事実上の標準「デファクトスタンダード」とは?定義や事例などについて

昨今、耳にする機会が増えている「デファクトスタンダード(De Facto Standard)」。事実上の標準を意味するこの言葉は、ビジネスだけではなく普段の生活にも大きく関わっています。しかし、その詳細については多くの方が理解していないのではないでしょうか。この記事では、その定義や事例などに言及し、分かりやすく解説。また、デファクトスタンダードのメリットや注意点について説明していきます。

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デファクトスタンダードとは

デファクトスタンダードとは、「事実上の標準」のこと。市場競争や評価の結果、”社会やビジネスなどで利活用することが当たり前”となった規格や製品、サービスを意味します。

また、デファクトスタンダードの反対語には、デジュールスタンダード(デジュリスタンダード)が挙げられます。これは、「ISO(国際標準化機構)」などの公的な標準化機関によって定められた標準のこと。市場の競争によって標準となったものがデファクトスタンダード、一方、公的に標準化したものがデジュールスタンダードです。

デファクトスタンダードは、ビジネスや生活など、ありとあらゆるシーンで確立されています。検索エンジンの利用についてはGoogleの検索サービスが、ビジネスPCに導入するOS(オペレーティングシステム)についてはWindowsがデファクトスタンダード(事実上の標準)と言うことができるでしょう。

デファクトスタンダードになった規格や製品を扱う企業はもちろん、マーケティングなどの観点において強いアドバンテージを持ちます。

デファクトスタンダードの例

身近なデファクトスタンダードの例としては、無料通信アプリLINEが挙げられます。普段、家族や友人などとコミュニケーションを行う際、活用する(すべき)ツールとして当たり前になったLINE。国民の多くが利用しているといった背景から、コミュニケーションツールのデファクトスタンダードと言うことができるでしょう。

一方、ビジネス領域のコミュニケーションについては、Googleが展開するGmailサービスがデファクトスタンダードです。昨今は多くのベンダーからE-mailサービスが提供され、さまざまなサービスが活用されています。しかし、こと(主にクライアントとの)ビジネスメールに至っては、Gmailを活用する企業が未だほとんど。つまり、Gmailがビジネスメールツールのデファクトスタンダードになっているということです。

また、昨今確立されつつあるデファクトスタンダードの例には、Web会議サービス「ZOOM」が挙げられます。新型コロナウイルス感染症対策として、Web会議サービスの利用機会が増える中、急激に成長してきたZOOM。オンライン会議を行うツールとして、多くの人が真っ先にこのZOOMを思い浮かべるではないでしょうか。

もちろん、デファクトスタンダードはWebサービスだけではありません。例えば、USB端子やキーボード配列(QWERTY配列)、DVDなどの規格についても、市場競争の結果生まれたデファクトスタンダードです。

また、国内アパレルについては、ユニクロ(ファーストリテイリング)がある種”ファストファッションのデファクトスタンダード”と言うことができるでしょう。

デジュールスタンダードの例

デジュールスタンダードの最も代表的な例は、乾電池です。各乾電池の大きさや材料、種類などの規格は、国際標準化機関や企業、団体、専門家が議論を交わし策定したもの。市場原理によって決まった規格ではないため、デジュールスタンダードとして扱われます。

その他、デジュールスタンダードの例としては、産業標準化の促進を目的に、産業標準化法に基づき制定された「JIS(日本産業規格)」。また、工業製品や技術、食品安全、農業、医療などの分野で、国家間共通の標準規格を提供するISOの「ISO規格」などが挙げられます。

デファクトスタンダードが企業に与えるメリット

ここでは、手掛ける製品やサービス、規格がデファクトスタンダードになった際、企業にもたらされるさまざまなメリットについて解説していきます。

安定した収益
自社の製品やサービス、規格が特定ジャンルでのデファクトスタンダードになると、競合が参入する余地が少なくなるので、企業は価格などを自由にコントロールすることができるようになります。また、消費者は自社の製品・サービスを否が応にも選択せざるを得ないため、企業は安定した収益を獲得することが可能です。
マーケティングコストの減少
自社の製品や規格などがデファクトスタンダードになるということは、言い換えると、ビジネス世界や社会でそれらが幅広く認知されたということです。したがって、自社の製品やサービスに関するマーケティングの金銭的コストや工数が不要になるため、企業はその他の製品・サービス開発に注力することが可能になります。特に、デファクトスタンダードになった一般消費者向けの製品には、ユーザー自身の口コミなどによって認知が”自動的に”拡大する性質があります。
特許やライセンス契約につながる
自社の製品やサービスがデファクトスタンダードとなった場合、扱われている自社の技術を他社に開放することで、特許料を獲得できる可能性が広がります。

デファクトスタンダードの注意点

同時に、自社の製品や規格、サービスがデファクトスタンダードを確立すると、さまざまなデメリットが生じます。

模倣品や互換製品への対処
デファクトスタンダードになった自社の商品やサービスの模倣品が作られ、特許権侵害などへの対応を迫られる可能性が生まれます。特に、国際的なデファクトスタンダードのケースでは、国によって法律や判断などが異なるため、対応も困難になるとみられます。
独占禁止法に抵触する例も
自社の製品や規格が特定のビジネス領域を”独占”している場合、最悪のケースでは、「独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)」に抵触する可能性があります。また、一般消費者やマスコミからの批判を受けやすくなるといったデメリットも存在します。

海外の著名な例では、Googleがインターネット検索やオンライン広告の市場を独占しているとして、米国司法省が独禁法違反容疑で、連邦地裁へ昨年提訴しました。

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