実店舗が取り組みたい、位置情報を活用したマーケティングとは?

「緊急事態宣言で渋谷で7割減、梅田で8割減」――コロナ禍の外出制限下で、スマホの位置情報によって人の移動を計測したニュースを目にした方は多かったでしょう。スマホの位置情報は、現在位置の確認のだけではありません。災害への対応や道路の渋滞緩和など様々な分野で利活用が進んでおり、ビジネスにおいては特に実店舗のマーケティングにおいて大きな注目を集めています。今回は「位置情報マーケティング」について解説していきます。

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位置情報を生かしたマーケティングとは

位置情報を活用したマーケティングは「位置情報マーケティング」と言われ、商業施設や飲食店、小売店や美容サロンなど実店舗の集客施策として大きな注目を集めています。

スマホの位置情報機能とは

GPS衛星とスマホ端末に搭載されているGPS衛星受信機が通信することで、スマホ(=人)の現在地を特定するのがGPSの仕組みです。GPSは、屋外環境において位置情報を取得するのに最適な方法として普及が進んでいます。一方、屋内環境における位置情報は、Wi-FiやBeaconなどによって取得されるのが一般的です。

通信技術の進展とスマホの普及によって位置情報の収集が容易になったことで、「人が今、どこにいる」「人がどこからどこへ移動した」といった情報が様々な分野で活用されています。

オフラインビジネスでの集客に

あらゆるビジネスにおいてオンラインマーケティングは当たり前のものになりましたが、昨今は「O2Oマーケティング」が注目されるようになり、オンラインとオフラインを連動させる取り組みが盛んになっています。O2O(Online 2 Offline)とは、消費者をオンラインから実店舗などのオフラインに誘導する施策です。

Web広告やSNS広告などのオンラインマーケティングは、その施策がオフラインでの結果(来店や購入など)につながったかどうかを測定するのは困難です。ネット上でユーザーの行動履歴を追跡できても、オフラインでは行動追跡ができないからです。

しかし、O2Oマーケティングなら、スマホの位置情報を活用することでオンライン上での施策がオフラインで結果につながったかどうかの効果測定が可能。WebやSNSでの施策と来店の因果関係が見えるようになるので、オンラインとオフラインを連動した集客戦略を実行できます。

2019年のO2O広告の市場規模は前年の2倍の405億円に

サイバーエージェント社は、「店舗集客型デジタル広告(O2O広告)の市場動向調査」をおこない、2018年の市場規模および、2024年までの年間の市場規模予測を発表しました。

同調査によると、2018年のO2O広告の市場規模は205億円と、前年比で約3.4倍の成長を遂げています。今後の市場規模に関しては、2019年は405億円、2020年は698億円、2024年には2,586億円に達すると予測。デジタル技術の発展や5Gの普及などにより、O2O広告の市場は急成長が見込まれています。

※ 出典:サイバーエージェント調べ

位置情報マーケティングのメリット

位置情報マーケティングのメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

来店促進の広告の効果測定が可能に

位置情報を活用することで、オフラインの実店舗においてもオンラインの施策の効果測定が可能になります。後述しますが、Google広告には、広告をクリック・閲覧したユーザーが実店舗に来店したかどうかを計測できる機能があります(来店コンバージョン)。

位置情報に基づいた情報発信が可能に

位置情報を活用することで、ユーザーの現在地に合わせた情報発信が可能になります。例えば、「一定の範囲内にいるユーザーにタイムセールの情報を配信する」「店舗に近づいたユーザーにクーポンを配布する」といった施策が可能。ターゲットをより精細にセグメンテーションして、来店可能性の高い潜在顧客にアプローチできます。

過去の位置情報から効率的なターゲティングも

例えば位置情報から、特定のターゲットが平日は渋谷区にいて休日は練馬区にいる傾向が明らかになった場合、練馬区に住んでいて渋谷区で働いていることが推測されます。Web上で得られるデータ(性別や年齢、購入履歴など)に、位置情報から得られるデータを加えることでペルソナがより明確になり、ライフスタイルや行動範囲に合わせた広告を配信できます。

位置情報マーケティングの事例

位置情報を活用したマーケティング事例として、Google広告の「来店コンバージョン」とYahoo!の「Yahoo!チェックインポイント」をご紹介します。

位置情報を使って、Google広告で来店コンバージョン測定

Google広告の「来店コンバージョン」とは、オンライン広告のクリックや閲覧が、実店舗への来店につながっているかどうか、その効果を測定できる機能です。従来の飲食店や小売店のような店舗型ビジネスでは、オンライン広告の効果を把握するのは困難でした。そこで、来店コンバージョンを設定することで、オンライン広告がどれだけの効果をもたらしているのか把握可能です。

位置情報を活用したYahoo!のキャンペーン配信

Yahoo!が提供する「Yahoo!チェックインポイント」とは、アプリ「Yahoo!MAP」を使っているユーザーが加盟店舗に来店することで「Tポイント」やキャンペーン情報、クーポンなどを取得できるサービスです。店舗側は、Yahoo!チェックインポイントを導入することで、新規顧客の獲得や既存顧客の来店頻度向上が期待できます。

防災や交通、観光などでも活用される位置情報

位置情報は、防災や交通、観光などの分野でも活用が進んでいます。

防災

災害が起きた場合、現場の写真を位置情報付きで送信してもらい、被災状況の把握に活用することが検討されています。

交通

スマホの位置情報を利用して、バスの現在地をセンターに送信。利用者に運行状況を知らせることで待ち時間を削減するなど、サービス向上に活用されています。

観光

観光客の位置情報から行動や移動ルートなどを調査・分析。得られた情報を活用することで、観光戦略の最適化や地域づくりへの貢献が期待されています。

プライバシーの観点からみる位置情報

位置情報を活用したサービスは消費者に利便性をもたらす一方で、「個人情報が取得されているのではないか・・・」「プライバシーが侵害されていないか・・・」と懸念点も存在します。位置情報を扱う事業者は、どのような対策・対応をとればいいのでしょうか。

個人情報収集に不安も・・・事業者はどう対応すべきか

位置情報は、それ単独では個人を識別できるものではなく個人情報には当たりません。しかし、長期間にわたって蓄積された場合などは個人を推定できる可能性があります。したがって、位置情報を扱う事業者は、個人を特定しないように加工するなどして、個人情報の保護に努めなければいけません。

ユーザーに対しての説明も必要です。個人を特定する目的で位置情報を扱わないことや、個人情報と紐付けないデータとして扱うことなど、方針や対策を明確に伝える必要があります。

日本における位置情報マーケティング、サービスを推進する非営利社団法人「LBMA Japan」は、位置情報関連ビジネスを展開するうえでのガイドラインを策定しています。

参考: 位置情報等の「デバイスロケーションデータ」利活用に関するガイドライン(2020年9月版)

マーケティングの可能性を広げる位置情報

スマホやSNSの普及、そして位置情報の活用によって、オフラインの実店舗においてもより緻密なマーケティングが可能になりました。今後も、位置情報技術の発展によってO2Oマーケティングはさらなる進化を遂げていくはずです。オンラインとオフラインをリンクさせた集客施策により、店舗型ビジネスを加速させていきましょう。

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