アート思考とは?注目される理由、実際に使われた事例も解説

新型コロナウイルスの流行、IT技術の普及など、変化が目覚ましい時代。新しいものが次々生み出される中で、常識にとらわれない斬新な考え方が必要になってきています。 そこで注目されているのがアート思考です。ロジカル思考、デザイン思考に続いて話題になっているアート思考は芸術家に近い思考法で、海外はもちろん日本の大企業でも取り入れている企業があります。 今回はそんなアート思考について詳しく解説していきます。

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アート思考とは?

アート思考とは、既成概念や固定観念にとらわれず、自分の思考や感情から新たな課題を見つけるための思考のこと。ビジネスの中でもイノベーションに役立つため、2015年頃から注目されている思考法です。

最近はさまざまな書籍も出版され、インターネットでも存在感が高まっています。また、国内外の様々な企業で創造力を鍛えるために取り入れられています。

ゼロからイチを生み出す思考

アート思考では、アーティストが作品を考えるための思考プロセスを取り入れます。

アーティストは、常に自分と向き合い、ゼロから作品を生み出し続ける職業です。
ビジネスでアート思考を活用する場合でも核となる自分と向き合い、人と違ったアイディアを出していくことが大切になります。

アート思考が必要とされている理由とは?

芸術家の考え方に近いアート思考が、現代のビジネスで必要とされているのはなぜなのでしょうか。
ここでは、近年ビジネスでもアート思考が注目されている理由について解説していきます。

AIに代替されない思考

従来、ビジネスではロジカル思考が特に重要視されてきました。確かにロジカル思考は大切ですが、ロジカル思考を多用する仕事はAIでも可能である場合が多いといわれています。

一方、アート思考は人間にしかできない思考です。近年のIT技術の急速な発展により、AIの導入が進んでいるビジネスでも人間ならではの発想力が必要となるため、重要視されています。

変化を作り出す可能性を秘めている

革新的な技術は常識にはない考え方から生まれます。
アート思考は、常識や既成概念などを気にせず自分の思考と向き合うため、そこから生まれたアイディアや発想がイノベーションに繋がることもあるでしょう。技術革新が目覚ましく、変化を自ら生み出す必要がある現代にはぴったりの思考ともいえます。

欧米ではアートはビジネスマンにとっても重要

日本では、絵画や音楽などのアートをビジネスに取り入れる場面はまだまだ少ないのではないでしょうか。一方、欧米を中心とする海外では、芸術に日常的に触れるビジネスマンも多いです。経営者の中には経営哲学を深め、アイディアを改善するためにアートを重視している方もいます。職場でもアートに触れられる環境が整っている企業も多く、そこで得た発想を仕事に生かす場面もあります。

日本でも、発想力や創造力を必要とする場面では感性を刺激するアートが役立つでしょう。

ロジカル思考、デザイン思考との違いは?アート思考にしかできないこと

アート思考は、斬新な発想を生む考え方で、現在のビジネスにも活かせる思考です。一方で、仕事で必要な思考法としては、ロジカル思考やデザイン思考といった言葉も話題になりました。

ビジネスで必要な思考といわれているロジカル思考、問題解決のために用いられるデザイン思考と、デザイン思考は何が違うのでしょうか。
ここでは、ロジカル思考・デザイン思考とアート思考の違いから、組み合わせ方についても解説していきます。

ロジカル思考とは?

ロジカル思考とは、問題解決にあたって、筋道を立てて矛盾なく考える思考法です。ビジネスでは、業種や年齢を問わず必要不可欠な基礎スキルともいわれています。
アート思考とは真逆の考え方で、複雑な物事を要素分解し、フレームワークに沿って考える場合も多いです。
根拠をもとに、誰もが納得できる結論を導き出すために有効な思考法といわれています。

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、デザイナーに必要な思考法を利用して問題解決を行う一連の流れです。アート思考同様、近年話題になっている思考法で、ビジネスにおける重要性が高まっています。

ロジカル思考より柔軟な思考法で、アート思考に近いといえます。しかし、自分の考えを表現するため人の数だけ答えがあるアート思考に対し、デザイン思考をビジネスに活用する場合は、顧客の課題に対応する形で最適解を出すものです。アート思考とデザイン思考は出発点が違う思考法といえます。

ロジカル思考・デザイン思考と組み合わせて使うアート思考

ロジカル思考、デザイン思考はどちらもビジネス上の問題解決に必須の思考法であり、非常に重要です。しかし、同じ結論に辿り着くロジカル思考やデザイン思考だけでは革新的な考え方は生まれづらいといえます。そこで、違いを重視するアート思考を活用するとよいでしょう。

アイディアを発散させる段階ではアート思考、生まれたアイディアを組み合わせて一つのアイディアにまとめていく場合はデザイン思考、他者にもわかりやすく説明するタイミングではロジカル思考と、適した場面で思考法を使い分けるとビジネスに有用です。

アート思考が企業で使われた事例

アート思考は、日常的に芸術に触れる習慣がある海外ではもちろん、日本の企業でも活用されています。ここでは、日本の企業でアート思考が使われた事例や、アート思考を高める取り組みを企業が行った事例を紹介します。

NTTデータ

NTTデータでは、公共社会基盤分野、金融分野でアート思考の活用事例があります。

公共社会基盤分野では、2020年1月〜3月、東京大学と「アート思考によるイノベーション創出手法に関する研究プロジェクト」を行いました。また、問題の本質を捉え表現する力を伸ばす取り組みを積極的に続けています。

金融分野でも、社会課題の解決に向けたアプローチの一環でアート思考を取り入れていることが特徴です。適切な場面でビジネスにアート思考を取り入れ、新たな価値を生み出そうとしている企業といえます。

野村総合研究所(NRI)

野村総合研究所では、アート思考によるDX推進やアート思考の可能性についてレポートを発表しています。技術の発展により、新しいビジネスモデルの創出によるDXが必要とされる中で、アート思考のような感性を重視した新規事業考案について書かれています。各企業でアート思考の重要性が高まっているとでしょう。

日本マイクロソフト

日本マイクロソフトでは、2019年6月にクライアント企業のビジネスマン向けにデザイン思考のワークショップを開催しました。複数のアーティストの講義やワークショップを三日間行うことで、芸術家の発想や革新的なアイディアを生み出すアプローチ法を学ぶプログラムです。日本マイクロソフトでは、デザイン思考・ロジカル思考の講座も行っています。日本のイノベーションのため、様々な思考力の向上を推進している企業です。

アート思考を鍛える方法

ロジカル思考やデザイン思考と違い、フレームワーク等がないアート思考を鍛えるのは難しいと考える方もいるかもしれません。
ここでは、アート思考を高める方法を紹介していきます。

セミナーやワークショップ

ベンチャー企業を中心に、アート思考のセミナーやワークショップを行っています。オンラインで学べるセミナーも増えていますが、基本的な部分から学びたい方や、他者がデザイン思考を使っているところを見たい方はセミナーやワークショップに足を運ぶのもよいかもしれません。

書籍

アート思考についての書籍も増えてきており、今後もさらに存在感が高まると予想されます。アートについての知識や、ロジカル思考・デザイン思考と合わせて解説している書籍もあるため、気になる方はチェックしてみましょう。

現代アートの鑑賞

アート思考は芸術家が作品を考える際の思考を取り入れたものです。芸術家のアウトプットである絵画や音楽には、芸術家の思考が表現されているため、それらの鑑賞もアート思考の向上に参考になるでしょう。特に現代アートに触れてみると、今の時代に対する芸術家の訴えを読み取れるかもしれません。クリエイティブな感覚を刺激し、アート思考を高めましょう。

アート思考によるビジネスの活性化へ

アート思考は相手起点ではなく自分起点です。他者や時代への問いを見つけ、投げかけるための思考ともいえるかもしれません。効率性を重視しているビジネスと自分を表現するアートは、一見相反しているように見えますが、どちらも必要なアプローチです。

ビジネスでも、人とは違う新しいアイディアや革新的な変化を生み出す能力が求められてきています。自分なりの答えを見つけ出すアート思考は、今後重要性が増すと考えられるため、スキルとして向上させてみるとよいでしょう。

<参考>
若宮和男『ハウ・トゥ・アート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法』株式会社実業之日本社
末永幸歩『「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考』ダイヤモンド社

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