リカーリングビジネスはサブスクリプションとどう違う? 新しい収益モデルを解説

従来の商品やサービスを売ったら終わりの「買い切り型」モデルとは異なるビジネスモデルが目立ちます。 そのなかのひとつが「リカーリング」です。リカーリング型のビジネスには様々なメリットやデメリットがあります。 本記事では、リカーリングのメリット・デメリットや、サブスクリプションとの違いについて、具体例を挙げながら解説します。

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リカーリングは継続収益を得ることを目的としたビジネスモデル

リカーリングは、「Recurring=繰り返す」という意味で、「リカーリングレベニュー(Recurring Revenue)=継続利益」を得ることを目的としたビジネスモデルです。

プリンターとトナー、家庭用ゲーム機とソフトや、携帯電話と通話料金のように、製品やサービスを利用するために必要な消耗品やライセンスを販売し、定期収入を得ることを目指します。

リカーリングの先駆けとされているのが、アメリカの安全カミソリメーカーのジレット社です。

ジレット社はカミソリの本体(レーザー)を無料で配布し、利益率が高いカミソリの替刃を有料で販売しました。替刃は定期的に交換が必要なため、継続的な収益を得られます。

リカーリングビジネスを成功させるためには、安定したリカーリングレベニューを確保しつつ、ユーザーに費用が適正なものであることを納得してもらわなければなりません(リカーリングコスト=継続的に発生する費用)。

リカーリングビジネスには、それぞれメリットやデメリットがあるため、双方を評価しておくことが大切です。

サブスクリプションとの違いとは? 具体例とともに解説

リカーリングとよく似たビジネスモデルが「サブスクリプション(Subscription)」です。

リカーリング=継続利益のビジネスモデルですので、サブスクリプションはリカーリングの一種となりますが、一般的には「サブスクリプション=定額制」、「リカーリング=従量課金制(変動型)」と区別されるケースが大半です。具体例を挙げながら2つのビジネスモデルの違いを解説します。

リカーリング=コストが変動する従量課金制のサービス

リカーリングビジネスとしてよく挙げられるのは、電気代・水道代の支払いや、コピー機のインク代などの製品やサービスです。

電気代・水道代などの光熱費
電気や水道などを利用するためには、電気会社や水道局に使用料を払わなくてはなりません。

毎月電気や水道を使った量に応じた「利用料金」を支払います。

電気会社や水道局はユーザーからリカーリングレベニューを得て、サービス提供に必要なコストや設備投資を行っています。

コピー機のトナーやインクカートリッジ
プリンターやコピー機も、身近なリカーリングビジネスの例です。

電気や水道と違い、プリンターやコピー機の購入には初期コストが必要ですが、メーカーは機器で収益をあげるのではなく、トナーやインクカートリッジから多額のリカーリングレベニューを得ています。

メーカーはトナーやインクカートリッジの価格を調整し、機器の不具合へのアフターサービスを提供することで、顧客の維持に努めています。

サブスクリプション=コストが一定の定額制のサービス

一方、サブスクリプション・モデルのビジネスとしてよく挙げられるのは、動画視聴サイトやクラウドサービスの利用料金などの製品やサービスです。

動画視聴サイト(VOD)の定額見放題サービス
インターネットを通じ、パソコンやスマートフォン、タブレットから手軽に動画を視聴できるサービスは、多くの場合サブスクリプション・モデルを採用しています。

どれだけ動画を視聴しても料金が変わらない「定額見放題サービス」は、低コストで動画を視聴したいユーザーのニーズと合致し、大きな市場を形成しています。

企業側は映画、ドラマ、アニメなど多彩なラインナップを用意し、集めたユーザーを飽きさせない工夫をしています。

具体的にはNetflixなどが挙げられます。この他、Spotifyなどの音楽配信サービスもサブスクリプション・モデルです。

クラウドサービスの月額利用料金
インターネットを通じ、様々なサービスやアプリケーションをクラウド環境で提供するクラウドサービスも、サブスクリプション・モデルの典型です。

クラウドサービスの具体例としては、WebメールサービスのGmailの有料版などをふくむビジネスツールパッケージとしてGoogle社が展開している「G Suite」。

WordやExcelなどのツールを利用できるMicrosoft社の「Office365」があります。

リカーリングのメリットとデメリットは、顧客満足度

十分なリカーリングレベニューを得るには、顧客ファーストなビジネスを展開し、多くの顧客に継続してサービスを利用してもらう努力が必要です。

また、ここではユーザーの視点にも立ち、リカーリングのメリット・デメリットを解説します。

メリット:企業にとってもユーザーにとっても利益が平準化される

企業にとって、リカーリングビジネスの最大のメリットは、ユーザーを確保しつづける限り安定した収益を得られる点です。

製品やサービスを利用するために、ユーザーは毎月(または3ヶ月ごとや半年、1年単位で)費用を支払います。そのため、企業は定期購入をしてくれる顧客を確保し、顧客数を維持していくことに販売戦略を絞ることができます。

商品やサービスのライフサイクルに合わせて、リカーリングコストに抵抗が生まれないプライシングが重要です。

デメリット:運用コストと顧客満足度

リカーリングビジネスを成功させるには、顧客満足度をキープしつづける必要があります。

しかし、顧客へのサポートやアフターサービス、製品・サービスの運用保守やアップデートには、コストがかかります。一度買ったら終わりの買い切り型のビジネスモデルと比べ、バックオフィスの人員も増大します。

顧客としても、毎月使ったら使った分だけ料金を支払うため、製品やサービスの使用感、障害や不具合の少なさ、企業のサポート体制にはより一層敏感になります。

こうした部分は継続的にサービスを利用しなければ見えてこないため、買い切り型のサービスと比べて不満やストレスを溜め込みやすい原因となっています。

ユーザーを満足させ、他のサービスへ乗り換えを決断させないため、まず顧客ファーストを意識しましょう。

新しい収益モデル「リカーリング」の特長やメリットを理解しよう

リカーリングのポイントは新規顧客の獲得だけでなく、既存ユーザーの満足度を維持し続ける点にあります。

そのためにカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上やカスタマーサクセスなどの理解も必須。

また、サービス・商品によってはリカーリングに向かないものもあるため、しっかり見極めることが重要です。

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