NDAとは? NDAの目的と重要性

NDA(Non-Disclosure Agreement)とは、個人間や企業間で締結される秘密保持契約・守秘義務契約です。

秘密保持契約は、機密情報や個人情報の保護を目的に結ばれます。重要情報の漏えいや目的外の利用の防止策として、NDAは非常に重要な位置づけの契約です。取り扱うことが多い契約ですので、多くの方が締結した経験があるでしょう。

NDAの目的は「情報漏えい」と「不正利用」の防止

情報通信社会となった現在、大量の情報があふれ、企業が商品価値やブランドイメージの創造に苦心し、企業の財産となる「情報」の価値が高まりました。同時に顧客やユーザーなどの個人情報を狙うサイバー攻撃の増加を受け、国による個人情報保護法の改正や罰則の強化も進められています。[注1]

企業にとって最大のリスクが、 個人情報や機密情報の「情報漏えい」と「不正利用」です。企業間でのNDA(秘密保持契約)は、情報の利用範囲を限定し、管理義務を明確化することで、重要情報の漏えいや不正利用を防ぐことを目的としています。NDAの締結は、企業にとって欠かせないリスクマネジメントの1つです。

企業間取引に原則、秘密保持の義務はなし。NDAは必ず締結すべし

通常の企業間取引には、原則として秘密保持の義務がありません。つまり、取引先企業の過失によって、自社の機密情報や顧客情報が漏えいのリスクを考慮して、あらかじめNDAを締結していなければ責任を問うのは困難です。

NDAを締結し、秘密情報を保護する義務と責任を定めておけば、故意であれ過失であれ、万が一の際に責任を追求することができ、抑止力として機能します。NDAを根拠にして、損害賠償等の請求も可能となります。

ただし、後述しますが、秘密情報を保護したいプロジェクトの開始前にNDAを締結していない場合、事前に取り決めを結んでいなければ、さかのぼってNDAを適用することはできません。

NDAは3つのタイプに分けられる

企業間で結ばれるNDAは、その性質から3つに分けることができます。重要情報を保護するといっても、情報を開示するのが一方だけのこともあれば、双方が互いに情報を開示するケースもあるためです。そのため、NDAを締結するにあたっては、

  1. 自社から相手方への一方的な情報開示
  2. 相手方から自社への一方的な情報開示
  3. 自社と相手方の双方向的な情報開示

の3つのパターンに分け、秘密保持義務を誰が負うかを整理・レビューします。自社にとって、どの程度の秘密保持義務が生じるのか、事前に確認しておきましょう。

NDAを締結するタイミングと手順は?秘密情報を開示する前に締結が必要

NDAを締結する際は、「保護対象の秘密情報を開示する以前のタイミング」でなければなりません。

具体的には、ある程度打ち合わせが進み、秘密情報を開示する可能性がありそうな「取引交渉段階」がベストのタイミングです。

取引交渉段階でNDAを締結しておけば、打ち合わせ中に重要情報を開示できるため、スムーズに話し合いができるというメリットもあります。

なお、事前に契約書で取り決めておいた場合のみ、契約締結時よりも前にさかのぼってNDAを適用することが可能です。NDAを締結する際は、あらかじめ契約内容を確認しましょう。

NDAを締結する前に定めておくべき5つの重要事項

NDAをめぐるトラブルを回避するには、あらかじめ重要事項を詰めておくことが大切です。次の5つの項目について、事前に話し合いましょう。

1.「秘密情報」の定義と適用範囲

秘密情報といっても、個人情報や顧客情報、口頭での情報など多岐にわたります。まず、NDAの対象となる秘密情報の定義を決め、「どこまでが秘密情報にあたるか」を明確に定義しましょう。

一般的に秘密情報から除外される例としては開示時点ですでに保有していた情報、公知・公用である情報などがあります。

2.「秘密情報」の取り扱い方法と管理者責任

定義した秘密情報の取り扱い方法を決めましょう。特定の書類やデータに対し、どのような状況での使用が許されるか、保管する際はどのような点に注意するか取り決めます。従業員だけでなく、管理者の責任も明確化しましょう。

3.秘密保持期間がいつまでか

NDAを締結する際は、秘密保持期間を定める必要があります。秘密保持期間とは、NDAの効力が続く有効期間です。一般的なNDAの場合、有効期間は2~3年程度といわれます。情報の性質によっては、1年ごとに自動更新するケースもあります。

4.契約終了後の秘密情報の取扱い

NDAの契約期間が終了すると、秘密情報の返還や廃棄が必要になるケースがあります。この場合、返還や廃棄の方法について、NDAで定めておかなければなりません。

存続条項(残存条項)について
契約終了後と同時に秘密情報のすべてを返還、完全な形での廃棄・消去が基本的ではありますが、物理的に難しいケースもあります。そのようば場合では、NDA有効期間が終わっても、取り決めによっては、一部の秘密保持義務が存続する場合があります(存続条項・残存条項)。たとえばNDA自体の効力がなくなっても、一部の重要情報の目的外利用や、外部への公開を防ぎたい場合に有効です。そのため、NDAを締結する際には、どの条項を何年残すのかを検討する必要があります。

5.契約違反の際にどのような対応が可能か

情報漏えいや目的外利用があった際の罰則規定や、責任所在の明確化を決めます。たとえば損害賠償の請求や情報の利用の差止め、契約の解除などです。これらは存続条項により、契約終了後も効力が持続することがあります。もし罰則規定を設ける場合は、なるべく自社の負担を軽く、他社の負担を重くするのが理想的です。

押さえておくべきNDA締結の2つのリスク

情報漏えいや目的外利用のリスクを軽減し、企業間取引では欠かせないNDAですが、NDの締結自体がリスクとなるケースもあります。例えば、NDAの契約内容を精査せずに締結したことでトラブルの原因となるなどが挙げられますのです。。ここでは、企業間でNDAを結ぶ前に注意しておきたい2つのリスクを解説します。

リスク1.契約内容を理解していないと損害賠償を請求されることも

契約内容を精査せず、何がペナルティにあたるかを認識していなかったために、多額の損害賠償請求に発展するケースです。例えば、秘密情報の範囲が明確でない秘密保持契約を結んだ事例では、契約終了後に訴訟を起こされ、多額の和解金を支払う結果となっています。何が秘密情報にあたるかを理解せず、知らないうちに情報を受領してしまっていたためです。NDAには、自社に不利な内容が含まれている可能性があります。自社のリスクを軽減するため、NDAの締結にあたっては具体的な交渉および打ち合わせを行いましょう。

リスク2.ただ契約しただけでは情報漏えいを防げない

NDA契約を結べば、情報漏えいや目的外利用を完全に防げるわけではありません。情報流出を防止するには、ただNDAを締結するだけでなく、相手方の従業員1人ひとりに秘密保持の意識を持たせる必要があります。自社の社員への周知徹底を行うのはもちろん、相手方に対しても、情報を取り扱う社員と誓約書を取り交わすことを義務付けるなどして、なるべく現場レベルでの意識付けが大切です。

NDAを締結する際は契約内容を精査。雛形も適宜変更して

企業間で締結するNDAの役割は、重要情報の漏えいや目的外利用を防ぎ、企業の資産やブランドイメージを守ることです。

しかし、NDAを結ぶ際は契約内容を精査し、取引交渉段階から早期に交渉を行い、互いに認識をすり合わせておくことが大切です。適切なプロセスを経てNDAを締結すれば、機密情報や個人情報を守る心強い味方となります。

[注1] NHK:個人情報保護法改正案 閣議決定 企業の電子情報利用 厳格に

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