コンセプチュアルスキルとは?

コンセプチュアルスキルとは、概念を使って複雑な事象から本質を見つけ出し、問題発見や解決などに応用する実践的な能力です。「概念化能力」とも呼ばれます。

ハーバード大学の経営学者であるロバート・L・カッツが提唱した、マネジメント層に求められる3つのスキルのひとつに数えられます。

マネジメントに必要なスキル

また、マネジメント層は以下の3段階に分かれ、管理者としての責任が高まれば高まるほど、コンセプチュアルスキルを高める必要があるとされています。

マネジメントの種類

マネジメント業務では、考えや立場がさまざまな部下から得る情報を精密に組み合わせ、周囲が納得できるように最適化しなければならない場面が出てきます。そこで、概念を扱うコンセプチュアルスキルが必要不可欠なのです。

コンセプチュアルスキルを構成する14の能力

コンセプチュアルスキルと一口に言っても、効果的に活用するには多くの能力が必要とされます。

すなわち、コンセプチュアルスキルは複数の能力を包括した総合力の一種です。構成される能力を紐解いていくと、その数は14個にも及びます。

スキルマップを作成して人材の能力評価にも役立てるためにも、各能力の詳細を知っておきましょう。

ロジカルシンキング(論理的思考)

ロジカルシンキングとは、物事を客観的かつ論理的(ロジカル)に考え、説明できる能力です。ビジネスの世界では欠かせない因果関係の分析・整理や、課題の優先順位付け、正確な情報伝達の基盤となります。

ラテラルシンキング(水平思考)

ラテラルシンキングとは、過去の経験や常識が形成する固定観念に縛られず、偏りのない自由な思考ができる能力です。

流動的なニーズへの対応や斬新な発想の源となり、競合他社との差別化が図れるような企画・戦略の立案を促進します。

クリティカルシンキング(批判的思考)

クリティカルシンキングとは、組織やプロジェクトに隠れた問題・悪習を認識し、批判的に分析して解決策を見つける能力です。

プロジェクト内のリスクアセスメントやコーポレートガバナンスなど、現状を疑い改善するような業務に役立ちます。

多面的視野

多面的視野とは、目の前の課題に対し、複眼的な視点を持ったり、複数のアプローチができる能力です。

能力適性を考える上で、ひとつの仮説に固執せず、思考を素早く切り替えられるか否かがポイントとなります。

柔軟性

柔軟性とは、時代や社会的ニーズに適応したり、トラブルに対し臨機応変に対応できる能力です。

周囲の変化に流されない冷静さや、機転の利いた行動に移す瞬発力の高さの応用と言えるでしょう。

受容性

受容性とは、自分とは異なる価値観に直面したとき、それを拒絶せずに受け入れる能力です。

チームで仕事をする場面では特に重要で、自分や他人の意見をフラットに検討したり、相互に折衷できれば、メンバーの合意や最適解が導き出しやすくなります。

知的好奇心

知的好奇心とは、未知の新しいものに興味を持ち、自ら取り入れる能力です。

知見が広がれば市場や社会のニーズをより多く拾えるようになり、提案力や行動力が組み合わさると、新規企画や事業開拓のきっかけになります。

探究心

探求心とは、物事に深い興味を示し、なぜこの結果になるのかを常に考えながら研究・分析を行う能力です。

「なぜこの作業が必要なのか」「なぜこのサービスは若者に好評なのか」といった思考は、表面的な物事から本質を掘り起こすための入り口となります。

応用力

応用力は、過去に培った技術・知識・能力を工夫し、別の物事に役立てる能力です。

過去の経験と目の前の物事に共通点を見つけ、自分の持つスキルを的確に利用する性質のため、応用力の有無によっては経験を積むごとに周囲との差が明確に開いていきます。

洞察力

洞察力とは、物事の本質を見極め、将来の展望についても分析できる能力です。コンセプチュアルスキルで重要な「概念」を見つけるために必要な能力であり、探求心や応用力を支える部分でもあります。

直観力

直感力とは、直感的にひらめくことができ、かつそれを瞬時に活用できる能力です。時間が少ない中での決断や、イノベーションの発案に効果を発揮します。

ひらめきは、過去の経験や蓄積した情報がロジックを超越して表れる結論であるため、インプットが重要であることも忘れてはなりません。

チャレンジ精神

チャレンジ精神とは、困難な課題や未経験の分野に対し、失敗を恐れず挑戦できる能力です。

直感力と同様にロジカルな思考をある程度排除する必要があり、飛び込んだ先のことを深く考え過ぎないことが功を奏す場合もあります。

俯瞰力

俯瞰力とは、広い視点で物事の全体像を正確に把握する能力です。

自身が置かれている状況と、全体の状況や今後の見通しを主観・客観の両面から冷静に分析し、適切な判断を下すために必要となります。リーダーやマネージャークラスの職能には欠かせない能力と言えるでしょう。

先見性

先見性とは、目先のことだけでなく、数年後、あるいは数十年後における社会ニーズの推移を予測できる能力です。中長期的なシナリオプランニングには不可欠とされます。

統計データに基づいた傾向予測ができるのはもちろん、直感に基づいた予想精度の高さもポイントとなります。

コンセプチュアルスキルの鍛え方

コンセプチュアルスキルの形成は、個人の経験や素養による部分が多い一方で、意図的に鍛える方法もあります。

まず、スキル開発のアプローチは2通り考えられます。ひとつめは企業がコンセプチュアルスキルの重要性を従業員に対する周知すること。ふたつめは、ビジネスパーソン個人が自発的にスキルアップへの意識を高めることです。

このふたつのアプローチを満たすためには、企業が研修という形で機会を提供し、個人は研修に積極的な参加を心掛けるのが理想的でしょう。

研修ではグループワークによる実践を取り入れる

研修では、講義形式によるコンセプチュアルスキルに関する概要の解説はもちろん、実践的な内容を取り入れるのがベストです。

具体的には、漠然としたテーマについて考えるグループワークが実践例として挙げられます。グループワークは、論理や直感による意見が複数の視点から飛び交う場であり、他の人と自分の考えの違いを知るための良い訓練になります。

扱うテーマは、「なぜミスは起こるのか?」や「成功する条件とは何か?」といった、明確な答えが出せない抽象的な内容であるほど効果的です。

「ブレインストーミング」や「5Why分析(なぜなぜ分析)」といった分析フレームワークに加え、作図を行う「新QC7つ道具」などの技法を駆使して、定性的にテーマの本質を考えるとよいでしょう。

組織の生産性を高める鍵のひとつがコンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルは多くの能力によって構成されますが、「本質を見抜く能力」の一言に集約されます。

つまり、コンセプチュアルスキルが高いマネジメント層を持つプロジェクトや企業は、生産性の高い業務を遂行できると言えるでしょう。

個々のビジネスパーソンが積極的にコンセプチュアルスキルを高める意識も重要ですが、それ以上にスキルの高い人材を見抜く人事や、スキル開発のための研修制度を用意するガバナンスなどが企業側に求められます。

組織全体の底上げを図り、生産性を高めるためにも、コンセプチュアルスキルに着目した人材取得・育成を心がけましょう。

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