コロナ禍も、中国市場のみ前年比プラスか

2020年度の世界の建設機械需要は、新型コロナの影響による建設工事の停滞、建設会社の投資マインドの冷え込みにより、前年割れの公算が強い。
7月下旬の決算発表の時点では、コマツは2020年度の建設機械需要が前年比10~20%減、日立建機は2020年度の油圧ショベルの世界需要が前年比23%減との見方を示した。
地域別では、世界の大部分で新型コロナウイルスの影響により、建設工事が停滞。前年比プラスは期待できない状況だ。一方で、早期に「収束」し、公共投資の盛んな中国は、建機需要は前年比プラスとなる公算が強い。

中国の油圧ショベル市場は、2015年の5万台強から2019年20万台強と急成長。もはや、世界の油圧ショベル市場の約4割を占める世界最大の市場となっている。2020年に入っても、コロナ禍をものともせず、1-6月累計で前年比25%増と拡大基調を維持している。

中国市場、現地メーカーのシェア3割から7割に上昇

急速に成長を遂げている中国市場だが、最も恩恵を享受しているのは中国の現地メーカーだ。

中国の油圧ショベル市場における主要メーカーのシェアは、大きく変化している。2008年のリーマン・ショック以前は、日本、韓国、米国、欧州などの外資系メーカーが7割強のシェアをもち、リーマン・ショック後の中国政府の景気対策の恩恵を享受できた。

その後、中国の現地メーカーは、製品の品質が向上。低価格や、政府の支援を背景に、着実にシェアを上昇させてきた。直近では、中国現地メーカー合計のシェアは7割程度に達しており、外資とのシェアは逆転。2016年以降の、中国の市場拡大の恩恵を享受している。
一方、日系メーカーは、中国でのシェアを2020年には合計10%を割り込むまでに低下している。

三一重工、世界三強の一角に 時価総額でコマツ抜く

中国メーカーの中でトップに立つのが、三一重工(長沙市)だ。
中国での油圧ショベル市場でのシェアは約25%。建設機械を主力とする企業の時価総額でも、世界2位に躍進している。2020年7月14日時点の時価総額は、キャタピラーが7.6兆円(108円/$換算)でトップ、三一重工が2.7兆円(15円/元換算)、コマツが2.1兆円となっている。
三一重工は、売上規模ではコマツの半分弱にとどまるものの、着実な利益成長が株価に反映されている。

三一重工の営業利益は、中国の建設機械市場回復の恩恵を享受し、2016年度の14億元から2019年度は132億元(約1,980億円)まで急拡大。一方、コマツの営業利益は2016年度1,741億円から2019年度2,507億円と回復しているものの、そのペースは三一重工を下回っている。

また、三一重工の2019年度の営業利益率は17.4%とキャタピラー(同15.4%)、コマツ(同10.3%)を上回っており、これも同社の時価総額を押し上げる要因になっている。

中国の建設機械市場が拡大基調を維持していることを勘案すると、2020年度には三一重工の営業利益(当期利益のコンセンサス予想は35%増益)が、コマツを初めて上回る公算も高そうだ。

中国国外への進出は、これから

中国メーカーの海外売上比率はまだ低く、業界トップの三一重工でも19.3%(2019年度)にとどまっている。
逆に、海外市場で売上を伸ばすポテンシャルがあると言える。(因みに、コマツの2019年度の海外売上比率は83.8%)。

建設機械の需要は、先進国ではインフラの「更新」が主体となり、成長が期待できるのはインフラ整備が続く新興国である。今後、中国メーカーが、新興国で積極的な事業展開を図ってきた場合、日系メーカーにとって脅威となる可能性がある。

まとめ 日系メーカーの課題

こうした環境下、日本の建設機械各社は、従来のハード依存から、ICTの活用による機械のライフサイクルコストの低減で顧客層の拡大を図ることや、部品・サービス売上の拡大による収益力の向上など、部品やICT(情報通信技術)で稼ぐ事業構造への転換を迫られている。

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