正常化への時間は?

greatwall

前回予想の通り、5月に全人代開催となり、4月29日に開催地である北京市はコロナ感染対策の緩和実施を発表した。これにより5月1-5日の労働節(メーデー)連休の期間も北京を出入りする移動がしやすくなった。
国内の低リスク地域から、北京に戻っての「14日間隔離」措置が無くなったからであるが、元の生活に戻ったとはまだ思えない。

観光地は全国で約70%の景勝地が再開されたが、時短、マスク着用、入場時の検温、健康カード(スマホアプリ登録)提示、更に入場者数制限は続いている。

北京故宮博物館では入場を1日5,000人までに制限。ネットでの予約が必要で、午前・午後を指定し、個人IDの登録が必要だ。当然、予約した本人が見学しないといけない。屋外の万里の長城でも、人数制限と予約制を設けている。
全人代開催前には、防疫体制の最終チェックが必要だ。今後海外からの入国者が増えてくる事も想定し、①「三密」の防止②個人の行動履歴の記録③健康カード(グリーンカード)提示④検温、マスク着用義務――という徹底した対策は、しばらく続くのではないかと考える。

接客業の回復

Hall of Supreme Harmony in the Forbidden City - Beijing
ネットユーザーから、コロナ収束に伴い,「リベンジ消費」「代償消費」の単語も並び、約3か月の制限から解放された反動で、消費に向かいたい人たちも少なくない。一部観光地での人の密集ぶりがテレビで報道された。4月29日の発表後、観光地入場制限はあっても航空機、ホテルの予約が急増した。

では観光業の回復かと言うと今回の労働節では、まだ厳しい状況だ。なぜなら、他国ではまだ収束していないだけでなく、決定的な治療薬、予防薬が開発されていない中、政府は一定の防疫体制の維持を続けざるを得ないであろう。けん制の意味もあるのか、交通運輸部の発表では、連休中の旅行者は1.17億人で昨年同時期の34.8%。鉄道、航空機のチケット予約量も昨年の1/3にとどまる。同部は、今年の「消費者」傾向として不要不急、不必要な出張はしない傾向であり、短期の旅行、自動車での省内観光が主となると推測している。

落ち込みの大きいサービス業である外食産業は1-3月の外食産業売上は6,026億元(約9.6兆円)と、昨年比44.3%のマイナスだった。(国家統計局発表)この連休で集客に力を入れているが、上記①―③の制度を適用される中、店内飲食収入の回復も限定的と言える。人との距離感を保つことが、必要な状況は続いている。

変化する消費動向

中村 中国 消費統計

1-3月のGDPは30年ぶりのマイナス6.8%(対前年比)となり、貿易額も同様マイナスとなった。輸出入総額は6.57兆元(約105兆円)とマイナス6.4%だが、輸出はマイナス11.4%に対して輸入はマイナス0.7%。消費物資の輸入は前年比を超えている。食品類は同プラス12.6%、スーパーの売上がプラス1.9%、その他小売がマイナス25-35%ECがプラス5.9%だが食品類はプラス32.7%と食品類のEC移行が表れているが、衣料品には反映されていない。全体に占めるEC比率は23.6%であり、2019年通期では20.7%であった。

5月も防疫体制が継続すれば「宅経済」(巣ごもり経済)の拡大も継続するとみられる。先述の外食は、EC化を更に進めていく中では、出店も住宅区(小区)での展開の必要性があると考える。

ライブコマースの拡大

10年ほど前よりあるが、この数年で急激に拡大している。今回のコロナによる宅経済の拡大からライブコマース(直播)も活況を呈している。
現在では主要ECプラットフォームでは、製品の出店だけではなくライブでの出店も積極的に取り入れており、個人から企業までが参加している。
ユーチューバー同様、インフルエンサー(中国ではKOL key opinion leaderと呼ばれる事も)または有名芸能人が商品紹介する形式が中心であったものから,商品のメーカー、一般人まで広がっている。
アリババのECプラットフォームTaobaoでは、ライブコマースユーザーが4億人と公表されている。2019年の取引額は2,000億元(3.2兆円)で前代では4,000億元を超えると言われている。

主要ECプラットフォームのTaobao, JD,蘇寧、拼多多(Pinduoduo)に加え、Tiktok、 Kwai(快手)と動画配信サービスが積極的に参加シェアを拡げている。消費者は商品を代わりに見て、説得力ある説明のKOLに惹かれ、購買に繋がると考える。その為の演出、方策も必要で視聴者=消費者マーケティング、コンテンツ制作、KOLを抱える企業、MCN (Multi Channel Network)の中国市場も100億元(1,600億円)を超えている。
市長など地方政府幹部の地方農産物、企業トップの商品紹介、セールス、更にオフラインのデパート、ショッピングセンターが販売と、多くの方面の参入が見られる。

まとめ

現場に行かなくても、現物を信頼できる人間(個人、製造者、販売専門者)が説明する事で、疑似体験による購買が拡大する。信頼できる人が説明することにより成立するビジネス。人との物理的距離を保たなければならない社会で、心理的距離を縮める新たな接客販売業として、拡大と変化が続くと考える。

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