セクショナリズムとは?部署の利益に固執する「派閥主義」

セクショナリズム(Sectionalism)とは、部門(section)と主義(ism)を組み合わせた言葉です。

会社に限らず、組織や集団には、その構成単位である部門や部署が存在します。

こうしたグループが行き過ぎた独立志向を持ち、組織全体の利益よりも自グループの利益に固執している状態が「セクショナリズム」です。

日本語では「部局(部門)割拠主義」と呼ばれることがあります。

たとえば、「営業部門は努力しているのに、開発部門の技術力が足りないから商品が売れない」「製造部門はこれ以上余力がないのに、営業部門が勝手に受注してしまった」といったケースのように、部署間で協力するどころか、縄張り争いをしているような状態がセクショナリズムです。

グループごとの部分最適化はできていても、全体最適化という視点が抜け落ちているため、企業全体の生産性は低下する可能性があります。

社内に多くの部署や部門を抱える大企業ほど、セクショナリズムに陥りやすい傾向にあるといえるでしょう。

セクショナリズムの対義語(反対語)はコーポレーショニズム

セクショナリズムの対義語が、「コーポレーショニズム(Cooperationism)」です。

コーポレーショニズムとは、部門や部署が互いに連携し、協力関係にある状態を指します。また、「全体最適(Total Optimization)」も対になる概念です。

セクショナリズムの2つの種類

企業内のセクショナリズムは、「無関心型・非協力型セクショナリズム」と「批判型・排他型セクショナリズム」の2種類に分類可能です。

無関心型・非協力型セクショナリズム
他のグループに悪意を持っていませんが、自分たちのグループさえよければよいと考える傾向が強いことが特徴です。

直接的な悪影響はありませんが、部門間の情報共有が不十分で、フットワークが重いため、部門間連携がスムーズにいかず、結果として非協力的な関係性となるため、成果が上がりにくくなります。

批判型・排他型セクショナリズム
自分たちのグループの利益を優先するあまり、他のグループを批判し、攻撃しようする類型です。部門間の不要な諍いや不毛な争いが繰り返されるという特徴があります。

セクショナリズムが引き起こす3つのリスク

セクショナリズムに陥り、部門間の協力関係が乏しい組織は、次の3つのリスクが生じます。

組織内で対立が生まれ、生産性が低下する

セクショナリズムが進行すると、部門間の対立が生まれ、意思疎通がうまくいかなくなります。

部門同士の協力が必要な業務が停滞し、組織全体の生産性の低下を招くでしょう。

「他のグループの悪口をいう」「責任を他人に押し付ける」といった状態が横行すると、組織のモチベーション低下にもつながります。

自部門中心主義によって全体の収益が減少する

セクショナリズムに陥った組織は、自部門の利益を優先するため、他のグループの強みや知見を活かせません。

また、部門間の情報共有が乏しいため、顧客対応もうまくいかなくなります。

「よそのグループが対応すればいい」という独善的な考えが顧客離れを招き、取引先の信用を失うことにもなりかねません。

社員のメンタルヘルスが悪化し、離職者が増加する

適度な一体感は、グループ内の結束を高めますが、行き過ぎると過度な同調圧力や仲間意識を生み出します。

常に周囲の顔色をうかがい、いいたいこともいえない雰囲気が醸成され、社員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。

その結果、離職者が増加する可能性があります。

セクショナリズムが起きる3つの原因

社内に過度なセクショナリズムが生まれてしまう原因は3つあります。セクショナリズムが生まれるメカニズムを理解し、対策に役立てましょう。

原因1. 過度な競争意識

社内に適度な競争関係が存在している状態は、会社全体の生産性に好影響を及ぼします。

そのため表彰制度やインセンティブを設けることで、社内に競争意識を生み出す施策をとる企業は少なくありません。

しかし、競争意識が加熱してしまうと、セクショナリズムに発展してしまいます。

原因2. 組織内でのコミュニケーション不足

社内コミュニケーションがあまり活発でなく、部門や部署が縦割り構造になっている企業は、セクショナリズムに陥りやすい状態です。

部門間での情報共有が乏しいと、関心が薄れ、だんだん非協力的になってしまいます。

この状態が長く続くことで、排他的なカルチャーが醸成され、セクショナリズムへとつながるのです。

原因3. 「企業全体として」という視点の欠落

部署異動がほとんどない企業では、自分の関わる仕事しか知らない社員が多くなります。

そうなると、業務を広い視野で捉えることが困難となり、組織全体のバリューチェーンのなかで、自分の業務がどのような役割を果たしているのか、貢献しているのかを気づかずにセクショナリズムに陥ってしまう可能性が高くなります。

セクショナリズムを解消するための3つの対策

セクショナリズムを解消するには、3つの対策が有効です。

対策1.ジョブローテーションを増やす

ジョブローテーション制度は、本来社員の能力開発を目的とした制度ですが、社内の流動性を高め、セクショナリズムを解消するためにも役立ちます。

定期的な配置転換を行うジョブローテーション制度を導入すれば、社内のコミュニケーションを活性化し、縄張り意識を減らせます。

また、他の業種や部門への理解が深まり、企業全体としての視点を持つことが可能です。

しかし、ジョブローテーション制度は場合によって、「器用貧乏」を生み出したり、社員のモチベーション低下につながるため、過度な配置転換には気をつけましょう。

対策2.部署の垣根を超えた情報共有の機会を増やす

セクショナリズムの原因は、組織に縦割り構造が生まれ、部門間での情報共有やコミュニケーションが失われることにあります。

そのため、部署の垣根を超えたミーティングや、組織横断的なプロジェクトの機会を設け、定期的に情報共有ができる場を設けましょう。

成功事例や失敗事例など、部門ごとのナレッジを共有することで、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。

また、他の部署についての理解が深まり、協力して業務にあたるカルチャーが生まれるでしょう。

セクショナリズムを解決した2つの事例

様々な企業が、セクショナリズムを解消するために独自の施策を打ち出しています。ここでは、2つの成功事例を紹介します。

事例1. NTTデータのセクショナリズムの解決事例

NTTデータは、同僚との関係性の希薄さや、社内の風通しの悪さを打破しようとした有志社員による企画・社内SNS「Nexti(ネクスティ)」を2006年に導入。

2009年時点で約7400人が登録しており、Q&Aコーナーではほぼ毎日、質問と回答が寄せられるようになり、セクショナリズム解消の一助となりました。

Nextiは企業組織に「発信」「気づき」「つながり」の3つの場をもたらし、自分や周囲の価値を再発見して、お互いにつながりあう環境の構築に成功しました。

事例2. 日産自動車のセクショナリズムの解決事例

日産自動車は「V-up」という会議の方法を研究し、部署にとらわれない意見交換の場を作り上げました。

V-upでは、付箋とホワイトボードを使って会議内容が可視化されます。徹底的に効率を重視し、意思決定を行うことで会社全体の最適化につながりました。

セクショナリズムの原因を知り、速やかな解決策の導入を

円滑な組織運営を行い、企業全体の生産性を高めるためには、セクショナリズムに陥らない組織づくりが欠かせません。

セクショナリズムへの対策を講じることでイノベーションの創造や、その他の課題の解決にもつながります。ぜひ取り組みましょう。

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【参考URL】
NTTデータの社内SNSが“ITマネジメント革新賞”を受賞 2009年2月12日 | ニュースリリース | NTTデータ
日産 驚異の会議 | 日経クロステック(xTECH)

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