CRM戦略とは?

CRM戦略は、現代のマーケティングでは欠かせない戦略の1つです。日本語で「顧客関係管理」を意味する、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略語で、主に小売業で使われます。

CRM戦略は、多様化する顧客のニーズに合わせて、商品やサービスを展開します。その結果、顧客満足度を上げ、競合他社と差別化を図ることを可能にします。

顧客と長期的に良好な関係を築いて、リピーターやファンとなる顧客を得るために必要な戦略です。

例えば、

  • 性別や年齢などの顧客属性の情報収集
  • 購買履歴から見たセール品の選定分析
  • DMや電子クーポンなどの発行やポイントカードの導入

などがあります。

CRM戦略を行うことで、情報の収集や収集した情報をどのように分析するかなど、特定の顧客との関係性を深められます。

自社と良好な関係となった顧客は、リピーターになり継続的な売上に貢献してくれます。詳細は後述しますが、例として、メルマガの配信やポイントカードなどが挙げられます。

CRM戦略が注目されている背景

CRMが意味するところの顧客リレーションシップに着目した文献は、1970年代半ばに米国で確認されています(注1)。CRM戦略は、企業規模を問わず中小企業にも必要とされるマーケティング戦略になっています。

なぜなら、インターネットの普及によるライフスタイルの変化で、顧客の属人化が進み、ニーズが多様化しているためです。

これまでのように、全ての人に同じ商品やサービスを提供するだけでは、たとえそれが良い商品や良いサービスであっても、顧客は満足せずにリピートしなくなりました。

企業は多様なニーズに沿ったサービス提供ができるように、より顧客を知る術としてCRM戦略が注目されるようになっています。

CRM戦略導入の3つのメリットを解説
CRM戦略の目的は、インターネットが普及した現代で、顧客個人にフォーカスした戦略立案です。CRM戦略を導入する過程で、企業は以下3つのメリットを享受できます。

  • 顧客満足度の向上
  • 顧客データの社内一元管理
  • データに基づいた意思決定

CRM戦略が企業に及ぼす、3つのメリットの詳細を解説します。

差別化で顧客満足度が向上

CRM戦略にはいくつかの分析方法があり、例えばその中の1つである、RFM分析の活用によって、顧客の「Recency(直近購入日)」・「Frequency(購入頻度)」・「Monetary(購入金額)」を分析できます。

RFM分析の結果、顧客を属性毎にセグメンテーション化でき、一定の水準以上の高利益顧客には粗品のプレゼントをするなど、顧客が「また来たい」と思える特別感の演出が可能です。

個人へのアプローチで特別感も生まれ、自然と競合他社との「差別化」が図れます。また、万が一顧客からクレームを受けた際も、クレーム情報を共有しておくことで、スムーズに解決します。

顧客データを社内で一元管理

顧客に寄り添った商品やサービスを提供するためには、顧客情報の集約が欠かせません。

顧客情報を社内で一元的に共有することで、複数店舗を展開している企業でも店舗間での情報共有がスムーズになります。

A店のリピーターが偶然B店に来店しても、B店のスタッフがA店のリピーターであることを認識できます。

たまたま立ち寄ったにも関わらず、B店でも認識されているリピーターは、より特別感を感じることでしょう。

このように、顧客データを一元管理することで情報の蓄積と共有はもちろんですが、場合によっては顧客からのロイヤルティーも得られます。

データ基準の客観的な意思決定が可能

製品やサービスの課題解決や売上を拡販するための策はそれぞれ異なります。

企業は、顧客の性別・年齢などの属性や購入商品、購入時の行動履歴のような蓄積したいデータを取捨選択できます。

CRM戦略を進めることで、経営者の経験則や肌感覚に頼らない、数字に基づいた客観的で精度の高い解決策を打ち出せます。

CRM戦略の事例を紹介

CRM戦略の事例は、いずれも顧客情報の集約と集約した情報をどのように活用するかがキーポイントになります。

CRM戦略の事例を知ることで、導入時のイメージを掴むヒントが得られます。

紹介する事例は、下記の2つです。

  • メルマガ配信
  • ポイントカード

関心度に合わせたメルマガ配信で行動を引き出す

メルマガ配信は、受取人である顧客との関係性を深める有効的な手段で、メール受取人限定のセールやサービスの開催告知を行い、特別感を演出することも可能です。

メルマガの内容を属性や顧客のセグメント別で変えることで、施策の効果検証も容易にできます。

例えば、工芸品の製造販売など様々な事業を運営する、株式会社中川政七商店は顧客に向けて下記の情報などをメルマガ配信しています。

  • リアルイベントのPR
  • 直営店への来店促進

Webの記事やSNS閲覧などのオンラインアクションを分析して、来店や購入のオフラインアクションに繋がる活動を進めています。

メルマガ配信のメリットは、ローコストで何度もトライアンドエラーを繰り返し、配信内容をブラッシュアップしていけることです。また、自社ブランドのイメージや存在感が顧客の中で大きくなっていきます。(注2)

ポイントカードで情報を蓄積

ポイントカード運用で得られるメリットは、大きく3つあります。

  • 顧客属性の把握
  • 購買行動履歴の蓄積
  • 再来店誘致

顧客にポイントカードを作成してもらう時点で、顧客属性の情報を獲得できます。さらに、ポイントカード利用で、ディスカウントや粗品プレゼントなどのメリットを提供することで再来店の誘致を狙えます。

また、同時に購入商品や購買行動履歴の情報が蓄積して、企業・顧客の双方にメリットが出る施策を出すことが可能です。

新たな施策でまた情報の蓄積ができるようになり、次なる施策に踏み切ることで良い循環を生み出せます。

例として、「セブンマイルプログラム」が挙げられます。株式会社セブン&アイ・ホールディングスが提供するアプリを介したポイントサービスです。

セブンマイルプログラムは、株式会社セブン&アイ・ホールディングスが運営するグループ全社で横断的に活用できるポイントプログラムです。

約2,300万人が対象となり、アプリを通して、買い物や来店行動などでマイルが溜まり、イベント体験やnanacoポイントへの変換などの特典を受けることができます。

「セブンマイルプログラム」は、蓄積した情報で各種マーケティングや商品開発等に活用されています。(注3)

CRM戦略を運用する3つのポイント

CRM戦略のメリットや事例を紹介してきました。ここからは、CRM戦略を運用する上でのポイントを3つ紹介します。

目的と目標を明確にする

目的と目標を定めず、着地点が不明確では、CRM戦略を始めても上手くいきません。

  • 目的は、CRMの導入で、顧客への価値提供が「より深く広い顧客に可能」
  • 目標は、自社がCRMを導入して、解決する課題は「顧客満足度の向上」

上記のように、なぜ自社にCRM戦略が必要とされるのか、どのように運用できれば目的を達成したとなるのかを事前にしっかりと決める必要があります。

例えば、顧客満足度を向上したい場合は、粗品やセール品を選定するための購買履歴の集約・分析、売上拡大を狙う場合は、自社の強みを分析できる情報の収集が必要です。

結果として、来店行動や購買行動、イベント参加などに繋がった顧客の行動をスコア化し数値目標での達成判断が可能になります。

まずは、自社が直面している課題を明確にすることから始める必要があります。

CRMシステムを活用する

顧客データを集め、課題解決のために分析と実行のために活用すると言っても、一企業の努力だけでは限界もあります。

膨大なデータ量を店舗ごとに共有ファイルに入れていくよう、営業担当者に指示をしても管理や共有が上手くいきません。

しかし、CRMシステムを使用することで、CRMシステムに顧客の情報を蓄積していくだけで、企業が分析したい顧客属性や購買履歴などが簡単に抽出・活用できます。

CRM戦略を導入する上で、CRMシステムは必須のツールと言えます。CRMシステムの導入により、購買周期の分析やLTV(Life Time Value)計測が可能になります。

さらにCRMシステムで収集及び分析した情報は社内全体で共有できます。

集めたデータで戦略立案する

集めたデータでメルマガ配信を行うのか、利益率改善のために購買履歴からセール品を変えるかなど、企業により活用方法は千差万別です。

明確にした目的を達成するための、「手段」についてもしっかりと考える必要があります。手段の効率化やサポートに顧客情報は有意義な情報になります。

自社の脅威となる存在に勝つためにはどのような戦略を取るべきか、CRMシステムで集めたデータが生きてきます。

CRM戦略は現代のマーケットが求める戦略

CRM戦略における企業活動は現代のマーケットが求める企業の在り方です。CRM戦略を行うことで、企業側は資産となる情報の蓄積共有やリピーターの獲得、顧客側は自分だけの特別感を感じることができるwin-winの戦略です。

引用(参考)
注1:CRMの戦略的意義と課題|遠藤 雄一
注2:中川政七商店が次世代CRM「Synergy!BCS」を共同開発|中川政七商店
注3:コーポレートアウトライン2017 グループ事業戦略|株式会社セブン&アイ・ホールディングス

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