ビジネスインテリジェンス(BI)とは?BIツールの導入シーンやメリット、注意点を解説

データの活用戦略が企業の競争力を左右することに異論を唱える人はいないでしょう。特にWithコロナの企業経営では今まで以上に迅速な意思決定が必要であり、データを活用して事業環境の変化にタイムリーに対応できない企業は生き残ってはいけません。今回は、様々なデータを多角的・複合的に分析し、企業の意思決定を支援するビジネスインテリジェンス(BI)について解説していきます。

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ビジネスインテリジェンス(BI)とは?

ビジネスインテリジェンス(BI:Business Intelligence)とは、企業が日々蓄積する膨大なデータを活用して現状分析をおこない、分析結果をもとにより良い意思決定、経営判断を下すことを言います。

効果的にデータを活用することで、的確かつ迅速な意思決定を導くのがビジネスインテリジェンスの本質です。

ビジネスインテリジェンスが注目される背景

今、ビジネスインテリジェンスが注目されているのは、以下のような背景があります。

企業が扱うデータ量の急増

近年、AIやIot、クラウドサービスの普及にともない、企業が取り扱うデータの量・種類は急速に増加しています。加えて、顧客の消費行動が多様化・複雑化しており、顧客ニーズに応えるための意思決定も困難です。

このような状況において、従来のように経験と勘に頼った意思決定では売上・利益の拡大が見込めないどころか業績悪化を招く原因にもなりかねません。そこで、データを収集・分析し、アルゴリズムに基づいて経営戦略などの意思決定をおこなう「データドリブン経営」という考え方が注目されるようになりました。

関連記事:データレイクとは? データウェアハウスとの違いや導入メリットを解説!

データドリブン経営の障壁になるデータのサイロ化

データドリブン経営を阻む要因の一つとして挙げられるのが、データのサイロ化です。データのサイロ化とは、企業内にデータが散在するなどして他部門との連携や情報共有を図れないことを言います。

日本企業はかねてから縦割り組織と言われており、データが部署や拠点ごとに分散していました。そのうえ、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)など部署ごとに異なるシステムを導入しているケースも多く、「情報が重複して管理されている」「情報が横断的に社内へ共有されない」「必要なときに必要な情報を参照できない」という課題を抱えている企業が少なくありませんでした。

データがサイロ化している企業ではデータドリブン経営がうまくいくはずがありません。そこでこの状況を打開できるのがビジネスインテリジェンスであり、そのために活用したいのがBIツールです。

BIツールとは?

BIツールとは、ビジネスインテリジェンスを実現するために企業に蓄積された膨大なデータを分析し、迅速な意思決定を支援するツールです。様々な形式で散在しているデータを集計・連携・加工し、分かりやすくアウトプットできる特徴があります。

クラウド型とオンプレミス型

従来は企業が自社サーバーで運用するオンプレミス型が一般的でしたが、クラウドの普及とともにBIツールもクラウド型が主流になっています。

クラウド型であれば社内にサーバーを構築する必要がなく、オンプレミス型よりリーズナブルです。月額数万円から利用できるクラウド型BIツールもあるので、比較的容易に導入を検討できます。

セルフサービスBIとは

従来のBIツールを使いこなすには、データサイエンティストなど専門的な知識・スキルを持った人材が必要でした。これに対し、昨今主流になっているセルフサービスBIは専門知識を持たない人が使うことを前提に設計されており、直感的に操作できるインターフェイスを備えたBIツールです。セルフサービスBIであれば、現場のエンドユーザーが自身でデータを収集・分析したり、レポートを作成したりすることができます。

BIツールのメリット

BIツールを導入する主なメリットは、以下の3点です。

散在するデータを統合して分析

BIツールの導入により、社内に散在するデータを一箇所に集約したうえで抽出・分析することができます。BIツールによる分析データを見れば良質な知見が得られ、タイムリーかつ的確な意思決定が可能になるはずです。

潜在的な課題を発見

BIツールによる分析結果から、これまでは気づき得なかった課題を抽出できることがあります。潜在的な課題が浮き彫りになることで、後のトラブル・問題を未然に防ぐことができます。

データ集計やレポート作成が瞬時に終わる

BIツールを使えば、データの分析結果を瞬時にグラフなどで分かりやすく可視化できます。これまでExcelなどを使って手作業でおこなっていたデータ集計やレポート作成も、BIツールを使えばあっという間に終わります。

BIツール導入のポイント・注意点

BIツールの導入を検討する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。

1.目的を明確にする

他社の真似をしてBIツールを導入しても、有益なパフォーマンスは期待できません。何のためにデータを分析するのか、将来的にデータを活用して何をしたいのか、といった明確な目的がなければ、優秀なBIツールは宝の持ち腐れになってしまいます。BIツールの真価を発揮するには、データを活用する目的を明確にし、データドリブン経営の戦略を固めることが重要です。

2.分析に必要なデータを揃える

BIツールは、自社にとって有用なデータを収集してくれるツールではありません。あくまでも、既存のデータを一箇所に集約して効率的に分析するためのツールです。BIツールを導入してもデータが不足していれば分析の精度が低くなり、有益な知見を得ることもできません。BIツールを導入する際は、精度の高い分析ができるだけのデータが社内にあるかどうかを確認しておく必要があります。

3.自社に合ったBIツールを選定する

BIツールを導入する企業が増える一方で、BIツールを使いこなせている企業はまだ少ないかもしれません。多機能なBIツールを導入したために使いこなすことができず、結果的に使われなくなってしまうケースも多くあります。自社にとって必要な機能を見極めたうえで、自社に合ったBIツールを選定することが重要です。

4.運用できる体制を構築する

BIツールのメリットを最大限に享受するためには、自社で運用できる体制を構築しておくことが重要です。そのためには、BIツールを効果的に運用できる人材の育成が不可欠ですが、セルフサービスBIなど、高度な専門知識がなくても使えるツールを選択することで育成コストを抑えることができます。

将来を予測するビジネスアナリティクス(BA)とは?BIとの違いとは?

ビジネスアナリティクス(BA:Business Analytics)とは、ビジネスインテリジェンスでの分析結果をもとに将来を予測して、次におこなうべき意思決定を最適化するという考え方です。

ビジネスアナリティクスとビジネスインテリジェンスの違い

ビジネスインテリジェンスとビジネスアナリティクスの大きな違いは、その目的です。

  • ビジネスインテリジェンスの目的:企業が有するデータをもとに現状分析をおこない、意思決定を迅速化すること
  • ビジネスアナリティクスの目的:過去・現在のデータから将来を予測し、意思決定を最適化すること

現状分析にとどまらず将来の予測までを担い、意思決定の最適化を促すことができる点が、ビジネスアナリティクスの大きな特徴だと言えるでしょう。

BI・BAを活用してデータドリブン経営を加速

Withコロナと言われる時代、あらゆる企業はデータドリブン経営によって事業環境の変化に対応していかなければなりません。そして、データドリブン経営を強力に支えるのが今回解説したビジネスインテリジェンスであり、ビジネスアナリティクスです。加速度的にデータ量が増え続けていくこれから、旧時代の手法・体制ではデータを有効活用することはできません。BIツールやBAツールを導入して、高度なデータドリブン経営を推進していきましょう。

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