2019年の世界のロボット販売台数は前年比12%減

図表

国際ロボット連盟によると、2019年の世界のロボット販売台数は前年比12%減の37.3万台となった。前年が過去最高であったことを勘案すると高水準と言えるが、前年割れは7年振りとなる。米中貿易摩擦によって、自動車販売が世界的に伸び悩んだこと、製造業で投資を手控える動きが強まったことなどが原因である。
地域別でみても、世界市場の約4割を占める中国が同9%減の14.05万台と落ち込んだほか、中国除くアジア(同19%減)、北米(同13%減)、欧州(同5%減)も軒並み前年割れとなった。

産業用ロボット販売の世界的回復は2021年以降に

工場イメージ

国際ロボット連盟では、新型コロナウィルスの影響が依然として不透明であることもあり、2020年以降のロボット販売台数の予想数値の公表を控えているが、2020年の同販売台数は2年連続の前年割れとなる公算が強い。

日本の主要なロボットメーカーの動向をみると、安川電機のロボット部門の受注は21年2月期第1四半期が前年比18%減、第2四半期が16%減と落ち込み、21年2月期の同部門売上予想は同9%減とみている。
ファナックのロボット部門の受注は21年3月期第1四半期が前年比22%減、第2四半期が同8%減。
ただ、第2四半期は前四半期比では12%増と回復。同社の山口社長は、「下半期も回復基調が続く」との見方を示しており、ロボット需要は2021年にかけて回復基調が続きそうだ。

中国のロボット市場では中国メーカーのシェアも上昇

ロボットイメージ

中国のロボット販売は、世界に先駆けて回復基調に入っている。これは、通信の次世代規格である5G関連の投資が活発であること、自動車販売の回復、旺盛な自動化ニーズなどによる。
一方、中国では、ロボット販売台数に占める海外メーカーのシェアは71%と依然として高い。ただ、中国ではロボットの国産化に注力しており、中国のロボットメーカーの中国市場におけるシェアは、2017年22%→2018年27%→2019年29%と上昇している。

これは、中国の製造業でのロボット用途が拡大していることに加えて、外資系メーカーが強い自動車向けが2019年に弱含んだことなども影響している。因みに、中国の自動車向けロボットだけでみると、高い精度が要求されることもあり、中国メーカーのシェアは12%程度と全体のシェアを大きく下回っている。

協働ロボットへの注目度が高まる

不二越イメージ
不二越プレスリリースより引用

ロボット市場では、協働ロボットに対する関心が強まっている。これは、ポストコロナでの3密回避の動きが強まっていることも大きい。

協働ロボットは、生産ラインなどで作業者の近くで作業するロボットで、センサーで人を感知して接触事故を防ぐシステムが装備されている。産業用ロボット市場は、自動車向けが過半を占めているが、協働ロボットは幅広い産業で活用される可能性を秘めている。協働ロボットの市場は、ロボット市場の5%程度に過ぎないが、今後の成長が期待できよう。

協働ロボット市場へ、日系企業の参入も相次ぐ

日本では、生産ラインにロボットを設置する際に安全対策として安全柵設置を義務付ける規制が2013年に撤廃されたことにより、その後、多くのメーカーが協働ロボットの開発に乗り出していた。
協働ロボット市場では、デンマークのユニバーサル・ロボット社が先行しているが、日本ではファナック、安川電機なども参入。2020年に入ると、三菱電機、ヤマハ発動機、ダイヘンなどのロボットメーカーが同市場への新製品を投入した他、電子部品大手の京セラも協働ロボットシステムを開発し、21年に同市場に参入すると発表するなど、活発な市場形成が期待できそうだ。

まとめ

コロナ収束後の経済活動の予測は難しいが、3密回避、省人化・自動化というニーズは高まることが予想される。自動化で重要な役割を担うロボットの市場も再び拡大基調に戻ることを期待したい。

関連記事

排出権取引とは? 世界・日本の現状も解説

地球温暖化問題への取り組みをはじめとして地球環境に配慮する機運は年々高まっています。ESGやSDGsなど近年こうした言葉を目にする機会も増えたのではないでしょうか。こうした取り組みはいずれも環境問題を解決し持続性のある社会活動を目指すものですが、ビジネスにおいても例外ではありません。その中に「排出権取引」というものがあります。排出権取引は地球温暖化の直接的な原因とされている二酸化炭素の排出に係る企業や団体間の商取引です。本記事ではその概要について解説していきます。

フィジカルインターネットとは?物流業界変革の構造や業界動向を解説

ECの普及により物流量が増加している今、物流業界は人手不足や労働環境の悪化、トラックの積載率の低下(注1)など深刻な課題を抱えています。 この課題を解決する方法として注目されているのが「フィジカルインターネット」です。 フィジカルインターネットは、インターネットの網の目のような通信網をフィジカル(物理的)な物流業界で応用する考え方です。 本記事では、フィジカルインターネットの構造を解説し、実現へ向けた企業各社の動きを紹介します。

EVは本当に最適か?⑤ 基幹産業=自動車を守る為に

ゼロカーボン社会に向け、EV(電気自動車)は本当に最適なのだろうか?シリーズ最終回は、日本が技術的優位に立つ「Hy-CAFE」(Hy:水素/C:Cold fusion/A:Ammonia/F:Fuel cell/燃料電池/E:e-fuel」を生かした、自動車の次世代エネルギー革命についてまとめた。

ランキング記事

1

EVは本当に最適か?⑤ 基幹産業=自動車を守る為に

ゼロカーボン社会に向け、EV(電気自動車)は本当に最適なのだろうか?シリーズ最終回は、日本が技術的優位に立つ「Hy-CAFE」(Hy:水素/C:Cold fusion/A:Ammonia/F:Fuel cell/燃料電池/E:e-fuel」を生かした、自動車の次世代エネルギー革命についてまとめた。

2

村上春樹さんから学ぶ経営⑯「文章はいい、論旨も明確、だがテーマがない」

前回のテーマは「変えてはならないことがある」でした。そこで今回は、本田宗一郎氏――「社の連中に技術的な話をしたことがない。話すことは、みな技術の基礎になっている思想についてである」「技術はテンポが早く、すぐ陳腐化してしまう。技術はあくまでも末端のことであり、思想こそ技術を生む母体だ」(『起業家の本質』プレジデント社)――のようなお話です。それでは今月の文章です。

3

「安すぎる日本」で国民は苦しむか? 最低賃金引上げの合理性を問う

最低賃金引上げが叫ばれている。日本の賃金は国際的に見て安いらしい。一般消費財でも、スターバックスコーヒーやマクドナルドなどグローバルブランドの商品が日本では先進国中で最低価格となっており、「安すぎる日本」として話題になっている。最低賃金引き上げは、本当に筋のよい政策なのだろうか。

4

相続登記義務化のインパクトとは?

不動産を相続した場合、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する必要があり、この手続きを「相続登記」と呼ぶ。従来相続登記は任意であったが、2021年6月の法改正により2024年を目途に義務化されることになった。相続登記義務化の背景と、そのインパクトは何かを考察する。

5

プロスポーツチームの戦略オプション②~スタジアム・アミューズメント化経営の要所

コロナ禍において、プロスポーツチームが取り得る戦略オプションは、どのようなものがあるだろうか。今回は取り組みが活性化してきている「スタジアム・アミューズメント化」経営について、その提供価値と実現スキームに焦点を当てて解説していく。

人気のキーワード

海外スタートアップ情報はこちら!  寄稿・執筆者募集中