中国高齢者産業の現状とチャンス

中国では現在、高齢化が急速に進み、介護問題が顕在化している。 中国政府もこの問題を国家戦略として解決しようと、企業が高齢者産業に参入することを推奨する政策を打ち出している。 本稿では、政府の方針と主要事業者の動向を伝える。

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60歳以上が15歳以下人口を上回る

60歳以上

中国国家統計局が2019年2月28日に発表した「国民経済と社会発展統計公報」によると、2018年12月31日現在、中国の60歳以上の人口が初めて0~15歳の人口を上回り、総人口に占める割合が17.9%に達したことがわかった。

60歳以上の人口は、2013年に初めて2億人を突破してから、わずか5年間で約4700万人も増加した。

2050年頃には中国の高齢者人口は4.87億人とピークになり、総人口の34.9%を占めると予想される。

中国が高齢化社会に突入し、高齢化がもたらす課題は日増しに表面化している。

そうした状況から、中国政府は2011年の「第12次五カ年計画」の綱要で初めて、「在宅を基礎に、コミュニティー(社区)を頼りに、機構を支えとする」という高齢者サービス体系の確立を目標に掲げ、社会における高齢者サービスの確立を高齢者事業における重要な柱と位置づけた。

2012年の『中華人民共和国高齢者権益保障法』改訂版では、「積極的に高齢化に対処する」として、正式に国家戦略レベルまで引き上げられた。

さらにその後数年の間に、高齢者関連の政策が次々と打ち出されている。

高齢者産業への民間参入相次ぐ

民間参入

政策が牽引役となったことで、保険会社、不動産会社、上場会社が、高齢者産業の様々な分野に一気に参入している。

なかでも「泰康保険」(中国の大手保険会社)は地域、業種とも広範囲にわたり、武漢、瀋陽、大連などの都市で高齢者コミュニティー(社区)を展開するとともに、病院の買収を通じて、保険、医療、介護の連携を急速に進めた。

不動産デベロッパーでは、碧桂園、万科企業、緑地集団、保利集団(いずれも不動産大手)といった企業が、高齢者用コミュニティーやマンションの開発で、高齢者向け不動産業界に参入した。

上場会社では、事業転換とバリューチェーンの拡大がメインであり、泰達バイオ(天津泰達生物)による上海睦隣の介護部門の買収、医療関連の宜華健康による親和源(介護企業)の買収などが挙げられる。

この大きな流れと同時に、中国政府もPPPモデル(官民協力)で社会資本の導入による地域の高齢者産業の発展を奨励している。

2019年1月時点で、確定済みの高齢者関連の基本公共プロジェクトは58件で、投資金額は437億元(約7000億円)におよぶ。

ただ、中国の全体的な高齢者産業はいまだ発展の初期段階で、解決すべき問題が多くある。

たとえば、要介護高齢者に対する介護サービス職だけで推計1300万人の需要があり、専門介護スタッフは深刻な人手不足となっている。

また、コミュニティー(社区)内でも、高齢者が最も関心を寄せる予防医療への投資はまだ不足している状態にある。

さらに2018年末時点での全国高齢者介護サービス用ベッド数は746万床で、高齢者1,000人に対するベッド数は30床と、「第13次五カ年計画」の目標35~40床にはほど遠い状態だ。

高齢者産業の規制緩和がさらに進む

ただ、中国社会科学院が発表した2016年の『中国高齢者産業発展白書』によると、中国の高齢者産業の市場規模は2030年には13兆元に達する見通しで、まだまだ発展する見通しだ。

中国国家発展改革委員会などの18部門は2019年2月19日、共同で『社会領域における公共サービスの短所を補い長所を強化して品質向上に力を入れて推進し、強大な国内市場の形成を促進するアクションプラン』を発表しており、高齢者サービス市場も全面的に開放されている。

民政部は以前の養老事業許可証制度を廃止し、許認可期間の短縮により社会資本の参入を奨励しており、介護、用具、食品など高齢者の日常サービスへの提供を考える企業にとっては得難いチャンスになるとも言えるだろう。

※機関誌「FRONTIER EYES」vol.25(2019年5月発行)掲載記事を修正の上再掲 

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