リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、リード(まだ購買や申込、契約に至っていないが、近い将来顧客になる可能性の高い人や企業)の購買意欲を高めるマーケティング活動のこと。単に、「ナーチャリング」と呼ばれるケースもみられます。

一般的には、購入や申込に至るまでの期間が比較的長い(BtoBの)高額商材のセールにおいて、自社に対して何かしらのアクションを行ったリードがナーチャリングの対象。具体的には、自社ホームページに設置した問い合わせフォームなどを活用し、名前(社名)や電話番号、住所、質問といった情報を獲得したリードがターゲットです。

しかし、SNSなどのプラットフォームが発展した現在は、「いいね」ボタンなどのアクションを行った見込顧客らも、リードナーチャリングの対象に含むとするケースが一部みられます。

尚、ビジネスフローでは、マーケティング担当者がリードナーチャリングを担い、その後営業担当者がクロージングを行うイメージ。古典的な方法としては電話やダイレクトメールの配信が、現代的な方法としてはコンテンツの配信などが挙げられます。

リードナーチャリングの歴史

昨今、リードナーチャリングの方法が複雑になっています。それは、顧客と企業の接点がデジタル空間で多様化したこと。具体的には、オウンドメディアやSNS、動画共有サイトなど、顧客と企業を直接つなぐコミュニケーションプラットフォームが増え、リードナーチャリングを行う媒体が拡大したためです。

媒体が紙の広告やテレビCMのみだった時代では、消費者が企業に電話やメールをして初めて、顧客と企業の間に直接的な接点が生まれていました。コミュニケーションツールはもちろん、電話やメールのみ。アナログな方法でリードナーチャリングが行われていました。

しかし、Webが発展したことによりマーケティング担当者は、電話やメールに加え、SNSやオウンドメディア、外部Webサービスなど、さまざまな媒体を活用しなければならなくなっています。また、手法も多様化し、デジタル広告やコンテンツの配信、SNSフォロワーへのリアクションなど、タスクが広がっています。

さらに、マーケティング・テクノロジー(ツール)の進化によって、”自社サイトやSNS上でリードがどのような動きをしているのか”、”どのリードがどれくらいの購買意欲に達しているのか”といった情報を、細かく可視化したり管理したりできるようになりました。

リードナーチャリングの主な手法

現在、リードナーチャリングの手法は多岐に渡っています。

広告の配信(リターゲティング)
リターゲティングとは、インターネット広告の手法の一つで、過去に自社サイトを訪れたことがあるユーザーに対し、各種広告掲載面で再び広告を表示させる手法のこと。商材を改めて認知させ、購買意欲を高める方法としては、非常に有効的な手段です。

ダイレクトメールの配信
問い合わせフォームなどを活用してEメールアドレスを獲得したリードに対し、営業メールを発信する方法です。昨今は、SNSフォロワーに対してダイレクトメッセージを送ることができるため、多くの企業がSNSを活用しています。また、リードのアクション応じて、予め作成したダイレクトメッセージを自動で配信できるツールも開発されています。

コンテンツの配信(コンテンツマーケティング)
コンテンツマーケティングとは、読者にとって有益な情報を配信し、商品やサービスのファンを増やしたり、見込み顧客の獲得を促したり、購買意欲を高めたりするマーケティングの手法です。
オウンドメディアなどで定期的にコンテンツ(読み物形式のものや、解説動画など)を配信し、商品やサービスに対する興味関心を促します。

電話営業(ヒアリング)
電話を使って口頭でコミュニケーションを行い、商材の紹介やヒアリングなどを実施する方法です。最も古典的な手段ですが、直接コミュニケーションを取れるという点で非常に有効的。昨今は、テレビ電話などを活用したケースも増えています。

リードナーチャリングのコツ

リードナーチャリングの手法を実践する上で、欠かせないのがスコアリングです。これは、リードの属性や行動を基にして購買意欲などを点数化すること。アプローチの重要度を優先順位づけしたり、ナーチャリングのアクションを決めたりするために行われます。

例えば、”電話による問い合わせは+10点”、”自社サイトへの訪問を+3点”といったように、事前に取り決めた加点方式にしたがって各リードの購買意欲をスコアリングします。

スコアリングを行うと、リードナーチャリングを一定のレギュレーションで進めることができるため、タスクの属人化を防ぐことができます。また、クロージングを担う営業担当者らに各リードの情報を説明する際、ロジカルに話を進めることができるでしょう。

リードナーチャリングを効率化するマーケティングオートメーション(MA)

マーケティングテクノロジーの発展によって、企業はリードナーチャリングを緻密に、そして効率的に行えるようなっています。その一つが、マーケティングオートメーション(Marketing Automation)です。これは、マーケティングに関する試みを最適化したり、リード(見込顧客)を管理したりするためのプラットフォーム。また、マーケティング活動を自動化する試みそのものをマーケティングオートメーションと呼ぶケースも一部でみられます。

MAの主な役割・目的は、リードナーチャリングで重要なシナリオ設計(どのリードに・どのようなタイミングで・何を配信するかなど、マーケティング活動に関する一連のアクションを仕組み化すること)を円滑にすること。その他、最適なタイミングでメッセージを自動配信するなどして、マーケティング担当者をサポートします。もちろん、リードジェネレーション(新規のリードを獲得する活動)の最適化も、目的の一つです。

また、”ダイレクトメールへの返信は+2点”など、事前に取り決めた加点方式にしたがってシステムが各リードをスコアリング。一定の基準に達したリードをユーザーに自動で通知させるなど、リードクオリフィケーション(購買意欲が高いリードの選別)のサポート機能を備えたMAも展開されています。

最新のビジネス事情については弊社FMIに相談を

リードナーチャリングに関する理解は深まりましたでしょうか。企業と顧客をつなぐ媒体が増えたり、マーケティングテクノロジーが進化したりする昨今、マーケティング担当者の仕事はますます拡大しています。

フロンティア・マネジメント株式会社(FMI)では、最新のビジネスノウハウやプロセスに関して、経営のスペシャリスト集団がきめ細かに顧客をサポート。オウンドメディアやメールマガジンでは、お客様の悩みや課題の解決を導く、さまざまな情報を発信しています。

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