日本はクリエイティブか?創造性を高めるために必要なこと

日本人は創造性が高い民族なのだろうか。それとも低い民族なのだろうか。私も日本人が創造的な民族であるかと言われると、心から「はい!」とは言いづらい。創造性の高さには教育や文化など様々な原因が影響を与え、複雑に絡み合っている。筆者はそのなかでも、アートに着目した。この記事では、日本がよりクリエイティブな国家になるための、アート教育のあり方について考察する。

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日本はクリエイティブか否か

日本はクリエイティブか否か

私自身が日本人は創造性が高いとは言えないと感じる理由は何か。

おそらく、これまでの日本人の成功事例を見ても、最初の創造的・独創的な課題提起とアウトプットは外国人によってもたらされ、それに対して日本人が高い技術力で世界を席巻してきたと認識しているからだろう。

つまり、金脈を見つけることよりも、金脈が見つかった後に高い技術力で洗練させる能力が高いということではないだろうか。

具体的には、青磁器、天目茶碗などの芸術面、ラーメンやカツカレーといった食文化がある。こうした事例は日本人が外国から学んで、その対象物を洗練させてオリジナルを超えた事例と言える。

一方で、Adobe社が18歳以上の成人に実施した、クリエイティビティーに関する意識調査の結果(2017年Adobeシステムズが実施)からは、世界で最もクリエイティブな国と都市は日本で、「東京」という結果となっている。

このことからわかる通り、「クリエイティブか否か」を評価することや比較することは非常に難しい。そのため、この記事では現在の日本がクリエイティブであるかどうかは置いておいて、今後さらにクリエイティブになるためには、何をしたら良いかという示唆を提示したい。

「アート」が創造性に影響を与える

「アート」が創造性に影響を与える

そもそも、クリエイティブな能力は先天的に生まれもったDNAから強く影響を受けているのだろうか。それとも後天的に身につく、教育や文化、社会によって強く影響を受けるのだろうか?

先天的なDNAの影響を強く受けている場合、今後さらなる科学の進歩によって出生前に最強遺伝子を選別(何をもって最強遺伝子と定義するかはさておき)することができるようになる可能性は高い。

また、出生後であっても遺伝子編集(CRISPER-Cas9など)によって遺伝子情報を改変することができる社会が到来すれば、近い将来そうしたことが技術的に可能になる世界がやってくる可能性が高い。

しかし、倫理面によるハードルや直ぐに実用化される方法ではないため、この記事ではこれ以上深掘りすることは控える。

一方で、後天的に身につけられる教育や文化、社会からの影響を強く受けている場合、その原因はおそらく1つではなく様々な原因が絡み合っていると考えられる。そのなかでも筆者は、科学的な根拠の結果が多く、日本人が敬遠しがちな教育、特に創造性に最も影響を与えるとされる「アート」に着目したい。

アートが創造性に影響を与えることを裏付けする出来事として、「STEM教育」から「STEAM教育」に変化したことを挙げたい。

STEM教育は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Mathematics(数学)という技術分野での競争に勝ち残るための教育方針からスタートした。しかし、自由な発想力や想像力、自分の考えを具体化し、表現して伝える力、新しいものを生み出す創造力などが不可欠であるということから、Art(アート)が加えられた。

そのため、アートが創造性に対して影響が大きいことはグローバルでも認知されてきているのだ。

AI時代には創造性の向上が不可欠

AI時代には創造性の向上が不可欠

創造性を育むとされるアート分野であるが、日本のアート教育は世界と比較すると求められる内容が大きく異なっているようだ。

欧米では対象となるアートに関する思考やコンセプトが重視される一方で、日本ではご存じの通り、参考となる有名な対象作品を覚えることや、それらの作品をいかに正確に模倣するかという模倣力が重視されていないだろうか。

こうした教育がどれだけ日本人の創造性や独自性に影響を及ぼしているかについて相関係数を出すことは不可能であるため、正確にはわからない。ただ、日本人は何か大きなゴールや命題が与えられた場合は、それに向かって模倣・ソリューションすることができる一方で、そもそも課題を設定することが非常に苦手であることの原因の一つではないかと考えられる。

「課題設定が苦手」という問題は、AIが発達してきた現代においては非常に致命的ではないだろうか。ChatGPTの台頭からもわかる通り、課題に対するソリューションは今後AIに取って替わってしまう領域であることからも、日本人の創造性の向上は国家的重要課題である。

創造性を高めるためにアート教育とその方法が重要であることはわかってきたが、では実際に「何を」「どのタイミングで」育めばよいのだろうか?

右脳領域(創造性)の8割は「3歳までに形成」

右脳領域(創造性)の8割は「3歳までに形成」

アート教育のみでの科学的根拠はないものの、幼少期における創造性に関する医学的な研究はされている。

研究の結論を要約すると、幼少期の脳の成長過程と発達心理学に合わせて、「いかに右脳領域(創造性)を育てるか」ということである。0~3歳は、成人における脳の8割が形成される重要な時期であり、この期間の5感のインプットのあり方がその人の性格、知能、運動能力に決定的な影響を与えるとされている。

3歳以降に関しては、目的意識や自信といった感情が芽生え始めるため、5感のインプットから次第にアウトプットし自己表現することが重要であるとされている。

これらのことが科学的に根拠がある形で示されているにもかかわらず、なぜ日本ではこの正しいタイミングにアート教育がなされないのだろうか?

今後創造性を高めるためにとるべき施策は?

その阻害要因として、今でも左脳領域(言語、論理)における教育は、結果が分かりやすく、学力という形で定量的に結果に結びつきやすいため、エリートや学歴というヒエラルキーが大好きな日本人が飛びつきやすい領域となっているのではないだろうか。

一方で、創造性をつかさどる右脳領域は、これらの科学的根拠や、将来どのような能力を求められているかという事実はあまり公表されていないことから、そうした事実を知らない両親が多い。さらに、どれだけ将来に役立つ教育であるかという結果を定量化しづらく、日本における成功事例が少ないことからも、親としてもそちらに舵を切りづらいことが原因であると考える。

そのため、今後日本がとるべき施策は、国家レベルで「幼少期における右脳教育」と「アート教育の影響に関する科学的実証試験」を実施し、その根拠をもって創造性が高い国民が増えるようにかじ取りをすることではないだろうか。

個人レベルに掘り下げると、子供が右脳を鍛えるゴールデンタイムは決まっているため、両親は子供が生まれる前の段階から子供の創造性を高めるにはどのタイミングでどのようなことをすると科学的根拠に基づいて子供の創造性が高まるのかということを把握することが良いかもしれない。

共働き家庭が増加傾向にあるが、夫婦で自分の子供が右脳を鍛えるべきタイミングに適切に右脳教育を実施することを検討してみてはいかがだろうか。

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