グローバルをターゲットに

akihabarastreet
写真説明:中国産ゲームのポスターや看板をよく見掛けるようになった

中国最大手のテンセントやNetEaseといったゲームメーカーは、最初からグローバルを見据えたタイトルプロデュースを行っている。自身の持つ豊富な資金力を活用して、各国市場で成功確率を高める施策を講じている。日本でも積極的なプロモーションを行っており、街中でもポスターを見掛ける事が増えた。

国内スマホゲーム市場は、開発費高騰と新規のヒットタイトルの創出が難しいといわれる厳しい環境下にある。ここでは、中国の開発力、資金力を活用してグローバルでのヒットタイトル創出の可能性について考察したい。

低迷する、国内市場

 
cyber sport gamer playing game
2012年2月にガンホー・オンライン・エンターテイメントが「パズル&ドラゴンズ」をリリースして以降、日本のスマホゲーム市場は、順調に拡大を続けてきた。

日本のスマホゲームは、「ガチャ」と呼ばれるアイテムやキャラクターを課金型“くじ引き”で収集するゲーム性が色濃く、中国や米国で好まれるPCオンラインゲームを祖とした「バトルロイヤル」(生き残り戦)や「MOBA」(複数対複数のプレイヤーが、敵陣の攻略を目指す)といったアクション性の色濃いゲームとは嗜好を異にする。

直近では、日本のスマホゲーム市場の成長率が鈍化傾向を見せている。日本のゲームは「収集性」が強いことからユーザーのスイッチングコストが高く、ミクシィの「モンスターストライク」など、旧来の大型タイトルが長く人気を維持している。

その分、資金力に劣る中小スマホゲーム会社にとって、新規タイトルでヒットを出すことが難しくなっている。開発費、マーケティングコストの負担も大きく、新規タイトルの開発はリスクの高い事業となっている。
新しいタイプのゲームを確立したくても、ヒットするかどうか予測がつきがたく、挑戦も困難な状況となっている。
それが、さらにゲーム市場の停滞を招く一因となっている。

豊富なIPが頼み

akihabaraeki
写真説明:日本が得意な「二次元」でも中国勢が開発力を強めている

スマホゲームの黎明期は、キャラクターやシナリオなどを新しく作成したオリジナルタイトルが中心であったが、近年は著名なマンガやアニメをベースにしたタイトルが、リリース初期からプレイヤーを集めやすいこともあり、ヒット確率が高いとされている。
「ドラゴンボール」を代表とする日本の有力IP(知的財産)の中には、中国や北米でも知名度が極めて高いものもあり、有力IPをベースとしたスマホゲームが、日本国内だけでなくグローバルでヒットするケースも見られる。

一方で、グローバル市場をターゲットとした中国、韓国のスマホゲームは、グローバルでのリクープを想定し、高額な開発資金を投入して美麗なグラフィックを実現しているケースが多い。そのような中国、韓国ゲームに対抗するために、日本メーカーが開発するスマホゲームも質の高いグラフィックを実装する必要があり、スマホゲーム開発費は大型タイトルで10億円以上に高騰している模様である。

進む、中国メーカーとの連携

テンセントと日本企業 (1)

このような状況を打破する一つの策として、最大のスマホゲーム市場を有し、開発力、資金力にも優れる中国のスマホゲーム関連企業と、日本の有力IPをベースとしたタイトルを共同開発することが挙げられる。日本と中国を中心として、グローバルに当該タイトルをリリースすることが可能だ。
特に、日本側は現状、アクション性の高いゲームタイトル開発で中国に劣後している。 新しいゲーム性を導入した有力IPベースのスマホゲームを日本でリリースするためには、中国のリソースを、積極的に活用することは有効な手法と考えられる。

日本のスマホゲーム会社KLab(「ラブライブ!」のゲームなどで知られる)は、かねてより中国のゲーム会社と連携を進め、漫画「Bleach」など日本のIPを活用したゲームタイトルを共同開発。日本、中国向けに当該タイトルをリリースしている。

View of Shenzhen downtown area

また、先日、テンセントが、中堅ゲーム会社「マーベラス」に20%資本出資し、筆頭株主となると発表した。上記の表を見るとおり、テンセントは日本企業への出資や共同開発を進めている。背景には、中国側が有力日本IPを用いたグローバルゲームタイトルを開発したいという意向も確認される。

日本の有力IPホルダーの多くは、中国企業に直接ゲーム化権を渡すことに対し、抵抗感が根強い。中国企業にとって直接日本企業と交渉するよりも、出資した日本の会社を通した方が、交渉がスムーズに進展する、という考えも念頭にある。

まとめ

このように、今後は日本の有力IPを梃子(てこ)として、日中間でのスマホゲーム共同開発が進展する可能性がある。それに伴い、資本異動やM&Aも考えられることから、スマホゲーム開発の新潮流として、動向に注目したい。

ランキング記事

1

リカーリングビジネスはサブスクリプションとどう違う? 新しい収益モデルを解説

従来の商品やサービスを売ったら終わりの「買い切り型」モデルとは異なるビジネスモデルが目立ちます。 そのなかのひとつが「リカーリング」です。リカーリング型のビジネスには様々なメリットやデメリットがあります。 本記事では、リカーリングのメリット・デメリットや、サブスクリプションとの違いについて、具体例を挙げながら解説します。

2

百貨店でデジタル接客強化を

新型コロナウイルスの緊急事態宣言の影響で、百貨店の売上高は7割以上落ち込み、その後も思うように回復していない。現在の私たちを取り巻くwithコロナ時代、ニューノーマル時代において、百貨店は新たなビジネスモデルの開拓を求められている。この記事では、百貨店本来の強みを生かしつつ、デジタルで客をもてなす「デジタル接客」について解説する。

3

不動産価格は緩やかな下落局面に

不動産価格は、緩やかな下落局面に入り、2013年ごろから続いた上昇トレンドが終わろうとしている。どうして、急落しないのか?数年後の見通しは?コロナ禍によって変わる潮目を考察した。

4

新たな消費スタイル「トキ消費」とは?モノからコト、さらに次の消費行動へ

誰もがスマートフォンを持ち、SNSを通じてリアルタイムに情報や体験を共有する現代、「トキ消費」という新たな消費スタイルが生まれています。企業の経営者やマーケティング担当者は、最新の消費行動やニーズのトレンドを抑え、新たな戦略を立てなくてはいけません。本記事では、新たな消費スタイル「トキ消費」や「イミ消費」の特徴や、従来の「モノ消費」「コト消費」との違いについて、具体例を挙げながら解説します。

5

オペレーショナル・エクセレンスの基礎知識と事例~競合優位と業務効率化を目指す~

オペレーショナル・エクセレンスとは、現場で徹底的にオペレーション(業務の管理や実行過程)を改革することで、競合優位性の獲得を目指す考え方です。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む時代では、オペレーション改革の次の段階が求められます。そこで今回はオペレーショナル・エクセレンスの基礎知識を特徴や事例とともに解説します。

人気のキーワード