ワーケーションとは

ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、国内外のリゾート地や帰省先など休暇中の旅先でのテレワークのことです。

もともとはアメリカで生まれた働き方ですが、コロナ禍で急速にテレワークが拡大した日本でも注目されるようになりました。

政府も、2021年度の観光庁関連予算案で「新たな旅のスタイル」促進事業として5億400万円を計上。

リゾート・温泉地で余暇を楽しみつつ働くワーケーションなどの需要に対応し、環境整備を進めていく姿勢を見せています。

地方自治体によるワーケーション呼び込み

ワーケーションに注目しているのは企業だけではありません。地方自治体もワーケーションの呼び込みに対し積極的です。

コロナ禍で打撃を受けた地方自治体は、ワーケーション呼び込みによる地方活性化のため、環境整備やPRを進めています。

また、2019年11月には、ワーケーションを受け入れる側の自治体が集まってワーケーション自治体協議会(WAJ)が設立されました。会員となっている地方自治体は増えており、2021年2月時点で170(1道20県149市町村)の自治体がWAJの会員です。

ワーケーションのメリット、デメリット

リゾート地などで仕事を行うワーケーションによってどのような影響があるのでしょうか。

ここでは、企業のワーケーション導入で得られるメリット、およびデメリットについて解説します。

ワーケーションのメリット

働き方改革の推進

ワーケーションの導入は、有給休暇の取得を促進します。たとえば、週末の木曜・金曜でワーケーションをおこない、土日を挟んで翌週月曜に有給休暇を取得すれば、計5日間のリゾート地滞在が可能です。

ワーケーションに合わせて有給を取得するなど長期休暇を計画しやすくなり、働き方改革の推進につながるでしょう。

従業員のモチベーションアップ

ワーケーションは一般的なテレワークと違い、働く環境をガラリと変える点が特徴です。

普段と違った環境での仕事は気分転換になりますし、その土地ならではの食事やアクティビティによって心身ともにリフレッシュできるはず。結果として、従業員のモチベーションも向上します。

ワーケーションのデメリット

情報漏えいの懸念

ワーケーションはリゾート地などに赴き、オンラインで仕事をします。セキュリティ上のリスクが高まるため、情報漏えいの対策を講じる必要があるのです。

データの送受信方法や機密情報の取扱方法、モバイルデバイスの管理方法など、各種のセキュリティ対策を強化したうえでワーケーションを導入しましょう。

労務管理が困難

ワーケーションはオフィス以外の場所で働くため、従業員一人ひとりの仕事が見えにくくなります。それゆえ、勤務時間や休憩時間を把握しづらく、労務管理が困難になるといえるでしょう。

ワーケーションを導入する前に、勤怠に関するルールを整備し、ワーケーションに対応した評価方法や管理方法を決めておかなければなりません。

ワーケーションの事例

アメリカで生まれたワーケーションですが、日本でも有名な企業がワーケーションの導入を進めています。

ここでは、各企業のワーケーションの事例を見ていきましょう。

日本航空、2017年にワーケーション導入

まずは日本のワーケーションの先駆的存在である日本航空です。

日本航空では、全ての社員が自分らしく活躍することができるよう、ワークスタイルの変革を進めています。その一環として、さらなる休暇の取得促進を目指したワーケーションの導入を行いました。2017年夏季だけで11名、2018年は年間を通して174名の社員がワーケーションを利用しています。

また、ワーケーションを社内で普及させるため、2017年12月、2018年1月には社員向けの体験ツアーが実施され、参加した社員からも好評でした。今後も観光地を紹介する冊子の配布などでワーケーションを浸透させる方向です。

ワーケーションの効果

日本航空、NTTデータ経営研究所、JTBの3社は、ワーケーション導入による効果を調べるため、2020年6月に実証実験を実施しています。

実験の結果、ワーケーションによる従業員の仕事ぶりや心身の健康に対するポジティブな影響が見られました。具体的には仕事とプライベートの切り替えの促進、組織へのコミットメントや仕事のパフォーマンス向上、ストレスの減少などが挙げられます。

ユニリーバ・ジャパンのワーケーション

ここからは、全国8つの自治体と提携してワーケーションを推進しているユニリーバ・ジャパンの事例をご紹介します。

ユニリーバ式ワーケーション「地域 de WAA」

ユニリーバ・ジャパンは2019年7月に、独自のワーケーション「地域 de WAA」を導入しました。場所にとらわれない働き方の選択や、新しいイノベーションの創出を目的としています。

「地域 de WAA」では、同社が提携する自治体の施設を「コWAAキングスペース」(コワーキングスペース)として社員が無料で利用可能です。また、業務外の時間を使って自治体指定の地域課題の解決に役立つ活動を行うと、提携宿泊施設の宿泊費が無料または割引になります。

現在8つの自治体と提携しており、参加した社員からも高評価だったようです。

働く場所・時間を社員が選ぶ「新しい働き方」

同社では2016年7月から、働く場所・時間を社員が選べる新しい働き方「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)を導入しました。
WAAでは、上司に申請すると、自宅や図書館など、会社以外の場所での勤務が可能となります。平日の5時~22時の間で勤務時間や休憩時間を決め、自由にワークスタイルを選択できる点が大きな特徴です。

WAA導入後、日々の生活にポジティブな変化が見られたと感じている社員が多く、働き方改革の成功例といえるでしょう。

ワーケーションへの考え方に関するデータ

2020年8月、日本旅行、We’ll-Being JAPAN、あしたのチームの3社共同で、社員、経営者、地方自治体のワーケーションの考え方についての実態調査が行われました。
その結果、各方面からのワーケーションへの関心の高さが明らかになっています。詳しくみてきましょう。

「ワーケーションに興味がある」社員6割

社員を対象とした設問では、ワーケーションに「非常に興味がある」と回答した方が23.8%、「少し興味がある」と回答した方が38.2%でした。つまり、約6割の人がワーケーションに関心を示しているのです。

労務管理や評価制度など制度面での不安も聞かれてはいるものの、興味を持っている社員が多いといえます。

経営者は半数が既に実践

経営者を対象とした設問では、半数近くの経営者がすでにワーケーションを実践していると回答しています。さらに「自社に取り入れたい」と回答した人も50.4%であり、ワーケーションの導入に対して積極的であるといえるでしょう。

受け入れ先の自治体も活性化に期待

自治体職員を対象とした設問では、自治体職員の約3割が、民間企業のワーケーション制度導入による地元の活性化に期待を寄せていると回答しました。今後、普及が進むと考えられているワーケーションは、地元活性化の起爆剤として注目されています。

企業だけでなく地方自治体からの期待も高いといえるでしょう。

ワーケーションの広がりに期待

2019年のエクスペディアの調査によると、日本人の有給休暇取得日数は10日、有給休暇取得率は50%であり、どちらも世界19カ国で最下位となっています。ワーケーションはこのような日本の現状を打破するきっかけとなるかもしれません。JALがワーケーションの実証実験に取り組むなど、日本でも多くの企業がワーケーションの効果に関心を寄せています。

2021年は、ますますワーケーションに注目が集まりそうです。ワーケーション導入の拡大に期待していきましょう。

参考
国土交通省観光庁|令和3年度観光庁関係予算概要
Facebook|ワーケーション自治体協議会(Workation Alliance Japan)
ワークスタイル変革|サステナビリティ|JAL企業サイト
広報誌「明日の翼」Summer 2018 | サステナビリティ | JAL企業サイト
ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与する|プレスリリース|JAL企業サイト
会社員・経営者・自治体職員対象「ワーケーション」に関する考え方・取り組みの実態調査|株式会社日本旅行
世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2019も発表 日本人は世界で一番「短い休暇」が好き おススメの旅行スタイルは「ステイケーション」|エクスペディア

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