テレワークとは?時間や場所にとらわれない新たなワークスタイル

テレワークとは、Web会議システムやビジネスチャットツールなどのICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所にとらわれず柔軟に働ける新たなワークスタイルです。

「テレワーク」という言葉は、接頭辞のtele-(遠い)とwork(働く)を組み合わせたもので、「オフィスから離れた場所で働く」という意味の造語です。

アメリカでは、「Work From Home(WHF)」という言葉も使われます。新型コロナウイルスが感染拡大し、4月7日には緊急事態宣言が出されましたが、企業活動を継続していくための手段としてテレワークが注目されています。

テレワークを導入する際の3つのポイント

新型コロナウイルスの流行によって、急にテレワークの導入が必要になった企業も多いでしょう。新たにテレワークを導入する企業は、次の3点に注意しましょう。快適な労働環境をつくるため、労務管理の仕組みづくり、円滑なテレワークのためのITツールの活用、テレワーカーの作業環境づくりが欠かせません。

ポイント1. 労務管理の仕組み

テレワーカーの労務管理を行ううえで、必要な視点は次の3つです。

課題 解決案
勤務時間の管理 ・通常の労働時間制を続け、勤怠管理システムを活用して在宅での勤務時間を把握する
・事業所外みなし労働時間制を導入する
・裁量労働時間制を導入する
労働災害の対策 在宅ワークであっても、業務以外の私的行為ではなく、業務に由来するものは労災保険の給付対象とする
人事評価制度 労働時間ではなく、労働によって生まれた成果や業績を評価する「成果主義賃金制度」への移行が理想的

ポイント2. テレワーカーの作業環境整備

新型コロナウイルスの流行により、在宅勤務の長期化が予想されます。テレワーカーの健康維持のため、会社負担を基本としつつ、作業環境を整備しましょう。

課題 解決案
作業環境の確保 会社負担で机や椅子を支給する。機密性の高い業務の場合は、作業環境に関するルールをつくり、自宅でプライバシーを確保できるようにする
健康管理 テレワーカーはPCを使った長時間作業をすることが多く、厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に従い、作業時間や休憩時間のルールを作る

新型コロナウイルス感染症対策で増えたテレワークの導入事例3つ

新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、テレワークの導入事例が増えています。テレワーク未導入企業の参考となるような国内の事例を3つ紹介します。

GMOインターネットグループ:新型コロナ対応によるテレワーク移行の先行事例

GMOインターネットグループは、新型コロナウイルスが猛威をふるっていなかった1月下旬の段階でテレワークに移行した先行事例です。

2020年1月27日、渋谷・大阪・福岡の従業員4,000人を対象に感染予防対策を行ったうえで、在宅勤務体制に移行しました。

在宅勤務への移行から1週間後、従業員へのアンケート調査を行いました。9割近くがおおむね高評価だったものの、「リモート環境が遅い」「椅子机とPCサプライがなく、作業効率が低下」「紙ベースの業務に支障」といった生の声が上がり、在宅勤務体制の改善に活用しました。

クックパッド:在宅勤務の長期化にともない、作業環境を継続的に改善

レシピサイトを運営するクックパッドは、2020年2月18日より、まず10日間の在宅勤務を実施しました。

その後、新型コロナウイルスの状況を鑑みて、5月末まで国内拠点の全従業員を対象とした在宅勤務体制に移行しました。

日常的にクラウドサービスを活用しており、クラウド環境で社内ツールが使えたため、短期的に見ると課題は許容されうるものでした。

しかし、在宅勤務の長期化にともない、テレワーカーの作業環境を改善する必要が出てきたため、オフィスチェアやデスクを会社負担でレンタルし、労働者の健康に配慮しました。

テレワークの導入が新型コロナウイルスの感染拡大下における企業成長の鍵

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業がテレワーク制度を活用しています。これまでも、東日本大震災の際の計画停電や働き方改革実現会議の発足にともない、在宅勤務体制を整える動きはありましたが、従来にない規模でテレワークの導入が進んでいます。

本来、テレワーク制度はまず試験導入を行い、フィードバックを得ながら段階的に導入していくものです。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大下でも事業活動を継続するためには、本稿で解説したポイントをもとに、急ピッチでテレワークを推進する必要があるでしょう。

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