テレワークボックスとしての利用

カラオケテレワークイメージ

コロナ禍の前から、利用が見られたカラオケボックスの機能として、“自宅外のテレワーク用仕事スペース”が有る。防音環境やWi-Fi環境、飲食サービスを備えた個室を提供するカラオケボックスは、使用後のアルコール除菌の徹底や空気清浄機器の強化といったコロナ対策の充実を謳えば、コロナ新規感染者が大幅には減少しない状況にあっても、(自宅ではテレワークが捗らないとの思いを抱く層を中心に)一定の仕事スペース需要を喚起することは可能だろう。

昨今駅などに設置されている狭小なオフィス用ポッドと比較しても、快適性で優位に立つと考えられる。

終電繰り上げに伴う簡易宿泊の需要

終電イメージ

また、コロナ禍が落ち着き、夜間の娯楽需要が回復に向かう場合、鉄道各社による終電繰り上げは、乗り過ごしや乗り遅れによるカラオケボックスの深夜滞在需要を後押しする可能性がある。

現在カラオケボックスでは各個室をロックできず、簡易に寝床を確保するという観点ではセキュリティ面で不安があるものの、自動車で昨今導入が進展しつつあるスマートフォンを利用したロックを導入すれば、比較的容易に簡易宿泊機能を備えることが可能となるだろう。

オンライン教育への利用も

このようなカラオケボックスの環境は、仕事スペースとして利用されるだけではなく、教育スペースとして利用することも可能である。既に、一人用カラオケスペースにて双方向オンライン英会話サービスを提供する試みが行われており、今後通信制高校/大学の授業や、様々な教育コンテンツを投入することも考えられるだろう。

カラオケボックスが多用途のエンタメ施設に

マイクイメージ

既述の簡易宿泊機能、テレワーク用仕事スペース機能とは別に、コロナ環境下やアフターコロナでも期待されるカラオケボックスの新用途は、動画視聴/VR体験施設としての機能である。
既に、JOYSOUNDブランドを展開するエクシング社は、カラオケボックスでライブビューイングなどの動画コンテンツを視聴するサービス「みるハコ」を展開している。

コロナ環境下で密を避けるライブ体験として、自宅でのオンラインライブ視聴が注目されているが、どうしても画面サイズ、音響環境などの観点からライブの臨場感を得ることは容易ではない。

カラオケボックスでは、大きな画面や優れた音響環境、複数人での同時視聴といったオンラインライブ環境を実現することが可能となるため、今後オンラインライブでのライブビューイングスペースとして、カラオケボックスの存在感が増す可能性が有るだろう。

また、一部のカラオケボックスでは、VRゴーグルを装着して、大人数の観客を集めた仮想ライブステージ上でカラオケを楽しむ“VRカラオケ”サービスも提供されている。先述の動画視聴サービスとVRゴーグルを組み合わせた新しいVRコンテンツ提供も可能となるだろう。

このように、カラオケボックスの特性と新技術を組み合わせれば、カラオケボックスは単なる“歌えるハコ”という存在から、少人数でコロナ環境下でも安心して楽しめる“多用途エンタメスペース”という存在に進化していく可能性がある。

進化を牽引するM&Aに期待

現時点では、コロナ環境下で、カラオケボックス事業者の収益環境は概ね厳しく、新規投資を伴うカラオケボックスの進化が急速に進むとは予測しがたい。しかし、上述のような“進化”を積極的に牽引する意図を持つ企業やファンドの動き、即ちM&Aによる既存カラオケボックス事業者の変革に注目していきたい。

関連記事

武士道精神とコーポレートガバナンス・コード㊦日本的経営の行き詰まり

東京証券取引所は2021年6月、コーポレートガバナンス・コード(CGC)を改定し、社外取締役による監督強化を打ち出した。後半では、武士道精神をはじめとする日本人の気質とCGCの浸透について論じるとともに、日本企業に求められる企業風土改革について言及する。

武士道精神とコーポレートガバナンス・コード㊤ CGCの現状

東京証券取引所は2021年6月、コーポレートガバナンス・コード(CGC)を改定し、社外取締役による監督強化を打ち出した。しかし、CGCが形式的に完備されている上場会社においても、製品不正や様々なコンプライアンス違反の不祥事が後を絶たない。この記事では、CGCの限界と日本の武士道精神に焦点を当てて論じるものである。

EVは本当に最適か?⑤ 基幹産業=自動車を守る為に

ゼロカーボン社会に向け、EV(電気自動車)は本当に最適なのだろうか?シリーズ最終回は、日本が技術的優位に立つ「Hy-CAFE」(Hy:水素/C:Cold fusion/A:Ammonia/F:Fuel cell/燃料電池/E:e-fuel」を生かした、自動車の次世代エネルギー革命についてまとめた。

ランキング記事

1

EVは本当に最適か?⑤ 基幹産業=自動車を守る為に

ゼロカーボン社会に向け、EV(電気自動車)は本当に最適なのだろうか?シリーズ最終回は、日本が技術的優位に立つ「Hy-CAFE」(Hy:水素/C:Cold fusion/A:Ammonia/F:Fuel cell/燃料電池/E:e-fuel」を生かした、自動車の次世代エネルギー革命についてまとめた。

2

村上春樹さんから学ぶ経営⑯「文章はいい、論旨も明確、だがテーマがない」

前回のテーマは「変えてはならないことがある」でした。そこで今回は、本田宗一郎氏――「社の連中に技術的な話をしたことがない。話すことは、みな技術の基礎になっている思想についてである」「技術はテンポが早く、すぐ陳腐化してしまう。技術はあくまでも末端のことであり、思想こそ技術を生む母体だ」(『起業家の本質』プレジデント社)――のようなお話です。それでは今月の文章です。

3

「安すぎる日本」で国民は苦しむか? 最低賃金引上げの合理性を問う

最低賃金引上げが叫ばれている。日本の賃金は国際的に見て安いらしい。一般消費財でも、スターバックスコーヒーやマクドナルドなどグローバルブランドの商品が日本では先進国中で最低価格となっており、「安すぎる日本」として話題になっている。最低賃金引き上げは、本当に筋のよい政策なのだろうか。

4

相続登記義務化のインパクトとは?

不動産を相続した場合、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する必要があり、この手続きを「相続登記」と呼ぶ。従来相続登記は任意であったが、2021年6月の法改正により2024年を目途に義務化されることになった。相続登記義務化の背景と、そのインパクトは何かを考察する。

5

プロスポーツチームの戦略オプション②~スタジアム・アミューズメント化経営の要所

コロナ禍において、プロスポーツチームが取り得る戦略オプションは、どのようなものがあるだろうか。今回は取り組みが活性化してきている「スタジアム・アミューズメント化」経営について、その提供価値と実現スキームに焦点を当てて解説していく。

人気のキーワード

海外スタートアップ情報はこちら!  寄稿・執筆者募集中