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マーケティングファネルはBtoBでも使える?意味や活用法を解説
マーケティングファネルは、マーケティングにおいて効果的なアプローチを行うために用いられるビジネスの基本的な考えです。 購買のどの段階で見込み客が脱落しているかを把握するため、マーケティングファネルは有効な手段となります。そのため、まずはマーケティングファネルがどのようなものであるのかを理解しておくと良いでしょう。 本記事では、マーケティングファネルの基本的な考え方を徹底解説します。BtoCだけでなくBtoBにおいても活用できる考え方なので、ぜひ参考にしてください。
マーケティングファネルとは?
「マーケティングファネル」とは、消費者が商品を認知し購入に至るまでの段階を図で表したものです。
マーケティングにおける基本的な知識の一つで、マーケティングを担当する人なら必須の知識と言えます。
マーケティングファネルは、一般的に「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」の4つに分類されます。
有意義なマーケティングを行うためには、それぞれの段階を分析し、効果的な手法をとることが重要です。
ここではまず、マーケティングファネルがどのようなものかを解説します。
なお、3段階に分類する場合、5段階に分類する場合もありますが、この記事では4段階に分類されると定義します。
マーケティングファネルの意味
マーケティングファネルの「ファネル」とは、漏斗(ろうと・じょうご)を英訳した言葉です。
見込み客がある商品を認知して購入に至るまでには、様々な段階を経る必要があります。そして、この段階を進むほど、見込み客は減っていく傾向があります。
この様子を図で表すと漏斗のような形となることから、マーケティングファネルと言うのです。
マーケティングファネルの仕組み
マーケティングファネルは「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」の4つの段階に分類されます。
1.認知
1つ目の「認知」は、見込み客が商品やサービス、またはそれを取り扱うお店やブランドなどを知る段階です。
見込み客がテレビCMやインターネット上の広告、電車の中吊り広告などを見て、その商品やサービスを知ることが当てはまります。
2.興味・関心
2つ目の段階が「興味・関心」です。商品やサービスを認知した見込み客が、その商品やサービスに興味・関心を抱き、「欲しい」と思う段階がこの段階です。
例えばある商品の広告を100人の見込み客が見たとしても、全員がそれを欲しいとは思いません。
100人のうち50人しかその商品を欲しいと思わなかった場合、この段階で50人が脱落したことになります。
3.比較・検討
3段階目は「比較・検討」です。見込み客が商品を欲しいと思った場合、その商品の機能や値段を調べ、同業他社が販売している同タイプの商品と比べることがこの段階に当たります。
一般的に商品を認知し、欲しいという欲求が生まれた場合、見込み客はその商品の値段や機能、サービス内容などのより詳しい情報を知りたいと感じます。
そして、他社の同じような商品やサービスとの比較を行うのです。
しかし、たとえその商品が欲しいと思っても、わざわざ店舗に見に行ったり商品情報を検索するのは面倒だと感じる見込み客もいます。
このように、50人が欲しいと思っても30人しか比較・検討を行わなかった場合、ここでも20人が脱落したことになります。
4.購入
4段階目が「購入」です。比較・検討を行った結果、購入という行動を起こす段階です。
商品を比較・検討し、値段の折り合いがつかなかった場合や、機能・サービスに満足がいかず購入まで至らない場合もあるでしょう。
30人の見込み客が商品の購入を検討したものの、実際の購入者が10人だけだったのであれば、ここでもまた20人が脱落したことになります。
このように、マーケティングファネルでは、各段階で見込み客が脱落する傾向があります。
そのため、各段階を分析し、いかに各段階での見込み客の脱落を防ぐかを考えることが重要になるのです。
マーケティングファネルがBtoBで必要になる理由
マーケティングファネルは、一般消費者向けの戦略というイメージが強いかもしれません。
しかし、マーケティングファネルはBtoBにおけるマーケティングを考える上でも重要と言えるでしょう。
なぜなら、今日では訪問営業が思うようにできなくなり、企業の購買担当者がwebで情報収集を行うことが一般的となっているためです。
一口に情報収集と言っても、見込み客が来期の経営企画を考え「興味・関心」の段階で情報収集をしているのか、すでに競合他社の製品やサービスも調べている「比較・検討」の段階で検索しているのかでは、アプローチの方法が異なります。
前者であれば、商品に関する幅広い情報を求めていることが考えられます。
そのため、webで情報収集をしている見込み客向けにSEO対策を行い、情報提供コンテンツを豊富にすることや、紙媒体で様々な商品を紹介し、メルマガ登録やセミナーに誘導することが有効です。
後者であれば、購入を検討している段階なので、商品そのものについての情報ではなく購入後のサポート体制などの情報を提供すると良いでしょう。
その後、お問い合わせや見積もりに誘導できるようにすると、効果が高まります。
このように、マーケティングファネルの知識を有していると、見込み顧客の段階に応じて効果的な行動を起こすことができます。
マーケティングファネルのメリットとデメリット
BtoBにおいても重要になるマーケティングファネルの知識ですが、当然、メリットとデメリットがあります。
マーケティングファネルを使うことで有効なマーケティングができる一方、過信しすぎないよう注意も必要です。
ここからは、マーケティングファネルのメリット・デメリットについて、それぞれ紹介します。
メリット:問題点の可視化
マーケティングファネルを導入するメリットは、「どの段階で見込み客が脱落しているかをある程度把握できること」です。
マーケティングファネルの各段階において、ある程度の見込み客が脱落すること自体は問題ありません。
しかし、あまりにも脱落者が多い場合、その段階に何にかしらの問題があることを表しています。
例えば、商品の認知はされているものの「比較・検討」まで行かない場合は、広告に何か問題があるかもしれません。
また、比較・検討までは取り込めていても、「購入」の段階で他社の製品に流れている場合は、競合他社の商品の調査が必要になるでしょう。
このように、現在起きている問題点を可視化し、それぞれに有効な対策ができる点が、マーケティングファネルのメリットとなります。
デメリット:購買モデルに当てはまらない可能性
マーケティングファネルのデメリットは、「必ずしも、見込み客の行動にマーケティングファネルが当てはまるわけではないこと」です。
マーケティングファネルでは、見込み客がある商品を認知してから購入に至るまでを「一直線の購買モデル」として捉えています。
しかし、現実の見込み客の購買行動は多様です。単純化された購買モデルに当てはまらないことも、珍しくありません。
そのため、単純な1つのアプローチではなく、様々な価値観に対応できるようなアプローチが必要だということを頭の片隅に置いておきましょう。
マーケティングファネルの種類と活用法
マーケティングファネルには、「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」の3種類があります。
この3つのファネルは、分析できる内容が異なります。
それぞれのファネルをしっかりと理解することで、見込み客の行動に合わせて、より有意義な分析ができるでしょう。
ここでは3つのマーケティングファネルにおいて、どの過程を検証できるのか解説します。
パーチェスファネル
「パーチェスファネル」とは、前述したマーケティングファネルの別名で、4段階からなるファネルのことです。
商品やサービスの認知から、購買に至るまでの過程を指します。
パーチェスファネルは、図式化すると逆三角形になります。
また、マーケティング業界でファネルと言うと、一般的にこのパーチェスファネルを指すことが多い傾向です。
インフルエンスファネル
「インフルエンスファネル」とは、商品購入以降の消費者の行動を図式化したものです。
具体的には、「継続」「紹介」「発信」の3段階になっています。
パーチェスファネルとは反対に、インフルエンスファネルは三角形の図で表現されるのが特徴です。
「継続」は、消費者が商品を購入した後に、その商品やサービスのリピーターとなった段階。
「紹介」は、消費者がその商品やサービスを友人や家族に紹介する段階。
「発信」は、消費者が最後に購入した商品やサービスを、SNSやインターネットの口コミで発信する段階です。
特に、SNSやインターネットの発達により、口コミなどの影響力は強くなっています。
そのため、インフルエンスファネルを意識し、「消費者がその商品をどのように周りに紹介するか」などを検討することも重要です。
ダブルファネル
「ダブルファネル」とは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルの2つを組み合わせた考え方です。
図で表現する場合も、逆三角形で表現されるパーチェスファネルと三角形で表現されるインフルエンスファネルを組み合わせ、砂時計のような形になります。
ダブルファネルは、パーチェスファネルで図式化される「商品やサービスの認知から購入」と、インフルエンスファネルで図式化される「商品購入後の消費者の行動」の両方を検討しなければいけません。
しかしその分、マーケティングにおいて大きな成果を期待できると考えられています。
マーケティングファネルとは古い考え方なのか?
近年は「マーケティングファネルの考え方は古い」という意見も多く耳にします。
理由としては、マーケティングファネルがインターネットの発展前に生まれた考え方であることが挙げられます。
現在は販売される商品が多岐に渡っており、マーケティングファネルの概念が生まれた時とは状況が変わっているのです。
しかし、冒頭でも述べたようにマーケティングファネルはビジネスの基本的な考え方です。
現在の状況を把握しつつ、マーケティングファネルを取り入れることで、さらにマーケティングを成功に導けるでしょう。
ここからは、マーケティングファネルを取り巻く状況がどのように変わっているのかを解説します。
購買の多様化
近年は、見込み客が「一直線型の購買モデル」に当てはまらず、マーケティングファネルの4つの段階を行ったり来たりを繰り返す場合も増えています。
マーケティングファネルのデメリットとして、「見込み客の購買行動は多様であるため、必ずしも一直線上の購買モデルとして捉えることはできない」ことがあるでしょう。
以前であれば、車を購入したい見込み客は車を販売をしている店に行き、車の情報にのみアクセスしていました。
しかし、インターネットの普及により「車について検索していた見込み客が、旅行やグルメ情報を検索した後、また車情報の検索に戻って、車を購入する」といったことが起こっているのです。
また、シェアリングサービスやサブスクリプションなど、今までになかった商品も出現しています。
デジタル化
インターネットの普及により、商品やサービスに関する情報の取得方法も変わっています。
従来であれば、見込み客には企業からのアプローチがあり、企業側の主導で購買までに至る流れがありました。
しかし、デジタルデバイスの発達により、顧客側から自発的に商品を検索するなど、顧客主導の流れへと移行しました。
そのため、企業側が顧客の購買までの段階を分類してアプローチする方法は難しくなりつつあります。
今日では、より個別に柔軟なアプローチが求められるようになっているのです。
マーケティングファネルで適切な分析を
デジタルの進歩などにより、消費者の購買行動が多様化しています。
従来のような、型にはまったマーケティング手法が通用しなくなってきているとも言えるでしょう。
そのため、マーケティングファネルで適切な原因分析をして、顧客に合った臨機応変なアプローチをすることが求められます。
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