「miHoYo」とは

mihoyoイメージ

▲miHoYoは2012年に正式に設立された 

miHoYoは2011年に上海交通大学の学生が創業(正式な設立は12年)したゲーム会社で、正式名称は「上海米哈游网絡科技股份有限公司」。日本のアニメ・ゲーム文化に強く影響された作風が特徴で、「崩壊学園」(日本での公開は2015年)の大ヒットで、一躍有名になった。

企業スローガンは「TECH OTAKUS SAVE THE WORLD」(技術的なオタクが世界を救う)。

「原神」の衝撃

「原神」は、3DCGを二次元アニメ調に表現する「トゥーンレンダリング」を用いた美麗なグラフィックを実装している。プレーヤーが自由に世界を冒険できる「オープンワールド型アクションRPG」は、スマホゲームではあまり見られなかったジャンルだ。

当初は、任天堂「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」からの影響が指摘され、ネット上で批判もあった。

しかし、徐々にグラフィックのクオリティやゲーム性の高さが認められ、世界中のゲームファンから広く受け入れられている。

現在、スマホだけでなくマルチプラットフォーム化され、Windows版やPlayStation4版などもリリースされ、様々な環境でプレイできるようになった。

巨額の開発費

原神の開発に、miHoYo社は、開発費と初期マーケティング費用を併せて100億円強、500人規模の開発者を投じたと報じられている。

この開発規模は、現在日本企業の投じる標準的なスマホゲーム開発費用5~15億円からは文字通り、桁違いの規模となっている。

一方、グローバルでのヒットにより、「原神」は、2か月程度でグローバル売上400億円を達成した模様とも報じられている。miHoYo社の同タイトルにおける企業活動は、「大規模開発→グローバルでの大ヒット」という、コンソールゲーム(家庭用ゲーム機向けゲーム)の開発/回収スタイルに極めて類似した企業活動とみなし得る。

グローバルなヒットで、躍進する中国ゲーム

崩壊3rdイメージ

2018年以降、miHoYo社の「崩壊3rd」や、NetEase社の「荒野行動」など、美麗なグラフィックや新規ジャンルの投入により日本国内で中国製スマホゲームの躍進が見られてきたが、これを支えてきたのは、日本を含めたグローバルでのヒットを前提とした大規模開発リソースの投入と考えられる。

「原神」に投じられた開発リソースは、上記のようなタイトルの開発リソースを更に上回る規模と見られ、「原神」のクオリティにグローバルのスマホゲームファンが慣れてしまえば、他のスマホゲーム会社も、開発リソースを強化して対抗せざるを得ないものと考えられる。

低コスト「カードゲーム型」に走る日本勢

現状、日本のスマホゲーム会社は、従来からヒットしてきたカードゲーム型RPGに、新しい魅力的なキャラクタや有力IPを載せて、既存の自社ゲーム開発エンジンを使いまわして効率的に開発するという開発スタイルを採用するケースが多い。

確かに、ビジネス判断という観点では、リスクやコストを抑えた合理的な判断とも言えるだろう。

しかし、エンターテインメントの世界で、効率性に重きを置いてしまえば、新しい“驚き”を創出することは容易ではない。

アジアの優秀なエンジニア確保を

日本のスマホゲーム会社が新しい“驚き”を創出するには、miHoYo社のように、1タイトルに100億円を投じないまでも、海外(特にアジア)の優秀な若手エンジニアを確保することによりアクションゲームや新ジャンルにも対応する基礎ゲームエンジンの開発、強靭な資金力の確保、が有用となるだろう。

前者に関しては、フランスのコンソールゲーム会社UbiSoft社が上海、フィリピンにスタジオを開設し、積極的に海外開発リソースを確保しているケースが参考となる。

中国企業との共同開発、資本提携も

一部スマホゲーム会社が進めているが、今後は技術力を持つ中国開発企業との共同開発も増加する可能性が有るだろう。強力な資金力を持つ大手ゲーム会社との資本を含めた協力関係の構築や、合併を通じた企業体力の向上が考えられる。

「原神」のヒットを契機とした日本のスマホゲーム会社の、新しいスマホゲーム開発スタイルへの対応を注視していきたい。

参考▽
miHoYo・中国語

関連記事

排出権取引とは? 世界・日本の現状も解説

地球温暖化問題への取り組みをはじめとして地球環境に配慮する機運は年々高まっています。ESGやSDGsなど近年こうした言葉を目にする機会も増えたのではないでしょうか。こうした取り組みはいずれも環境問題を解決し持続性のある社会活動を目指すものですが、ビジネスにおいても例外ではありません。その中に「排出権取引」というものがあります。排出権取引は地球温暖化の直接的な原因とされている二酸化炭素の排出に係る企業や団体間の商取引です。本記事ではその概要について解説していきます。

フィジカルインターネットとは?物流業界変革の構造や業界動向を解説

ECの普及により物流量が増加している今、物流業界は人手不足や労働環境の悪化、トラックの積載率の低下(注1)など深刻な課題を抱えています。 この課題を解決する方法として注目されているのが「フィジカルインターネット」です。 フィジカルインターネットは、インターネットの網の目のような通信網をフィジカル(物理的)な物流業界で応用する考え方です。 本記事では、フィジカルインターネットの構造を解説し、実現へ向けた企業各社の動きを紹介します。

EVは本当に最適か?⑤ 基幹産業=自動車を守る為に

ゼロカーボン社会に向け、EV(電気自動車)は本当に最適なのだろうか?シリーズ最終回は、日本が技術的優位に立つ「Hy-CAFE」(Hy:水素/C:Cold fusion/A:Ammonia/F:Fuel cell/燃料電池/E:e-fuel」を生かした、自動車の次世代エネルギー革命についてまとめた。

ランキング記事

1

EVは本当に最適か?⑤ 基幹産業=自動車を守る為に

ゼロカーボン社会に向け、EV(電気自動車)は本当に最適なのだろうか?シリーズ最終回は、日本が技術的優位に立つ「Hy-CAFE」(Hy:水素/C:Cold fusion/A:Ammonia/F:Fuel cell/燃料電池/E:e-fuel」を生かした、自動車の次世代エネルギー革命についてまとめた。

2

村上春樹さんから学ぶ経営⑯「文章はいい、論旨も明確、だがテーマがない」

前回のテーマは「変えてはならないことがある」でした。そこで今回は、本田宗一郎氏――「社の連中に技術的な話をしたことがない。話すことは、みな技術の基礎になっている思想についてである」「技術はテンポが早く、すぐ陳腐化してしまう。技術はあくまでも末端のことであり、思想こそ技術を生む母体だ」(『起業家の本質』プレジデント社)――のようなお話です。それでは今月の文章です。

3

「安すぎる日本」で国民は苦しむか? 最低賃金引上げの合理性を問う

最低賃金引上げが叫ばれている。日本の賃金は国際的に見て安いらしい。一般消費財でも、スターバックスコーヒーやマクドナルドなどグローバルブランドの商品が日本では先進国中で最低価格となっており、「安すぎる日本」として話題になっている。最低賃金引き上げは、本当に筋のよい政策なのだろうか。

4

相続登記義務化のインパクトとは?

不動産を相続した場合、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する必要があり、この手続きを「相続登記」と呼ぶ。従来相続登記は任意であったが、2021年6月の法改正により2024年を目途に義務化されることになった。相続登記義務化の背景と、そのインパクトは何かを考察する。

5

プロスポーツチームの戦略オプション②~スタジアム・アミューズメント化経営の要所

コロナ禍において、プロスポーツチームが取り得る戦略オプションは、どのようなものがあるだろうか。今回は取り組みが活性化してきている「スタジアム・アミューズメント化」経営について、その提供価値と実現スキームに焦点を当てて解説していく。

人気のキーワード

海外スタートアップ情報はこちら!  寄稿・執筆者募集中