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リーンスタートアップとは?メリットやデメリット、事例まで解説
新規事業を立ち上げる際、どれだけの時間や費用をかければいいのでしょうか。その問いに対してリーンスタートアップは「最小限のコストで開発し、顧客のフィードバックを取り入れていくべき」だというマネジメント手法です。 2008年に提唱されたリーンスタートアップの考え方は2020年の現代でも通用するのでしょうか。本稿では、リーンスタートアップの基本的な知識や、メリット・デメリット、成功事例について解説します。
リーンスタートアップとは?トヨタ生産方式に学ぶ起業家の成功法則
リーンスタートアップ(Lean Startup)とは、精神論に傾いた伝統的な起業論ではなく、短期間で分析と学習のサイクルを繰り返し、徹底的に“無駄”を排除して、事業の急成長を目指すシステマチックなビジネスモデルです。
「無駄のない」という意味の「リーン(lean)」と、「起業、事業を起こす」という意味の「スタートアップ(startup)」の2つの言葉から成り立ちます。アメリカの起業家エリック・リース氏の著書『リーンスタートアップ』で提唱されました。
リーンスタートアップの方法論を支える3つのサイクル
リーンスタートアップでは、事業化プロセスの無駄をなくすため、仮説(アイデア)の構築と検証のサイクルを効率よく回転させることを目指します。具体的には、「構築」「計測」「学習」という3つのサイクルが存在します。
1.構築(Build) | ターゲットに合わせ、製品やサービスのアイデアを考える。その後、実用的で最小限の機能を持つプロトタイプ(MVP)をなるべく短期間でリリースする。 |
2.計測(Measure) | プロトタイプをなるべく少人数の顧客にテストしてもらい、市場における反応を計測する。 |
3.学習(Learning) | フィードバックをもとにして、製品やサービスを改善する。必要なら、ピボット(pivot方針転換)を行い、ビジネスモデルを再検討する。 |
1. 構築(Build):製品やサービスを構築し、リリース
構築(Build)とは、経営者のアイデア、従業員の気づき、顧客の声から既存の製品やサービスの改善点を見つけ、新たに作り上げるプロセスです。
リーンスタートアップでは、無駄をなくすために、開発段階では最小限のコストと時間で製品やサービスを作り上げ、リリースします。開発時の製品・サービスを「MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)」といいます。
2. 計測(Measure):市場のフィードバックを計測
計測(Measure)とは、製品やサービスを速やかにリリースし、市場からのフィードバックを得て、定量的に改善点を分析するためのプロセスです。
売上高、流行、顧客の反響といった指標から、様々な反応を客観的に計測します。
3. 学習(Learning):製品やサービスを改善し、必要ならピボット
学習(Learning)のプロセスではまず、市場のフィードバックをもとにして、1回のサイクルにおける製品やサービスの問題点を検証します。
製品は現在の市場で有効か、サービスは顧客が抱える課題のソリューションとなっているか、仮説の検証が完了したら、次のサイクルに移り、更なる成長やスケールアップを目指します。
もし製品やサービスに問題点が見つかれば、思い切ってピボット(pivot:方針転換)することも重要です。
リーンスタートアップの3つのメリットとデメリット
リーンスタートアップの理論に基づいた事業経営には、メリットとデメリットの両方があります。
リーンスタートアップの3つのメリット
リーンスタートアップに則った事業経営には3つのメリットがあります。
コスト・時間を抑えられる
顧客のフィードバックを前提としているため、開発における費用や時間、人件費を最小限に抑えられます。また、失敗をした場合でも無駄にコストをかけていないため、ダメージも少なくなります。
リリース期間の短縮
早期にリリースし、フィードバックをすばやく適用することで、市場において先行利益を得て、競合他社より優位に立つことが可能です。
製品やサービスの反響に敏感になり、顧客のフィードバックを逃さない
アップデートのたびにフィードバックを得られるため、顧客の声を逃さず、より好ましい形で製品を市場に再投入できます。
リーンスタートアップの2つのデメリット
リーンスタートアップに則った事業経営のデメリットは2つあります。
開発コストが高い製品やサービスでは不向き
MVPの構築・計測・学習のサイクルが何度も繰り返されるため、1回あたりの開発コストが高い製品やサービスでは、一定の企業体力が求められます。
サイクルを回すうちに当初の目的を見失うこともある
サイクルを回していく中で、当初の目的とずれていくことも少なくありません。時として、当初の開発方針を取りやめ、思い切った方針転換に踏み切るべきケースも出てきます。
リーンスタートアップの成功事例
リーンスタートアップで成功した企業の1つが、ファイルシェアサービスのDropboxです。2007年の創業からわずか11年で、1兆円上場を達成しています。
リーンスタートアップで大成功したDropboxの事例
Dropboxは2018年3月23日に新規上場(IPO)を果たし、創業から11年で時価総額約1兆1600億円の企業となりました。
創業当時、ストレージサービスの多くは、Webブラウザを通じて利用する形でした。しかし、Dropboxはストレージ型のサービスのユーザーの不満を分析し、インストール型のサービスのリリースを決断。
その後、ユーザーの反響を見ながら、モバイルアプリ版のリリースや、大容量データを保存できる有料プランなどの機能追加を行い、シリコンバレーを代表するスタートアップに成長しました。
リーンスタートアップは時代遅れなのか?
2008年の当時と比べて、ビジネス環境は大きく変化しました。SNSを通じ、大量の情報がリアルタイムで消費される現代では、リリースされた製品やサービスの評判が瞬時に消費者へ広がります。
MVP(実用最小限の製品)だからといって、あまりにも質が低い製品やサービスを出せば、本格的に市場参入する前に評判を落としてしまう可能性もあります。
しかし、クローズドな環境で検証ができる分野や、AI・IoT・フィンテックのように市場が未成熟で、スタートアップの方向性が定まりにくい分野では、依然として有効なマネジメント手法と言えるでしょう。
リーンスタートアップが事業立ち上げを成功に導く
近年では顧客ニーズにより、製品やサービスは常に変化が求められています。リーンスタートアップはスタートアップ企業に限らず、新規事業の立ち上げにも通用する考え方と言えるでしょう。
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