存在感増す、インドネシア

存在感増す、インドネシア

ジョコ・ウィドド大統領は、2019年に再選し2期目(~2024年)に入って以降、経済面では外資規制を大幅緩和するとした大統領令を発出。外資誘致に積極的な姿勢を示し、外交面ではミャンマー問題への域内解決に向けた積極的関与を推し進め、対中国の動きでは経済面・軍事面で180度対応が異なっており独特である。

コロナの影響は少ない

アセアン全体の人口・GDPの約4割を占める域内最大のインドネシアは、それだけでも十分存在感ある市場である。

また、2020年実質GDP成長率は前年比▲2.07%と、アセアン主要国の中で唯一プラス圏であったベトナムは別格としても、これに次いで比較的軽傷であったことは、あまりメディアで取り上げられていない。

2021年は+4%前後のプラス成長が見込まれている。

不可能ではない、GDP世界5位

不可能ではない、GDP世界5位

そのような中でジョコ大統領は、2045年までにGDP規模で世界第5位を目指すとの目標を掲げている。IMFによる名目GDP比較では、2020年時点で16位(1.1兆米㌦)のポジションから5位の水準(インド:2.9兆㌦)になるには、現在の約3倍規模にまで押し上げる必要があるとの野心的な目標である。

他方、日本を含む上位国のうち中国を除く先進国の伸び率は、鈍化または下方傾向にある。単純計算で今後25年間の年平均成長率(CAGR)は+4.5%が必要ではあるものの、豊富な生産人口を有するインドネシアにとり、必ずしも「実現不可能な野望」ではないかもしれない。

政治は安定

2019年の再選の折こそ選挙結果確定までに時間が掛かったものの、現時点で同国政治は比較的安定している。同国のイスラム教重鎮(ウラマー評議会議長のマアルフ・アミン氏)を副大統領、また大統領選で争った軍出身プラボウォ・スビアント氏を国防長官に据え、バランス良い運営をしているようだ。

同国大統領職は最長2期(10年)、2024年までの限られた任期ではあるが、当座大きな政変要素は少ないように推察され、直近のジョコ大統領のプレゼンスが増しているのも、政治安定ゆえであろう。

外資規制の緩和

上記のような同国状況下において、ジョコ大統領は2021年に入り、更なる成長ドライバーの一つとして、外資規制緩和を大統領令発出の形で推し進めようとしている。同国への投資を促進して国内雇用の創出を目的に2020年に制定された雇用創出法(オムニバス法)の下位法令の形で発出されたものであるが(大統領令2021年10号)、建設、大型小売、卸売、物流など、従前「ネガティブリスト」として規制されていたものが、規制対象から外れるとの内容で注目されている。

またEV(電気自動車)関連投資についても「優先事業分野」の一つに挙げ、同国が産出するニッケル資源を、EV電池などのより付加価値の高い輸出品に昇華させる意欲を見せる。

ミャンマー問題への関与・中国との関係

ミャンマー問題への関与・中国との関係

2021年4月24日、ミャンマーでのクーデター後初のアセアン首脳による臨時会議がジャカルタで開催されたことは記憶に新しい。

議長国でもなく(2021年議長国はブルネイ)、また「内政干渉しない」との従前のアセアン基本方針から踏み込み、域内主導で対話機会を創出・主導したジョコ大統領の働きかけは、画期的であり非常に興味深いものであった。

議長声明の内容は必ずしも即座にミャンマー状況の緩和につながるものではないが、ミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官を協議の場に引きずり出したとの点は大きな一歩と期待できよう。

実利重視の対中関係

また、同国の中国との距離感も非常に実利優先に見え、興味深い。コロナ問題ではいち早く中国と連携し、ジョコ大統領自らシノバック製ワクチン接種を公の場で受けた映像は印象深く、またその他経済面でもITインフラにおけるファーウェイ受容の他、ニッケル精錬・高速鉄道などで中国企業を積極受入れている。

他方、南シナ海国境問題では中国に対して明確な対立姿勢を示し、米軍と共同演習を行うなど、タイ・マレーシア・ミャンマーのような忖度姿勢は全くない。

インドネシア課題 日本企業との協業機会

インドネシア課題 日本企業との協業機会

上述のように、同国はジョコ大統領主導の安定した政治環境下、GDP世界第5位を目指すとの野望の実現に向け、外資も積極的に活用しながら着々と進めているが、それと同時にこれら「構想を実現できるか」との課題も孕む。

主要な課題は、

  1. 外資規制緩和の実現性(従前省令との矛盾点を実際の政策運営で実現することが可能か6月以降にならないと分からない)
  2. 首都移転等公共インフラ投資の実現性(コロナ禍における国家予算制約)
  3. ジョコ大統領路線の2025年以降の承継問題

であろう。

外資規制緩和の業種で、M&A機会の増加を予想

アセアン最大国である同国の魅力はベトナムとは別の視点で注目に値し、建設・小売・卸売・物流など、外資規制緩和業種を中心として、日系企業からのM&A機会も増えることになることが予想される。

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