世界中で期待されるドローンビジネス

ドローンは、ラジコンのように操作することで空中を飛び回ることができます。
操作の手軽さや機体そのものの小ささ、そして導入価格の安さからあらゆるビジネスへの活用が検討されている最中です。

では改めて、世界中でドローンが注目される理由や、活用事例について見ていきましょう。

ドローンのビジネスにおける有用性

ドローンはヘリコプターと違い、運転に免許が必要ありません。操作もヘリコプターに比べて簡易で、自動制御機能も付いているため安全です。

また、100万円台から購入できるという導入の手軽さも、ビジネスへの活用を後押ししているといえます。

日本政府が掲げる「空の産業革命に向けたロードマップ2020」(注1)では、ドローンの活躍場面として以下が挙げられています。

  • 物流
  • 警備業
  • 医療
  • 災害対応
  • インフラ維持管理
  • 測量
  • 農林水産業

ロードマップからも、ドローンの活躍の幅が非常に広いことが分かります。

なお、田畑への農薬散布を目的にドローンを開発したのは、日本が世界初。1987年に、ヤマハ発動機がR-50というドローンを開発しました(注2)。

その後も、ドローンで農薬を均一に撒く方法などの研究開発が進められています(注3)。農業以外の分野でも、ドローンが人の手に代わるとして、その有用性に期待が集まります。

ドローン市場が世界で拡大中

2018年時点の世界のドローン市場は、日本円で約1.6兆円の規模がありました。 矢野研究所の報告書によれば、この市場規模は2025年まで年平均8.3%の割合で成長していくことが示唆されています(注4)。

また2017年頃からは、業界全体がホビー用から産業用ドローンへシフトする動きが見られました(注5)。これは数々のビジネスで、ドローンが導入されていることを示しています。

2020年8月31日には、Amazon.comが米連邦航空局からドローンによる配送サービスの認可を受けたことも話題となりました(注6)。

今後も世界の各分野で、ドローン市場の拡大が予想されます。

世界における国産ドローンシェアは約3.8%

日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が発表したデータによれば、2018年時点で日本産ドローンのシェアは約3.8%とされています。
400万機の合計出荷台数に対し、国産ドローンの出荷台数は15万機です。

なお、2018年の国別シェア1位はアメリカで、全体の37.5%を占める150万機を出荷しました(注7)。

高いシェアを誇る世界のドローンメーカー

ドローンメーカーのシェア争いは激しく、そのランキングは日夜変動しています。

そこでここからは、比較的高いシェアを誇っている海外のドローンメーカーをご紹介します。

DJI

DJIは中国のドローンメーカーです。2021年時点ではドローンメーカー全体のうち、約7割のシェアを占めているとされ圧倒的なシェアを得ています。

創業は2006年。歴史の長いメーカーではありませんが、2012年に発売した「Phantom」というシリーズのドローンが話題となり、徐々に知名度を上げました。

2021年3月時点で最も新しい「Phantom 4 Pro V2.0」は、100MbpsでCinema 4K動画を撮影できる上に5方向の障害物検知機能を搭載しています。
クオリティの高い空撮機能と安全性、そして快適な操作性を備えた、人気のドローンです。

Yuneec

Yuneecもまた中国のドローンメーカーです。Drone Industry Insight社が2021年3月に発表したアメリカのドローンメーカーシェアランキングでは、3位にランクイン(注8)。全体の2.6%のシェアを占めており、アメリカ以外でも知名度の高いメーカーです。

Yuneecが開発するドローンは、ブラックを基調としたマッシブなデザインが特徴的でしょう。
また手元の送信機で常に空撮した様子を見られるなど、タブレットやスマホとの同期が不要です。

業務用ドローンの「Typhoon」シリーズは、空中で安定した飛行を実現するために6つのローターが搭載されています。

Parrot

Parrotはフランスのドローンメーカーです。Drone Industry Insight社が2021年3月に発表したアメリカのドローンメーカーシェアランキングでは、4位にランクイン(注8)。Yuneecとシェア争いをしているメーカーです。

Parrotは現在、ホビー用ドローン市場から撤退し、業務用ドローンの開発のみを進めています。
代表商品は「BEBOP」シリーズです。シンプルなデザインながら、現在地確認機能や自動でドローンを呼び戻す機能などを搭載します。

「BEBOP 2 POWER FPV PACK」ではバッテリーを2つ搭載し、最大60分の長時間フライトを実現しています。

Intel

2016年以降は、半導体メーカーとして知られるIntelも業務用ドローン市場に参入しました。発表したのは「インテル® Falcon™ 8+ 」というモデル。荷物の運搬や空撮、測量など幅広い業務に対応するドローンです。

強風や磁場の乱れた環境でも機体の安定を保ち、通信を維持。
さらにフライトのデータを収集し、フィードバックするなどの機能も備えています。

また測量やマッピング、調査に向けてリリースされた「インテル®ミッション・コントロール・ソフトウェア」を用いれば、自動でフライトプランを組み、短時間で正確なフライトが実現できます。

GoPro

GoProは小型カメラのメーカーとして知られる、アメリカの企業です。「Karma」というドローンの発売が話題となりました。「Karma」はGoProのカメラメーカーならではの技術が凝縮されており、高画質で多様な撮影設定が可能です。

また「Karma」は、バックパックに機体から送信機まですべてが収まるように設計されています。
送信機は初めて使う人にも安心の画面一体型。またフライトのシミュレーション機能もあります。

さらにカメラを取り外せば、ハンディカメラとしても使えるのが特徴です。

手軽に高画質で空撮を実現できるドローンといえるでしょう。

世界でシェアを伸ばす国産ドローンメーカー

世界のドローン市場から見れば、日本のメーカーはまだまだ伸びしろがあるといえます。

ここからは、今後シェアを伸ばすことが期待できる国内メーカーを見ていきましょう。

ヤマハ発動機

世界で初めての農薬散布用ドローンを完成させたのが、ヤマハ発動機です。現在も農薬散布に特化した業務用ドローンを開発し続けています。
「YMR-08」はヤマハ発動機の代表的なドローンです。

また、オートパイロットモードを利用すれば、操縦する必要はありません。
あらかじめ決められたルートを一定速度で飛び、ムラのない農薬散布を実現します。

さらに農薬粒子の細かいタイプから荒いタイプまで、幅広く取り扱える粒剤散布装置を搭載。10度までの傾斜なら、自動で対応します。

PRO DRONE

PRO DRONEは災害救助用から運搬用まで多様なニーズに合ったドローンを開発しているメーカーです。2015年に法人として設立し、愛知県名古屋市に本社を構えています。

展開されている「PD」シリーズの中でも、「PD4-XA1」は検査、警備、捜索救助などに適したモデルです。耐水性や耐風性に優れているだけでなく、折りたためば幅30cm未満と持ち運びが容易になるコンパクトデザインが特徴的でしょう。

さらに赤外線カメラや物体検出機能が備わっており、シーンに応じて有効に活用できます。ほかにも救助用ドローンの「SUKUU」や配達用の「PD-6-AW-W」など、多数のモデルが展開されています。

e-Drone

e-DroneはNTT東日本系列のドローンメーカーです。2021年1月に、国内ドローンメーカー「株式会社エンルート」の事業譲渡を受けています。

そのためエンルートが開発した「PG」シリーズや、「AC」シリーズといったモデルは、e-Droneが保守サポートを引き継いでいる状態です。またe-Droneも独自に農薬散布用ドローン「AC101」や、産業用ドローン「EC101」を開発しました。

導入コンサルからアフターサービスまで徹底し、ドローンを取り入れるサポートが充実しています。

世界のドローンシェア争いが注目される

ドローン市場はまだまだ発展途上といえます。今後は、より産業ごとに特化した高性能なドローンが登場するでしょう。そして市場拡大に伴い、メーカー同士のシェア争いが続くことが予想されます。ドローン市場は今後も目が離せません。

Frontier Eyes Onlineでは、ドローン市場以外にもビジネスに関する情報を幅広く提供しています。
この機会に、ぜひメルマガに登録してみてください。

<参考>
注1:空の産業革命に向けたロードマップ2020 | 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会
注2:R-50 (L09) / エアロロボット・ヤマハ | ヤマハ発動機
注3:農業用ドローンの普及拡大に向けて | 農業用ドローンの普及拡大に向けて
注4:ドローンの世界市場規模予測(軍需と民需計)| 矢野研究所
注5:ドローンビジネス調査報告書2017[海外動向編] | 田中亘・春原久徳・インプレス研究所
注6:Amazon、ドローン配送の認可取得 30分内の配達可能に | 日本経済新聞
注7:世界のドローン出荷機体数は推定400万機、初予測の精度を高めた「あの制度」 | 日経XTECH
注8:Drone Market Shares USA After China-US Disputes | DRONEII

関連記事

成長と資本効率重視へ―日立製作所中期計画に見るKPIの変化―

日立製作所は2022年4月28日、小島啓二新CEO主導の日立製作所中期3ヵ年計画を発表した。リーマン・ショック直後、経営危機に瀕し、その後の事業構造・ポートフォリオ改革やESG経営で先行してきた同社の新中期計画の変化を読み解き、今後企業価値拡大にどのような中期計画が必要とされるのか、を考察したい。

高炉各社決算〜22/3期に奪還した付加価値を今期も守れるか?

高炉3社(日本製鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼所)の2022年3月期の決算は、軒並み大幅増益を達成した。これまで失ってきた「付加価値」を見事に奪還したと言える。一方、原燃料の高騰や円安を受けたコスト増などの逆風は強まっている。前期に奪還した付加価値を、さらに広げられるのか? それとも、ユーザーからの反発で押し戻されてしまうのか? ポイントと課題を整理する。

料理宅配(デリバリー)の大問題

私は、料理宅配(デリバリー)を使わない。ビジネスモデルに深刻な問題を内包しているからだ。料理宅配業者の多くは赤字で、十分な税金を払っていない。道路など公共財の税負担だけでなく、配達員の交通事故リスクという側面からも、二重のFree Ride(タダ乗り)をしている。それでも赤字続きの料理宅配業界に、健全な発展は可能なのだろうか?

ランキング記事

1

アリババは国有化されていくのか

アリババグループの金融・オンライン決済部門のアント・グループ(前アント・ファイナンス)は、2020年11月に予定されていた上場が延期され、そのまま現在に至っている。ジャック・マー氏の中国金融政策への批判発言から端を発し、アリババは金融業に限らず様々な制限が加えられていると報道されている。この記事では、アリババの現状とともに、中国のモバイル小口決済について考察したい。

2

品質不正多発の三菱電機に学ぶ、あるべき不正撲滅方法

三菱電機の品質不正が止まらない。2021年7月に35年以上に渡る品質不正が公表された。調査を進める中で不正の関与拠点、件数が膨らみ、直近の報告では実に150件近い不正が認定されている。一方で、当社に限らず不正そのものの発生や再発は止まらない。再発防止策がなぜ機能しないのか、当社の取り組みを題材にあるべき再発防止策について解説する。

3

進む地方銀行の持株会社体制への移行

経営統合によらない地方銀行の持株会社体制への移行が増えている。銀行法改正による後押しを受けて、地域の課題に向き合いながら、事業の多角化を進めやすくして収益拡大を図るのが狙いであるが、果たして中長期的な企業価値向上に資する事業ポートフォリオの構築は進むのだろうか。

4

人的資本とは 経営の新しい潮流

人材を資源ではなく付加価値を生む「資本」として見直す潮流が拡がっている。企業の「人的資本」に関する情報開示が制度化されるのに伴い、人事部門は従来の定型業務中心の役割から、企業の中長期戦略を実現するための戦略人事への転換が求められている。

5

村上春樹さんから学ぶ経営㉕ ニッチ再び。大谷選手と「何かを捨てないものには、何もとれない」

私が経営の根幹だと考える「ニッチ」(『隙間』の意味ではありません)について、再び論じたいと思います。大谷翔平選手の活躍が常識外であったため、少々長い回となります。それでは今月の文章です。

人気のキーワード

海外スタートアップ情報はこちら!  寄稿・執筆者募集中