安川電機はロボット部門の今第1四半期営業利益が赤字と予想

body of car on conveyor Modern Assembly of cars at plant. automated build process of car body

ロボットの世界大手の1社である安川電機(北九州市)は、4月中旬に20年2月期の決算を公表した。同社のロボット事業の20年2月期第4四半期(19年12月~20年2月)の受注は前年比15%減と、6四半期連続の前年同期比マイナスと厳しい状況が続いている。
昨年度は、米中貿易摩擦による投資手控えや、中国での自動車販売の減速などがロボット受注低迷の主因であったが、直近では新型コロナの影響により、設備投資を手控える動きが強まっていることが大きい。
新型コロナの影響度合いは依然として不透明であるため、同社は21年2月期予想を非開示とし、21年2月期第1四半期(20年3月~20年5月)の予想のみを公表している。同社は、21年2月期第1四半期のロボット部門の売上高は前年比25%減の295億円、営業利益は8億円の赤字(前年同期は15億円の黒字)と大幅な悪化を予想している。ロボット部門が四半期ベースで営業赤字に転じるのは、リーマン・ショック時の11年3月期第1四半期以来となる。

自動車販売の動向が最大の懸念要因

carship

ロボット業界にとって、自動車及び自動車部品メーカーはロボット販売台数の3割強を占める重要な顧客になっている。世界の自動車販売台数は、新型コロナの影響により、軒並み減少しており、ロボット業界にとって大きな懸念要因となっている。
主要国の自動車販売台数の前年同月比伸び率は、米国で3月38%減、4月47%減と低迷している他、欧州では3月が55%減、4月も主要国での大幅減(英国97%減、ドイツ61%減、フランス88%減、イタリア98%減)が続いている。一方、中国は3月に43%減となったものの、4月は4%増と2018年6月以来の前年比プラスとなった。ただ、中国汽車工業協会では、2020年の中国の自動車販売台数は前年比15~25%減との見方を示している。こうした販売状況の悪化に対応して、自動車メーカー各社は、世界の生産拠点で操業停止や生産調整を相次いで公表している。

3月下旬に、米国の調査会社であるIHS Markitでは、新型コロナの影響を踏まえて、2020年の世界の自動車販売台数の予想を従来比1,000万台引き下げ、7,880万台(前年比12%減)になると公表した。新型コロナの収束時期やその影響度合いは依然として不透明であるため、自動車メーカー各社が設備投資を抑制する公算が強まっており、これはロボット需要にもネガティブな影響を及ぼすことになろう。

2020年の世界ロボット販売台数は2年連続の前年割れの公算大

ロボット販売台数

2019年9月下旬に、国際ロボット連盟は、2019年の世界のロボット販売台数は、前年比0.2%減の42.1万台となり、2020年以降は年率12%と再び2桁成長に戻るとの予想を公表した。同販売台数は、2017年までの5年間は年平均20%で拡大したが、米中貿易摩擦の影響を受けて、2018年は前年比5.5%増にとどまり、2019年は小幅ながら7年振りの前年割れとなる見込みだ。
日本のロボットメーカーの昨年12月までのロボット事業の売上高をみると、いずれも前年比マイナス基調となっており、上述の2019年の世界ロボット販売台数見込みは下振れリスクがある。また、2020年に関しては、新型コロナのマイナス影響が続きそうであり、世界のロボット販売台数は、2年連続の前年割れとなる公算も強そうだ。

自動化投資の先行回復に期待

今回のコロナショックは、自動化・省人化ニーズに対する認識を高めた面もある。

これは、(1)外出の禁止や自粛により、工場における人員が確保できない(2)人との接触を避ける工程を減らす必要性――などの課題がでてきたためだ。

ロボットの需要は、

(1) 工業化が進展している中国やインドなどでは、ロボットの普及率が依然として低いこと

(2) 3K(きつい、汚い、危険)職場への労働力確保が難しくなりつつあること

(3) 賃金の上昇

(4) 製品品質の安定化

などを背景に、中期的な成長が続くとみられている。

まとめ

前述の通り、今回のコロナショックは、ロボットの需要を一時的に減速させている一方で、自動化・省力化投資が再認識されているため、コロナショック収束後は、ロボットなどの自動化関連機器の回復が相対的に早まることが期待できそうだ。

関連記事

植物工場ビジネスの目指すべき未来 ㊦ 将来編

㊤現状編では、国内外の植物工場ビジネスの近況について述べてきたが、㊦ではその中での戦い方について筆者の考えを記したい。

百貨店に求められる今後のあり方とは

百貨店の苦境が、加速している。日本百貨店協会によると、全国の百貨店の売上高は消費増税後の2019年10月から8カ月連続で下落。コロナ休業明けの6月も、大手3社の売上高は回復していない。この記事では、百貨店本来の提供価値が失われている現状に着目し、トランスフォームが求められる、百貨店の在り方について考えてみたい。

植物工場ビジネスの目指すべき未来 ㊤ 現状編

コロナ禍の中で植物工場が脚光を浴びている。消費者の食に対する感度が高まる中、ネット、スーパーでの需要が伸びているという。植物工場はこれまで日本の研究・理論・技術が世界の最先端を走っていたが、ここ数年は海外の追い上げが激しく、国際的な優位が絶対的ではなくなってきている。また、採算性が上がってきたとはいえ国内でも競争が激化、今後、戦略的に取り組んでいくことが必須である。この記事では、国内を含めた植物工場ビジネスの最前線と今後について、考えたい。

ランキング記事

1

「不要不急」 削減された交際費の研究

会社の交際費で飲み食いし、湯水のようにお金を使う。いわゆる「社用族」と呼ばれる人々は、バブル崩壊とともに消え去った。多くの人が、そう思い込んでいる。しかし、交際費をめぐる数字を丹念に見ていくと、そのような「思い込み」とは異なる風景が見えてくる。この記事では、前回東京オリンピックが開催された1965年からの長期トレンドを観察し、日本の「交際費」を分析する。

2

ドラマ「半沢直樹」に学ぶこと JALのリアル「タスクフォースメンバー」が語る

TBS日曜劇場「半沢直樹」の快進撃が続いている。2013年に放映された前作は、最終回の平均視聴率が平成の民放ドラマ1位となる42.2%(関東地区)をマークし社会現象になった。今回も、視聴率が20%台の中盤と極めて快調だ。筆者は、後半のストーリーのモデルとなった「JAL再生タスクフォース」のメンバーであり、実際に日本航空に乗り込んで「タスクフォース部屋」を設置した。その当時のことを思い出しながら「半沢直樹」を見ている。ドラマと実際に起こったことに違いはあるものの、スリルのある面白いドラマとして楽しんでいる。 本稿では、筆者が、「半沢直樹」をみて感じたこと、そして、学ぶべきと思ったことを述べたいと思う。

3

「7割経済」時代の事業再生 Withコロナ ㊤バブル後30年の変化

コロナと共に生きるWithコロナ時代は、「7割経済」と言われている。これは、多くの産業で「コロナ前の水準に業績が回復することはない」ことを意味する。これまでの事業再生は、「経営改革を伴う再生計画を実行すれば、いずれ売上高も回復していく」という基本前提に立っているが、その前提が大きく崩れる。Withコロナ時代はこれまでとは異なる手法、事業再生の「ニューノーマル」が求められる。

4

フードデリバリーの大きな「伸びしろ」と課題

UberEatsや出前館に代表されるフードデリバリー企業の隆盛が著しい。新型コロナウィルス感染の影響による飲食店利用の減少と在宅時間の増加が相まって、ファストフード(FF)店やレストランの料理の配送サービスが足元で急増している。本稿では、流通・小売業界におけるEコマース市場の歴史等を参考に、フードデリバリー業界の将来シナリオについて論考していきたい。

5

植物工場ビジネスの目指すべき未来 ㊤ 現状編

コロナ禍の中で植物工場が脚光を浴びている。消費者の食に対する感度が高まる中、ネット、スーパーでの需要が伸びているという。植物工場はこれまで日本の研究・理論・技術が世界の最先端を走っていたが、ここ数年は海外の追い上げが激しく、国際的な優位が絶対的ではなくなってきている。また、採算性が上がってきたとはいえ国内でも競争が激化、今後、戦略的に取り組んでいくことが必須である。この記事では、国内を含めた植物工場ビジネスの最前線と今後について、考えたい。

人気のキーワード

海外スタートアップ情報はこちら!  寄稿・執筆者募集中