「フードテック」とは?注目背景や活用が期待される分野について詳しく解説

現在、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた「フィンテック(Fin-Tech)」や、法律(Legal)とTechnologyを組み合わせた「リーガルテック(Legal-Tech)」などが世界中で注目されています。 こうした、既存ビジネスとTechnologyを組み合わせて新サービスやノウハウを産み出す「クロステック(X-Tech)」の一つとして、近年特に関心が高まっているのが、食に焦点を当てた「フードテック(Food-Tech)」です。 そこでこの記事では、世界的な食料問題などを解決する術として注目されるフードテック(Food-Tech)について、その概要や注目背景、事例などを分かりやすく解説していきます。

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「フードテック」とは

フードテック(Food-Tech)とは、フード(Food)とTechnologyを掛け合わせてできた用語で、食や料理の課題をITで解決する新しいサービスやノウハウなどを意味します。現在、新たな食の可能性として視線が注がれており、新しいビジネス領域として世界中から投資が集まっているといいます。

フードテックには、ITを活用した料理の自動化や、レストランでのロボットによる調理、また消費者の体調に合わせた食品の配達などが挙げられます。また、植物から作った代替肉や昆虫から作った食品などもフードテックに含まれるということです。

フードテックに特化したグローバルカンファレンス「スマートキッチン・サミット」の創設者、マイケル・ウルフ氏は、”世界全体のフードテックの市場規模は2025年までに700兆円規模に達する”などと発表。また、米調査会社のピッチブックによれば、2018年の世界の投資額は75億ドル(約8,100億円)にも達しており、今後新たなビジネス市場として注目されるとみられています。

フードテックによって解決が期待される課題

フードテックは現在、飢餓や人材不足といった課題解決の術として世界中で注目されています。ここでは、フードテックによって課題解決が期待されるさまざまな問題に言及し、それぞれ解決していきます。

食糧問題の解決

フードテックによって課題解決が期待される最も大きなトピックが食料問題です。天候不良による不作や、人口爆発による食料の需要過多などから、未だ開発途上国などを中心に飢餓問題が起こっています。

一方、膨大な量の食料が世界中で毎日廃棄されているといった問題もあり、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」でも重要課題に掲げられています。

現在、国や企業が、大量生産できる作物の品種改良や、効率的な食料の管理・共有のシステム、長期的な食料保存の仕組みなどの研究開発を進めており、フードテックによる課題解決が世界中で期待されています。

食に関する人手不足の解消

生産のオートメーション化が進むものの、食品・外食産業は、依然多くのマンパワーによって産業が成り立っています。

しかし一部の地域では、人口減少などを発端とした労働者不足の問題が、近年顕著になっています。そこで注目されるのが、フードテックによる省人化です。例えば、全自動で調理を行うロボットや、食品管理をサポートするAIが開発されれば、外食産業などでの無人化が進み、人手不足の問題が劇的に解決されるとみられます。

菜食主義者らのための代替品の開発

宗教や動物愛護、健康などを理由に特定の食べ物を食べない人に向けた代替品の生産が、フードテックで期待されています。

その一つが、植物性たんぱく質による代替えミート。こうしたフェイクミートは、ベジタリアンやヴィーガン、フレキシタリアンらが多い国や地域で需要があり、2030年には市場規模が9兆円に上るとの予測もみられます。

こうしたフードテックの取り組みは国内でも注目されており、農林水産省は”食料供給などを海外に依存する日本にとって重要”とする報告書を発表。研究会などを設け、品質を巡るルールなどを検討する方針だということです。

食の安全確保

フードテックは、我々にとって最も身近なトピックである食の安全についても大きく関わるとされています。

その一つが、テクノロジーを活用した食品の安全管理。最新の研究では、食品が傷んでいるかどうかを診断するツールや、長期保存が可能な食品の梱包材料などの開発が進んでいるそうで、フードテックによって近い将来、食の安全が一層高まるとみられています。

また、企業にとって死活問題である食品への異物混入に関しても、フードテックを活用することで減らすことができるでしょう。

フードテックによるサービスや技術の事例

現在、国内外でフードテックに関する多様なサービスや技術が開発されています。

その一つが、日本のクックパッド株式会社などが開発を進める、レシピ連動調味料サーバー「OiCy Taste」。調味料が入ったさまざまなボトルが本体内に設置されており、スマートフォンからレシピを選択すると、サーバーが自動で最適な調味料を調合して作ってくれるというスマート家電です。

海外では、血液検査や基礎代謝の状況などを分析し、ユーザーの体に最適なレシピを提案する、米国スタートアップのサービス「Habit」。また、ユーザーの遺伝子検査結果を基にして外食メニューなどをレコメンドする、英国の「DNAfit + Vita Mojo」といったサービスが登場しています。

身近なところでは、食のデリバリー配達サービスなどを手掛ける「Uber Eats」も、広義の意味でのフードテックに含められます。

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フードテックに関する理解は深まりましたでしょうか。世界的な食料問題や我々の食卓の安全など、さまざまな課題解決の可能性を秘めるフードテック。その市場は今後数百兆円にも達するとみられ、今後さまざまなビジネスシーンに活用の幅が広がることでしょう。

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