体的な事例とともに解説します。

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ナレッジマネジメントとは何か

ナレッジマネジメントとは何か

ナレッジマネジメントとは、企業活動において付加価値を生み出すナレッジ=知識、知恵を生み出し、社員に共有、活用して成果を出してもらうまでの一連の活動です。ナレッジとノウハウ、スキルは厳密にはそれぞれ別の概念ではありますが、企業活動における位置づけは近しいので、本稿では同等のものとして取り扱います。

コンセプトとしては、著名な経営学者である野中郁次郎教授の名著「知識創造企業」や、90年代以降の企業活動におけるIT化の進展による情報のデータ化の時代から存在しています。しかしいまだなお注目を浴びているキーワードであり、筆者も顧客への経営支援の際に何度もテーマとして取り上げています。

ナレッジマネジメントが注目されている理由とは?

ナレッジマネジメントは従来から知識・ノウハウの共有による生産性の向上や新しいアイデアの発明といった文脈で語られてきました。さらに直近ではコロナ禍の中でリモートワークの推進や飲み会がなくなったことにより、社内でたわいのない会話をする機会が著しく減少してしまったため、ナレッジの共有も難しくなり注目を浴びていると考えられます。

常に新しいアイデアを求められる企画部門に限らず、業務の質と効率、すなわち生産性をあげるためにデキる人のノウハウや知恵が重要であることは日々仕事をされているであろう読者の皆様にはすぐにお分かりいただけるかと思います。

ナレッジマネジメントの成功ポイントとその具体事例は?

ナレッジマネジメントの成功ポイントとその具体事例は?

ナレッジマネジメントというと、とっさに思い浮かぶのは参考事例などを集めたデータベースです。

しかし重要なのはナレッジを社員がいかに活用するか、ナレッジを用いて求められている成果を出すかにあります。

確かに社内に散在している情報を集約して閲覧性を高めることは必要です。しかし、よくある失敗パターンとしてデータベースが整備されたけれど誰も見ない、いざ見てもそれをどのように使えばよいかいまいちわからないという事態があるあるとなっています。よって以降でナレッジマネジメントの成功ポイントとなること2点をその具体事例とともに解説します。

ポイント①:アメとムチの使い分けによって情報収集・活用を促す

一つ目の事例としてユニークな商品を継続的に開発していることで有名な某大手製薬メーカーの例を紹介します。

この企業ではアメとムチの見事な使い分けにより社員が情報を収集したくなる/せざるを得なくなる仕組を構築しています。この会社では新商品や業務改善のアイデア発案について全社員にノルマが設定されており、毎月1件はアイデアを出さなければいけない決まりとなっています。

特に筆者がなるほどと思った点は二つあります。

一つ目(ムチ)は役職の高い人間も例外でないということです。上長もやっているのだからということで必然的に一般社員の方も参加せざるを得ない雰囲気を作っています。

二つ目(アメ)は、出されたアイデアがきちんと評価されるということです。出されたアイデアはどのようなものでも担当部門がコメントを返すそうです。かつ優秀賞には賞金が出る、社長から直接称賛のメールが送られるとのことで、「積極的にいいアイデアを出そう。そのために社内のナレッジを活用しよう」という意識が芽生えます。

ポイント②:形式知化することにこだわり過ぎない、まずは分かる人に聞く

二つ目の事例として筆者の所属しているコンサルティング業界での事例を紹介します。多くのコンサル企業では社内のデータベースに顧客名が伏せられたうえで、過去事例を社内に共有しています。しかし筆者の経験上その資料を見ただけでは、事例のポイントやどう自分の仕事に活かすかまで思い至るのは至難の技です。

それをどのように解決しているかというと、データベースの情報に担当者名を記載されており、問い合わせをすることで何がポイントになるかということをヒアリング、相談できるようにしていることです。コンサルティング業界ではこのようなやりとりは日常茶飯事で持ちつ持たれつのため、快く相談に乗っていただけることが多いです。

ノウハウを形式化する=完全に資料に落とし込むということ自体が大変難しく、かつ非常に時間もかかりますのでこのようなやり方をしていると考えます。

ナレッジマネジメントは地道に

ナレッジマネジメントとは、組織全体の中でナレッジを蓄積、活用して成果を出すということまで考えると、大変ダイナミックな活動であるということがわかります。よってデータベースなどの一部の仕組みに閉じずに戦略論、組織論とセットで語ることが理想的です。

いきなりそんなこと言われても…ということであれば、まずは社内の誰が何について詳しいかということを少しずつ集めてみてはいかがでしょうか。きっといつか役に立つときが来ると思います。

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