ハイパーマーケットとは?スーパーマーケットとの違いやカルフールの失敗を解説!

「ハイパーマーケット」とは、欧州を中心に発展した小売形態の一つです。郊外の大型店舗で、食品を中心に幅広い商品を揃えることが特徴ですが、日本ではあまり普及していません。 2000年にはフランスのハイパーマーケット「カルフール」が日本に進出しましたが、約5年であっけなく撤退しています。 その理由は日本独特の小売形態であるGMS(総合スーパー)の存在や、GMSとの違いをカルフールが押し出すことができなかったためだと言われています。 ハイパーマーケットとGMSとの違いや、カルフールがなぜ日本市場で失敗してしまったのかを、日本市場で成功している海外小売会社「コストコ」と対比しながら解説します。

シェアする
ツイート

ハイパーマーケットとは

ハイパーマーケットとは、ヨーロッパで生まれた小売業態の一つです。

主に下記の特徴があります。

  1. 郊外にある大規模スーパー(倉庫型の店舗となっていることが多い)
  2. 大きな駐車場を備えており、売り場面積が2,500㎡以上
  3. 食品を中心に衣料、雑貨など幅広い商品を取り扱う
  4. 消費者自身が商品をショッピングカートに集め、出口となっているレジで会計する「セルフサービス」方式

ハイパーマーケットの建物は、基本的に2階建てです。
1階から2階へは、ショッピングカートをそのまま乗せられる「オートウォーク」という緩やかなエスカレーターを使って移動します。

商品倉庫をそのまま店舗として使っているイメージで、内装や外装にはコストをかけておらず、天井が剥き出しになっている店舗も目立ちます。
その分、他の業態に比べて価格が安く設定できているのです。

厳密には異なりますが、日本で言えば、「コストコ」が最もハイパーマーケットに近い店舗となっています。

ハイパーマーケットとGMSの違い

以前は世界でハイパーマーケットを展開する「カルフール」が日本に進出しましたが、現在の日本には、メジャーなハイパーマーケット形態の小売業はありません。その理由の一つが、日本での「GMS(General Merchandise Store)」の発達です。

GMSは、日本では「総合スーパー」とも呼ばれます。
イオンやイトーヨーカドーなどが代表的な店舗です。

ここでは、一見似ている小売形態のハイパーマーケットとGMSの違いについて解説します。

GMSとは

GMSは、今から100年ほど前にアメリカで生まれた小売形態です。
日用品を中心に幅広い商品を取り扱う、当時としては珍しい業態でした。

アメリカは国土が広いため、様々な商品を一箇所で取り揃えるGMSは消費者に受け入れられたのです。
以降、アメリカでは週末に家族全員でGMSに買い物に行き、まとめ買いをする文化が生まれました。

本来のGMSは「日用品を取り扱う総合小売店」とされ、食料品は扱いません。
しかし日本では、食料品を中心に衣料品、日用品などの生活必需品を揃えるスーパーマーケットとしての機能を兼ね備えた「日本版GMS」が発展しました。

現在では食料品がメインの直営売り場に、専門店街を設ける店舗が多く見受けられます。
そのため、今日の日本版GMSは単独の店舗ではなく、GMSを中心としたショッピングセンターとして業種の複合化が進んでいます。

ハイパーマーケットと日本版GMSの違い

ハイパーマーケットと日本版GMS(総合スーパー)には、さまざまな違いがあります。

ハイパーマーケットは倉庫型となっており外装などにコストをかけていませんが、日本版GMSでは倉庫型の店舗となっていません。

また、ハイパーマーケットは入り口から出口までが全て直営売場のみですが、日本版GMSは直営売場以外の専門店街もあり、レジが店舗ごとでの会計という点も特徴の一つでしょう。

ハイパーマーケットは1〜2階建てが多く、多くても3階建てまでである一方で、日本版GMSは多フロア型の店舗であることも当てはまります。

一方で、ハイパーマーケットと日本版GMSは似ている部分も多くあります。
共通の特徴としては、以下のような点が挙げられます。

  • PB(プライベート商品)を多く取り扱う
  • 郊外に大型店舗を建設
  • 大量仕入れでコストを削減商品を顧客がピックアップするセルフサービス方式を採用

ハイパーマーケットは日本に合わない?

生活に密接な要素を多数持つ店舗にも関わらず、「ハイパーマーケット」という用語を聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。
それは、日本においてハイパーマーケット形態で出店している店舗がないためと考えられます。

小売業として世界第2位の売上高を誇る(注1)「小売業界のドン」であったフランスの「カルフール」は、日本での展開は失敗しました。

しかし、その後日本に進出したアメリカの「コストコ」は、順調に業績を伸ばし、現在では日本国内に29店舗を構えています。(注2)

コストコはその後、カルフールに替わって小売業界で売上高が世界第2位となりました。(注3)
世界における売り上げの状況は似ていたにもかかわらず、日本での業績には大きな差が生まれています。

両者の違いは、どこにあったのでしょうか。

カルフールの日本進出と撤退

フランスの企業「カルフール」は、1963年にパリ郊外のサント・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワに、世界で初めてハイパーマーケット形態の店舗を出店しました。(注4)

日本進出当時の2000年において世界トップレベルの売上規模だったカルフールはヨーロッパはもちろん、南米やアジア各国にも進出し、勢いのある企業でした。
世界トップ企業の日本進出であり、日本1号店の出店場所がイオングループが本社を置く幕張だったため「黒船襲来」とも言われたほどです。

しかし結局カルフールは日本での事業は失敗し、約5年で日本からの撤退を余儀なくされました。

日本でカルフールが失敗した理由の一つが、「差別化ができなかったため」です。
元々欧米では、スーパーを中心とした総合スーパーがありませんでした。そのため、カルフールのような食品を中心としたハイパーマーケットが消費者に受け入れられたのです。

しかし、すでに食料品を中心としたGMSが展開されている日本では、ハイパーマーケットに対して特に目新しさはありません。

さらに、カルフールはほとんどの食料品を日本国内で調達し「フランス企業らしさ」を打ち出せませんでした。
そのため、日本のGMSとの差別化ができなかったのです。

企業が発展する上で重要な差別化や付加価値の創造ができていなかった点が、カルフール撤退の要因と言えるでしょう。

日本で成功するコストコ

カルフールとほぼ同時期に日本に進出したのが、アメリカの「コストコ」です。
コストコはカルフールが実現できなかった差別化ができていたため、日本で成功しました。

コストコの店舗名には、「コストコ 幕張倉庫店」といったように、「倉庫店」と付けられているという点が特徴的です。
店内にはフォークリフトが走り、商品はパレットの上にそのまま陳列されていることもあります。

アメリカから輸入した商品も非常に多いという特徴もあります。
ラベルに英語が記載されている商品も目立ち、商品のサイズは日本のメーカーの商品であっても業務用サイズのみの販売です。

倉庫を思わせる雰囲気、英語が書かれた商品、普通のスーパーでは販売していない業務サイズのみの販売という点が、日本人に「アメリカらしさ」を連想させました。

これによりコストコは、日本版GMSやカルフールでは提供できない付加価値を提供でき、日本で成功を収めたのです。

ECサイトの普及で激変する小売業界、情報をキャッチすることが重要

カルフールとコストコはよく似た業態ですが、日本での差別化や付加価値の創造ができたかどうかで、日本での成否が大きく分かれました。

今日ではECサイトの急速な普及によって、小売業界の競争がより激しくなっています。そのため、小売業界においては他社との差別化や付加価値の創造が一層重要です。

Frontier Eyes Onlineでは、社会のトレンドやマーケティング手法など、ビジネスに関わる情報をわかりやすく解説しています。ぜひメルマガに登録し、ビジネス界の最新情報を逃さないようにしてください。

引用(参考)
注1:フランス企業(カルフール・フランステレコム) の汎欧州事業戦略|ジェトロ
注2:コストコについて|Costco Japan
注3:世界の小売業ランキング2020|デロイトトーマツ コンサルティング合同会社
注4:フランス的小売業態の国際移転プロセス ~取り込み型国際移転から持ち込み型国際移転へ~|白 貞壬

コメントを送る

頂いたコメントは管理者のみ確認できます。表示はされませんのでご注意ください。

コメントが送信されました。

関連記事