世界シェア半数、トップ7社中5社 影響力増した中国メーカー

図表

8月発表されたカウンターポイント・リサーチ社レポートによると、2020年4-6月スマートフォン・グローバル市場は、2億7600万台となり、前年同期比23%減、前四半期比6%減となった模様だ。ちなみに1-3月は2億9500万台(前年同期比13%減)であり、減少率は加速。現状で2020年のスマートフォン市場は12億台前後(2019年は14億8000万台)まで落ち込む可能性が指摘されている。想定以上に出荷台数が減少しているのはコロナの影響が大きく、高普及率の欧州と米州のようだ。一方で中国での出荷台数は、減少しているものの欧米と比較して減少率が少ない模様だ。

ファーウェイが初めて世界首位に 中国5社のシェア50%超え

結果として4-6月期のメーカー別出荷台数では、ファーウェイが僅かながらサムスンを超え、初めて世界トップとなった。ファーウェイの出荷台数は5480万台(前年同期比3%減、中国ウエイト70%超)に対し、サムスンは5420万台(同29%減)である。
ちなみにスマートフォン・トップ7のうち中国系が5社で、合計台数が1億3600万台(同13%減)。5社のグローバルシェアは約50%(前年同期44%)に達した。
また7社以外にスマートフォンを供給する企業は世界的に数十社あるが、それらを全部合計してもシェアはファーウェイ、サムスンを下回るまで縮小。存在感がなくなっている。

ファーウェイへの出荷停止、現実に

OPPOイメージ

一方、7月22日付「半導体微細加工技術が注目ポイント」で記載した流れに沿って、120日の猶予期間が終了し、9月15日に台湾TSMC社から中国ファーウェイへのスマートフォン向け半導体は出荷停止となった模様だ。

さらに米商務省は8月15日、ファーウェイ向けの規制対象を、「アメリカ由来の技術が使われた全ての半導体チップに拡大する」と発表。対象となる台湾メディアテックや韓国サムソン電子なども、システムチップをファーウェイ向けに供給するには、商務省の認可が必要となっている。
各社とも認可申請をしているようだが、承認されたとの報道はない。世界トップのスマートフォン企業に、コアデバイスが共有されないという異常事態が本当になってきた。

更に攻勢強める米国

こうした先端的技術で製造される半導体供給を絞る米国の姿勢はもう一段進展し、汎用的デバイスであるメモリ・有機ELディスプレイや画像センサ等にも波及してきている。これらの製品は、日本企業が一定以上のシェアを持つ(NAND型フラッシュメモリ=キオクシア、画像センサ=ソニー)。
現時点で半導体の米国技術由来のすべての半導体輸出において規制対象となっているのは、ファーウェイのみだが、仮に将来シャオミ・オッポ・ビーボ等他の中国スマートフォン企業まで加わると、世界のスマートフォンの半分以上向けにデバイスの供給が滞ることになる。

少なくとも数量ベースでは世界をリードしている中国企業に対し、収益性を数量に依存する装置産業的デバイス企業の対応が注目される。

予測困難な「在庫切れ」後のファーウェイ

図表

まずは短期的に、関連企業への業績インパクトは少なくない可能性がある。ただでさえコロナ環境下で数量・機能両面で市場が停滞しているスマートフォンの動向を見ると、特にハイエンド関連デバイスを主として、深刻に考える必要があろう。一方2021年半ば以降、ファーウェイが現在保有しているデバイスの在庫がなくなった段階で、中国のスマートフォン市場はどうなるのであろうか?予測は難しい。

ファーウェイの中国におけるスマートフォンシェアは、50%前後と言われており。世界最大市場である中国で、ファーウェイのスマートフォンが店頭から消えるという事態があり得る。

5G普及に影響

前述のようにデバイスの出荷規制が中国系企業全体に広がると、影響はさらに拡大する。また長期の観点では、5Gについてファーウェイ製採用の見合わせで、基地局の供給が既に問題となっている。5Gの普及が遅れる可能性が高く、5G応用を前提としたビジネスモデルを構築中の、多種多様な業界に対する影響もあり得る。

世界的なイノベーションに影響も

米国と中国の問題は、世界的なテクノロジーイノベーションにまで波及をし始め、1年後にどのような状況であるのか、あるいは長期的にどのような影響があり得るのか、今後IoTに関連するすべての企業において、戦略策定と十分なシナリオ策定、検証が重要と思われる。

関連記事

アナログな小売業 DX成功への処方箋

小売企業の多くが、DXへの取り組みを進めている。しかし、実際にデジタル革新が進んでいると、胸をはる業者は少ない。どうしてうまく進まないのか、ではどうすればいいのか。この記事では当社(フロンティア・マネジメント)のコンサルティング業務から見えてきた、DXの頻出課題と突破するための処方箋を提示したい。

国による「中小企業いじめ」の社会的リスク

菅政権のブレーンとして中小企業の淘汰・再編を指摘するデービッド・アトキンソン氏。彼の出身である英国の中小企業事情を調べてみた。英国では、日本以上に中小企業数が多く、企業数の増加も続いている。米国と中国を除けば、日本は中小企業数が極端に多いわけではない。中小企業の淘汰・再編にフォーカスする経済政策が本当にマクロ経済の復活につながるのだろうか。

EVは本当に最適か?② ガソリン車はなくなるのか 次世代燃料「e-fuel」とは

日本の自動車産業にとって、EVは最適な手段なのであろうか。第2回では、次世代燃料「e-fuel」について紹介するとともに、それが将来のHEV(ハイブリッド車)とBEV(外部充電式電気自動車)の販売シェアに及ぼす影響などについて考察する。

ランキング記事

1

国による「中小企業いじめ」の社会的リスク

菅政権のブレーンとして中小企業の淘汰・再編を指摘するデービッド・アトキンソン氏。彼の出身である英国の中小企業事情を調べてみた。英国では、日本以上に中小企業数が多く、企業数の増加も続いている。米国と中国を除けば、日本は中小企業数が極端に多いわけではない。中小企業の淘汰・再編にフォーカスする経済政策が本当にマクロ経済の復活につながるのだろうか。

2

注目を集めるCSV経営とは?実現のための戦略と事例を解説

CSVとは、「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略語です。社会的価値を戦略的に追求すれば、経済的価値も自然に生まれるという考え方を指します。 社会の利益と一企業の利益を同時に追求できることから、持続可能な経営に必要な考え方として注目されているCSV。しかしCSRとの違いや具体的なメリット、経営への落とし込み方について詳しく知らない人も多いでしょう。 そこでこの記事では、CSV経営のメリット・デメリットや国内大手企業のCSV経営事例を解説。またCSVを実践するために必要な経営戦略についても、分かりやすく説明します。

3

破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いは?メリットや事例を解説

破壊的イノベーションとは、既存事業のルールを破壊し、業界構造を劇的に変化させるイノベーションモデルです。 この概念は、ハーバード・ビジネススクールの教授であった故クレイトン・クリステンセン氏の著書『イノベーションのジレンマ』で提唱されました。それ以降、飽和状態となりつつある市場に必要なイノベーションとして注目されています。 本稿では、破壊的イノベーションの理論や企業の実践例から、破壊的イノベーションを起こすために必要となる戦略までを解説します。

4

中国で「食品ロス削減令」 農業振興の必要性高まる

農業国から先進国=工業国へ発展を進めてきた中国が、大食いや食料ロスを規制するとともに、農業拡大を強調している。背景には、都市化率上昇と共に、中国の食料課題が、世界にも大きな影響を与えている事情がある。

5

理想のコーポレートガバナンスを考える上で重要な「エージェンシー理論」とは?

多くの企業が、株主の利益を守るため企業経営を監視し、統制するコーポレートガバナンスを推進しています。 コーポレートガバナンスを考えるうえで有効なのが、ハーバード大学のM・C・ジャンセン氏らの論文で有名な「エージェンシー理論」(プリンシパル=エージェンシー理論)です。 コーポレートガバナンスの目的を達成するためには、まずエージェンシー理論の視点に立ち、経営者と株主の利害関係をとらえなおす必要があります。 本記事では、エージェンシー理論の意味やポイントを解説します。

人気のキーワード

海外スタートアップ情報はこちら!  寄稿・執筆者募集中