顧客の意向を第一主義に考える「アドボカシー・マーケティング」とは?

細分化されるマーケティングの手法。その一つとして、顧客第一主義で考える「アドボカシー・マーケティング」が注目されています。顧客の意向を第一優先とし、リピーターの獲得などを目指すアドボカシー・マーケティングは、一体どのようなものなのでしょうか。今回は、その定義や注目背景、事例などに関して、分かりやすく解説しています。

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アドボカシー・マーケティングとは

一般的にアドボカシー・マーケティングとは、顧客から長期的に利益を獲得するため、徹底的に顧客にとっての最善を模索するマーケティングの考え方です。また、ロイヤリティが高い顧客(いわゆるヘビーリピーター)を戦略的に抱え込もうとする志向性そのものを、アドボカシー・マーケティングと呼ぶケースもみられます。

このマーケティング手法では、顧客の意向を最優先することで強い信頼を築き、リピーターの獲得などを目指します。具体例には、企業として発信しづらい自社の商品やサービスに関する欠点などについて、隠さず顧客へ情報発信することなどが挙げられます。

アドボカシー・マーケティングは、支援や擁護などを意味する「アドボカシー(advocacy)」とマーケティングを掛け合わせた用語で、”顧客第一主義のマーケティング”として認識されています。

日本では、米マサチューセッツ工科大学のグレン・アーバン教授の著書『アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業』が翻訳出版された2006年以降に国内で拡散し、現在さまざまなビジネスシーンで用いられているということです。

アドボカシー・マーケティングが注目される背景

アドボカシー・マーケティングが注目される背景には、「LTV:ライフタイムバリュー(顧客が取引を通じて企業に与えた価値の合計)」の考えや、「顧客が購買や申込を検討するに当たり、企業が発信する情報以外からも情報収集を行えるようになったこと」などが大きく関わっていると言われています。

例えば、TwitterなどのSNS、商品の口コミサイトでは、商品の使い勝手や実際の評判について、顧客はありとあらゆる情報を入手することが可能です。また、顧客は知りたい情報を企業に直接求めるのではなく、自身に最適なプラットフォームで、欲しいタイミングでスピーディーに情報を得ることができるようになっています。

こうした顧客ニーズへの対応は、ブランディングに負荷が掛かったり工数やコストが増えたりするため、短期的に会社の利益を考慮する企業では、度外視するケースがほとんどでした。しかし、LTVの考えが広まるにつれて、短期的利益の観点だけはなく、信頼やリピーターの獲得といった長期的利益の観点も企業が重要視する傾向に。結果、顧客の意向を優先的に考えるアドボカシー・マーケティングが注目されるようになったということです。

アドボカシー・マーケティングの手法

アドボカシー・マーケティングの代表的な手法の一つには、カスタマーサポートの強化が挙げられます。具体的には、コールセンターによる24時間365日の対応や、商品取引に関するスムーズなオンラインコミュニケーションなど。もちろん、これらは工数やコストが掛かるサービスですが、同時に顧客満足度の向上に大きく貢献する施策でもあります。

例えば、オンラインショッピングで買ったものを返品する際、コミュニケーションや返金などの対応に数日が掛かった。スマートフォンのインターネット接続状況が悪くなり、契約会社に問い合わせしたが電話が全くつながらない。これらを経験した多くの顧客は次のサービス利用を考える際、おそらく他のプラットフォームに切り替えることを真っ先に考えるのではないでしょうか。

このように、企業がターゲットのリテラシーや企業コストを考慮するがあまり、アフターサービスの内容などを複雑かつ限定的なものにする傾向が昨今しばしばみられます。若年層をメインターゲットにする一部のIT企業では、高齢者のITリテラシーを酌量し、問い合わせ媒体を全てオンラインに。また、サービスの解約を防ぐため、消費者が分かりにくいよう複雑な仕組みに。こうした施策はリピーター育成を阻害するどころか、企業に対するイメージを悪くさせる要因にもつながります。

アドボカシー・マーケティングの事例

オンラインで靴を販売する米国の「Zappos」社では、ユニークなマーケティング施策が行われています。顧客は(購入から365日以内)送料無料で返品ができる他、基本的に注文の翌日に商品を受け取ることが可能。また、カスタマーサポートチームが24時間365日、顧客対応を行います。さらに、オンラインでの接客だけではなく、電話による接客も積極的に行っているとのこと。こうした試みには、顧客第一主義といった同社の思想が大きく反映されています。

一見すると、企業の運営を難しくさせるこれらの施策ですが、このアドボカシー・マーケティングが、正にビジネスを成り立たせているといいます。同社では、新規顧客の獲得に力を注ぐ代わり、既存顧客の育成としてリソースを投入。結果ロイヤリティの高い顧客が生まれ、これらのヘビーユーザーが口コミなどを掲載し、新規顧客の獲得に貢献しているということです。

実際、米国のコンサルティング会社「Bain & Company」のディレクター、フレデリック・ライクヘルド氏が提唱したとする「1:5の法則(新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかる)」や、「5:25の法則(顧客離れを5%改善すると利益が最低25%改善する)」などを考えると、Zappos社の戦略は誤りと断言はできないでしょう。
「アドボカシー・マーケティングとは 山岡隆志先生インタビュー」

アドボカシー・マーケティングの注意点

アドボカシー・マーケティングでは、長期的な視点に立ち、運用方法やメリット、デメリットを捉えなければなりません。これは、アドボカシー・マーケティングが短期的な利益の獲得を狙うものではなく、ライフタイムバリューの最大化などを目指す手法であるためです。

長期的に利益をもたらすヘビーリピーターの育成は、時間が掛かるのが一般的。投入するリソースや期限、計画、コストはもちろんのこと、そのメリットやデメリットなどについて、数ヶ月、数年間のスパンで施策を考える必要があります。

加えてアドボカシー・マーケティングでは、顧客の意向を第一優先に考えて施策を行うため、(短期視点では)人的・金銭的コストが増加します。また、成果が伴わなかった場合、企業はさまざまなビジネスリスクを背負うことになるでしょう。

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アドボカシー・マーケティングに関する理解は深まりましたでしょうか。フロンティア・マネジメント株式会社(FMI)では、ビジネスの成功に必要となるノウハウやプロセスに関して、経営のスペシャリスト集団がきめ細かに顧客をサポート。また以下のメールマガジンでは、ジャンルを問わずさまざまなビジネス事情について配信しております。

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